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【J1:第14節 仙台 vs 新潟】レポート:ユアスタの後半に展開された、マルシオ リシャルデスの魔法。全て違う種類のセットプレーという、ありえないハットトリックで仙台を沈める。(10.07.25)

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7月24日(土) 2010 J1リーグ戦 第14節
仙台 2 - 3 新潟 (19:04/ユアスタ/17,281人)
得点者:36' 朴成鎬(仙台)、47' マルシオリシャルデス(新潟)、68' マルシオリシャルデス(新潟)、71' エリゼウ(仙台)、90'+4 マルシオリシャルデス(新潟)
スカパー!再放送 Ch180 7/25(日)深03:00〜
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夏休み最初の週末、大挙して仙台を訪れた新潟のサポーターからしてみれば「忘れられない夏の夢の夜」、一方の仙台サポーター目線で考えれば「蒸し暑い夏の夜の悪夢」。ともあれこの90分を支配したのは、マルシオ リシャルデスの魔法だった。

試合の立ち上がりは新潟がゲームの流れを掴むものの前節のみちのくダービーで開始3分に先手を取られた反省を踏まえている仙台は、この日はまず我慢強く新潟の攻勢に耐え、反撃の時をうかがう。新潟も選手、監督が試合後に振り返るように、この時間帯はボールを支配しながら、球の動かし方が単調かつスローなものとなり、自陣で守りを固めた仙台の守備を動かすことができなかった。
すると15分経過あたりから、流れは徐々に仙台へ。ポジションチェンジに乏しかった新潟とは対照的に、仙台は移籍加入後初のリーグ戦先発出場となった高橋義希が、サイドハーフのポジションを飛び出し、新潟の守備の隙間にいやらしく入り込む。そこにボールが入り出した辺りから、仙台の攻めは明らかに加速した。
そして36分、仙台は第11節名古屋戦以来となる、流れの中からの得点をゲットする。右サイド浅い位置の梁勇基から、ペナルティーアークにいた高橋の足元へ鋭いパスが。周囲の状況をよく見ていた高橋は、動きの止まった新潟守備陣を尻目に、ダイレクトでDFラインの裏へボールを流す。そこに、チーム加入2試合目で先発に抜擢されていた朴成鎬がタイミング良く走り込んでいた。ペナルティーエリア内でGK東口順昭と1対1となった朴成鎬は、東口を冷静に左へかわすと、追いすがるDFが塞ごうとするゴールにグラウンダーのシュートを流し込んだ。新加入2人による連携から生まれた、「3人目の動き」を活かした素早いパスからの美しい得点に、仙台は自信を取り戻したかのような様子を見せながら、前半を1点リードで終える。

ところがこのリードは、後半開始わずかで吹き飛ぶ。キックオフのホイッスルから1分も経過していない中、新潟は右に流れてボールを拾った矢野貴章が、千葉直樹、朴柱成の仙台守備陣2人に囲まれながら、間を割って強引にペナルティーエリアに侵入。後追いとなった千葉が矢野を掴んで倒してしまい、新潟にPKが。47分にこれをマルシオ リシャルデスが決め、まず同点に。
得点こそPKだったが、これは後半の新潟が明らかに良い流れを取り戻したことを示すものだった。パスが足元だけになっていたことの反省から、新潟はトップに入っていたミシェウを左サイドに移し、代わりにチョ ヨンチョルをトップへ。このチョ ヨンチョルが右サイドを中心に仙台守備陣の裏へ流れていくことで、仙台の守備は揺さぶられた。
さらに、先ほどのPKの場面もそうだが、仙台は自陣ゴール近くでミスが増え、中途半端なクリアを拾われる形で新潟の波状攻撃を受ける展開になる。
そして68分、仙台は与えなくても良かったFKから逆転弾を許す。新潟のセットプレーを跳ね返した後、菅井直樹がボールを拾ったのだが、カウンターの出だしで中央方向へ試みたドリブルが長くなり、待ち構えた本間勲に拾われる。ゴール正面20メートルで菅井はたまらずファールを犯す(この場面での警告で、菅井は次節出場停止となってしまった)。
このFK、仙台はフィールドプレーヤーのほとんどがペナルティーエリアに戻り、壁を形成したのだが、マルシオ リシャルデスの右足キックはそれをあざ笑うかのように、壁を柔らかく超えた後で急激に曲がって落ち、ゴール右上に吸い込まれる。GK林卓人が文字どおり一歩も動けないほどのキックに、ユアスタは(アウェイ側を除き)凍りついた。

それでも仙台は失点後のキックオフで右サイドから攻め込み、菅井の体を張った突破からCKを得ると、71分、梁の高い右CKにエリゼウが頭一つ飛び出たヘッドで合わせてすかさず同点に。負けられない意地を見せる。
だがこれも、終わってみれば新潟の「夢の夜」を演出する効果しか発揮できなかった。仙台は後半途中から4-3-3へとシステムを変えたが、逆に後半に入り、攻めの起点を務め始めた新潟のボランチ部分へチェックが薄くなり、さらに下がり目でボールを受けるようになったマルシオ リシャルデスへの対応も遅れ始める。
嫌な流れがぬぐえない中、新潟GK東口の負傷、それによる交代で時間を要したため、異例の目安8分と表示された後半ロスタイム、それも3分が経過した辺りで、新潟は左CKを得る。
キッカーはここまでPK、FKで2得点のマルシオ リシャルデス。右足から放たれたボール、本人も「狙っていた」と試合後に振り返ったボールは、ニアの選手をかすめ、鋭いカーブで、右のサイドネットに突き刺さる。まさかのCKから直接ゴール。全て違う形のセットプレーからハットトリックというのは、おそらくはJ史上初。「マルシオ リシャルデスの夜」は、新潟サポーターの感涙と、仙台サポーターの沈黙をBGMに、暮れていった。

残り文字数も少ないので、仙台についてのみ少し触れさせてほしい。
確かに、2試合連続の3失点は痛い。この敗戦で、降格圏は確実に近づいた。
だが「勝利に近づいている」という手倉森誠監督の発言は、決して強弁として片付けられない内容が、この新潟戦にはあった。朴成鎬がチームの攻めにフィットした形での初得点を決めたのは、間違いなく仙台にとって光明だ。
悲観論から狼狽するのは簡単だが、3失点敗戦という「悪い現実」を取り上げるのなら、内容に改善が見られたという「良い現実」を無視するのはフェアではない。
失点が全てセットプレーだからといってそれを軽んじることはあってはならないが、その多くがミスから与えてしまったのだと考えれば、対策はある。J1という厳しいリーグの中で戦うための集中力を再認識して、すぐやってくる広島戦に臨みたい。

以上
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