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【J2:第21節 横浜FC vs 岡山】レポート:天は自ら助くる者を助く。サッカーの神様は、攻撃的姿勢でゴールを求めた横浜FCと最高の準備を欠かさない三浦知良に微笑んだ。(10.08.08)

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8月7日(土) 2010 J2リーグ戦 第21節
横浜FC 2 - 0 岡山 (18:03/ニッパ球/4,235人)
得点者:65' 高地系治(横浜FC)、90'+3 三浦知良(横浜FC)
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この試合で対戦した横浜FCと岡山の前節は対照的だった。立ち上がりの得点を守りきれずに逆転負けを許した横浜FCと、立ち上がりの得点を守りきった岡山。「1点取れば、今日は勝てると思っていた」(岸野靖之監督)というように、この試合に対する横浜FCのゲームプランは、堅い守備をベースに勝点を重ね自信を得てきている岡山に対して、早めに点をとって岡山の守備中心の狙いに陥らないこと、さらに岡山は立ち上がりにパワーを掛けてくると予想し、その裏をとって早目にゴールを決めてしまうことだった。試合自体は、そのプラン通りにはいかなかったが、思い通りに行かない時にでも攻撃的姿勢を貫くことで、岡山の厚い守備の壁を破ることに成功した。

キーポイントであった前半の立ち上がり、岡山は守備のリスクを極力減らしながら、ロングボールをトップに入れた後のこぼれ球で得点のチャンスを窺う。11分の李東明のシュートなど、狙いに近い攻撃も見せるが、横浜FCも粘り強く対処すると、徐々に横浜FCが中盤でリズムを作り出すようになる。しかし、西田剛の怪我により、2トップを組んだカイオと難波宏明のコンビネーションが合わない。カイオが広くボールを受けに走る一方、難波のポストプレーは岡山守備陣に阻まれ、チャンスメークの段階でのミスが多発。ロングボールからの攻撃に頼る岡山と、チャンスメークができない横浜FCが、お互いに糸口を見つけられない展開のまま、前半を終えることとなる。シュートこそ5本ずつ放つがゴールの匂いは少なく、横浜FCにとっては、岡山の守備のペースにハマってしまう嫌な展開。ハーフタイムに、軽いブーイングが起こったことは、前半の低調な展開を象徴していた。

そして、試合が動くのは、59分に横浜FCがエデルを投入してから。「ディフェンスラインと中盤のラインの間をいじられるようになった」と影山雅永監督が振り返るように、エデルがバイタルエリアから左サイドでアクセントをつけられるようになると、岡山はエデルへの対応に後手を踏むようになる。その結果、前半は分断されていたトップと他の攻撃的な選手との関係が復活し、横浜FCにゴールに繋がるプレーが増えてくる。そして、65分、カイオがミドルシュートを打つと見せかけて、高地系治にスルーパス。高地が得意な形のトラップからニアサイドを打ち抜き、横浜FCは自らの攻撃的姿勢でついに岡山の堅守を破る。

攻撃を仕掛けざるを得ない状況に追い込まれた岡山も70分に白谷建人、81分に西野晃平、小林優希を投入するが、横浜FCも守りに入るのではなく2点目を取りに行く姿勢を見せ、新加入の野崎陽介を投入。この横浜FCの積極姿勢が功を奏し、終盤に入ってもゲームのペースを相手に渡さない。そして、この姿勢がニッパツ三ツ沢球技場にさらなる大きなドラマを生む。90+3分、岡山が左サイドでプレッシャー受けるとキーパーへバックパス。このパスを途中出場の三浦知良が拾うと、1対1の場面を冷静に制して駄目押しの2点目。Jリーグ最年長ゴール記録を塗り替える(43歳5ヶ月12日)このゴールで、スタジアムはまさに夏祭り状態に。エデル投入までの低調な展開を忘れさせる熱狂に包まれたまま、試合は横浜FCが2-0で締めくくった。

横浜FCにとっては、チームの成長を印象づける試合となった。守備的な岡山のペースにハマりながらも、攻撃の糸口を探し続けてゴールを陥れることに成功したこと。リードしても攻撃的な姿勢を維持して、相手に反撃の勢いを与えなかったこと。前節の逆転負けの悪い流れを断ち切ることができたこと。岸野監督は「毎日自分がしっかりプレーできるように、きちっとベストの状態にいつも持ってくる。だから(チャンスが)来る」と三浦知のゴールを喜んだが、高地、三浦知のゴールは、サッカーへの姿勢に対する正当な報酬だと言って良い。ただ、まだまだ改善点も多い。特に、カイオの生かし方については、有効な回答が得られていないのが現状。カイオ自身はその力の片鱗を見せているが、この力をいかにチームの攻撃力に反映していくか、早く絶妙な組み合わせを見出したいところだ。

一方の岡山にとっては、後半の途中まで持ち味のハードワークを見せていただけに、エデル投入によるペースチェンジに対応できなかったことが敗因になった。「これで積み上げたものがなくなるわけでない」(喜山康平)というように、守備を固め、数少ないチャンスをモノにして勝点を奪っていくスタイルの完成度の問題ではない。今後、このスタイルをチームのベースとして持ちながら、より多くの状況への対応できるようにいかにチームをステップアップさせるか。岡山には宿題が課されるゲームとなった。

ニッパツ三ツ沢球技場は三浦知良の劇的なゴールの余韻に包まれたが、両チームとも次の試合に進まないといけない。三浦知良にとっても「明日からがまた競争」(岸野監督)だ。プロとして最高の姿勢を保つことの大事さを教えられた試合だった。

以上

2010.08.08 Reported by 松尾真一郎
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