7月18日(日) 2010 J1リーグ戦 第13節
広島 3 - 0 横浜FM (19:04/広島ビ/23,948人)
得点者:37' 中島浩司(広島)、39' 佐藤寿人(広島)、59' 森崎浩司(広島)
スカパー!再放送 Ch181 7/19(月)後00:30〜
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青山敏弘が相手からボールを奪ったのは、自陣右サイドの深い位置だった。そこからボールをスペースに持ち出し、中盤に下がってきた佐藤寿人に縦パス。ポストプレーのボールを受けたのは、山崎雅人だ。中村俊輔のアタックも振り切り、そのまま縦にボールを持ち出す。
田中裕介は攻撃に参加し、栗原勇蔵が佐藤の動きについていったため、横浜FMの左サイドには大きくスペースが広がっていた。そのスペースに、佐藤にパスを出した後も休まず、およそ80mの距離を走り抜いた青山が飛び込む。真骨頂を見せつけた「広島のエンジン」に対し、山崎は彼のスピードを落とさずに処理できる、最高のクオリティを保ったパスを出した。
フリーになった青山は、そのままペナルティエリアに突入する。GK飯倉大樹もDF中澤佑二も、彼に寄せざるをえない。ボランチは冷静さを保ち、横パスを出す。フリーで受けた森崎浩司が、そのプレゼントパスを愛おしむように、無人のゴールへ押し込んだ。広島の勝利を確信させるビッグプレーだった。
4日前のC大阪戦とはまるで別次元のアグレッシブさを見せた広島は、中島浩司・佐藤の美しいミドルレンジのシュートで2点を先制したこともあり、後半はやや引き気味にブロックをつくって、カウンターを狙った。その戦略がうまくはまったのが3点目だが、このゴールにも「広島らしさ」はしっかりと表現されていた。ブロックを築きつつも球際を厳しく闘ってボールを奪う守備。複数の選手がしっかりと走り、ボールホルダーに選択肢を与えること。正確なパスでマイボールを大切にする姿勢。そして「3人目の動き」をしっかりと使って連動的にゴールを陥れる方向性。
いずれも、4日前のC大阪戦では見られなかったプレーだ。本来できることがやれなかったという意味で、再開初戦がどれだけ不本意な試合だったか。その現実を、この横浜FM戦とのコントラストが鮮やかに証明する。
とはいえ、C大阪戦の大敗は「次がある、切り替えよう」的なお題目だけで立ち直ることはできない質のものだった。「何かを仕掛けないといけない」と感じたペトロヴィッチ監督は、ミーティングで「試合に出ている選手はハングリーが足りない」と叱責した上、練習ではストヤノフ・森脇良太・山崎雅人の主力3人にビブス(主力組の証)を与えなかった。
「外されるのは自分かな、というある程度の覚悟はあった。だけど、現実に練習で外された時は、本当に悔しかった」と山崎は語る。ただ、彼ら3人が素晴らしかったのは、悔しさを不満などのネガティブなサイドに陥らせることなく、チームのために練習から全力で闘ったこと。ストヤノフはしっかりと声を出してチームを鼓舞し、山崎も森脇も必死に走った。彼らの真摯な姿はチームに伝播し、緊迫感に包まれた。もし、3人の気持ちが少しでもマイナスに働いていたなら、指揮官は躊躇なく丸谷拓也・横竹翔・桑田慎一朗の3人を起用しただろう。彼らはレギュラー組に入っても、自分のプレーを精一杯やりぬいていたからだ。
この試合の直前、ペトロヴィッチ監督は「たとえ10連敗しようとも、私は君たちをサポートする」と選手全員に言い放ち、彼らをピッチに送り出す。これら様々な「刺激策」が功を奏し、屈辱をプラスのエネルギーに変換することに成功した広島は、立ち上がりから強烈な「球際の勝負」を挑んだ。その勢いに圧されたのか、横浜FMはリズムがまったく創れない。広島の右サイドを狙って山瀬功治や田中が縦に切り込むも、奮起した森脇が気持ちを全面に押し出した激しい守備を見せて、決定機を許さない。決して万全とは言えないながら執念を見せたストヤノフのカバーリングも光り、横浜FMは得点への突破口を見い出せなかった。
後半、17歳の現役高校生・小野裕二がピッチに登場しチームを活気づかせたが、その時はすでに3点差。「小野効果」も得点には結びつかず、逆に広島のカウンターでさらなる失点の危機を迎えるはめになった。注目を集めた中村俊輔は、60分に見せた渡邉千真への浮き球パスなど随所に質の高いプレーを見せたものの試合を支配するまでには至らず。「どっちが中3日のチームなのか、わからない」と木村和司監督が嘆いたほどの完敗劇に、試合後の選手たちは苛立ちを隠せなかった。
とはいえ、リーグはまだ再開したばかり。勝って浮かれる暇も、負けて沈み込む時間もない。広島は浦和(7/24@埼玉)・仙台(7/27@ユアスタ)のアウェイと、共に勝利したことのないスタジアムでの連戦が続く。横浜FMはG大阪(7/24@日産)・大宮(7/27@NACK)とスタイルの異なる相手との闘いが待っている。まだ折り返し点にも達していないJリーグ。本当のドラマは、これからだ。
以上
2010.07.19 Reported by 中野和也
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