7月18日（日） 2010 J2リーグ戦 第18節
北九州 2 - 2 熊本　（18:03／本城／5,072人）
得点者：22' 西弘則（熊本）、32' 池元友樹（北九州）、66' 松橋章太（熊本）、90'+4 佐野裕哉（北九州）
スカパー！再放送 Ch185 7/20（火）前05:00〜
☆貴方の予想でクラブを支援！クラブ対抗totoリーグ第2節投票受付中
----------
☆熊本側レポートはこちら

あまりにも劇的な幕切れだった。熊本に２度もリードされながら、最後まで諦めなかった北九州の粘り強さが、「90+４分」という時間での同点劇を生んだ。北九州はこの試合を終えて勝点11で最下位に沈むことにはなったが、確かな手応えを感じた試合だった。

最初にゲームのリズムを掴みかけたのは北九州。大島康明が抜け出してＧＫと１対１の場面を作ったり、コーナーキックのこぼれ球から長野聡がゴールを狙ったりと前半20分頃までは何度も決定機があった。しかしいずれも決めきれず、22分に熊本・西弘則に先制を許すと、試合の流れは一気に熊本へ。細かなパスワークに翻弄され、北九州は防戦一方となってしまう。
ただ、守勢に回った時の北九州は、今までであれば、ボールを奪っても縦にロングボールを放るだけのサッカーになってしまいがちだったが、この試合では左右に散らす場面も多く見られた。はやる気持ちを抑えて、冷静にゲームを組み立てようという姿勢が、大崩れを防いだと言えるだろう。32分に中嶋雄大が倒されてＰＫを得ると、これを池元友樹が決め同点で前半を折り返す。

後半もボールを回していたのは熊本だったが、次第にほころびも出てきていた。「相手が足元足元に狙ってきていて、その裏が少しずつ空いていた」という与那城ジョージ監督の判断で、59分に新加入のレオナルドを投入。
66分にカウンターから熊本に再度リードを奪われるものの、次第に北九州がボールを持ち始める。レオナルドと同じく新加入の小森田友明と、関光博も相次いで注ぎ込むと、北九州の攻撃に勢いが増し、"何か"が起こりそうな予感が漂い始めた。

そして後半ロスタイム。ゴール前に送られたロングスローのこぼれ球をペナルティエリアの外から佐野裕哉がシュートを放ち、それが相手に当たって跳ね返ったところを、再び佐野が低い弾道の強烈な一撃。ゴール左隅に蹴り込み、北九州がまさに劇的な同点劇を演出してみせた。

先制されるとリズムを崩し、そのまま時間が流れてしまうような試合もあったが、北九州はこの試合で最後まで諦めない姿勢を取り戻し、一回りも二回りも大きくなった。

与那城監督は「３点目を取られても構わないという状況で、選手たちが一生懸命にやった結果。この粘り強さがチームの一番の特徴で、それが出た。選手たちには非常に感謝しています」と話し、最後まで戦い抜いた選手たちを讃えていた。
レオナルドは「チームが諦めない姿勢で、一生懸命プレーをしていたから、あの時間で追いつけた」と笑顔を見せた。自らのミスがあったと自省していた佐野も「引き分けに満足できないが価値あるゴールだった」と前を向いていた。

北九州は結果としては最下位になってしまったが、負けたくないという強い意識で引き分けに持ち込み、選手個人やチームが自信を取り戻せたのは事実だろう。次は、引き分けから勝利へと、また一つステップアップしたい。

以上

2010.07.19 Reported by 上田真之介