7月17日(土) 2010 J2リーグ戦 第18節
草津 2 - 1 福岡 (19:04/正田スタ/3,160人)
得点者:40' 後藤涼(草津)、78' 田中佑昌(福岡)、90' 御厨貴文(草津)
スカパー!再放送 Ch181 7/18(日)深00:00〜
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すべては決勝ゴールのためのプロローグだった。ロスタイム突入直前の90分、CKのこぼれ球を拾った菊池大介が左サイドで切り返して絶妙なクロスを入れる。そのボールはゴール前をすり抜けてファーサイドに飛び込んだ御厨貴文の足元へ。御厨が左足で合わせたボールは、草津サポーターの思いをのせてゴールネットへと吸い込まれた。5連勝で正田スタへと乗り込んできた4位福岡を撃破する値千金の決勝弾。選手とサポーターがひとつになった瞬間だった。
試合後、福岡の選手が「前半は草津のパス回しがうまくてボールを奪えなかった」と振り返った。このコメントを聞くのはいつ以来だろうか。昨季までは毎試合のように聞いていたコメントを今季は聞くことがなかった。選手たちは自分たちのサッカーを実行できないまま試合を消化し、ジレンマが渦巻いていた。だが、チームは中断期間に方向性を定め、本来の姿を取り戻した。前半に草津が実行したサッカーは魅力に溢れていた。
草津はキックオフ直後から組織的なプレッシングで福岡を囲い込み自由を消すと、奪ったボールを自在に展開してリズムを作っていく。ラフィーニャを生かした「速攻」と、中盤の能力を生かした「遅攻」を使い分けて福岡陣内へと攻め込むと、パスワークとスピードを駆使したサッカーで次々と決定機を築いていく。「つなぐ意識が徹底されて、今までにない形が生まれていた」(熊林親吾)。両チームの中断期間前の序列は完全に崩れていた。
先制点は前半40分だった。ラフィーニャからのスルーパスを受けた後藤涼が福岡DF二人に挟まれながらもペナルティエリアに進入。シュートを阻止しようと体を寄せてきた福岡のファールを誘い、PKを獲得する。ボールはラフィーニャによってペナルティマークへとセットされたが、それを見た後藤が慌ててラフィーニャのもとへ駆けつけ『オレのPKだ』と謙虚に説得。粘り交渉の末にキッカーとなった後藤がPKをきっちりと決めて草津が先制に成功する。
草津はその後もラフィーニャ、高田保則らが次々とゴール前に飛び出しエキサイティングなフットボールを遂行。単調な攻撃を繰り返す福岡に対して、バラエティに富んだ攻撃を披露していく。だが、高田のシュートがポストに弾かれるなどチャンスを逸した草津は福岡を仕留めるまでは至らずにゲームは終盤へと向かっていく。
1点のリードを許した福岡は後半に田中佑昌、城後寿、鈴木淳の3選手をピッチへ送り出し、前線にアクセントを加える。すると草津が支配していたゲームはしだいに福岡へと傾き始める。草津のプレッシャーが弱まった隙を突いて城後が裏へと飛び出し、チャンスを演出していく。そして78分、鈴木が蹴った右CKを田中佑昌が押し込んでゲームを振り出しに戻す。中町公祐は「相手の運動量が落ちていたので絶対に追いつけると思っていた。中断前はあそこから逆転に持ち込めていたが、今日はそこまで届かなかった」と振り返ったが、福岡は土壇場で草津の執念に屈することになる。
90分。決勝ゴールを決めた御厨は、華麗なバック転を初披露して劇的なゴールの喜びを全身で表現。「ラフィーニャのバック転に負けてはいられないと思って・・・。一応、体育大卒業なんで(笑)」。普通にしていればイケメンで通用するお笑いキャラ御厨は、左コーナー付近でチームメートに捕まり、歓喜の輪に吸収された。
この原稿を書きながら自らの取材ノートを読み返すと、福岡の同点ゴール後のページには『ここからが本当の勝負!』『前半戦との違いを見せろ!』『勝て!』という殴り書きが並んでいた。これはスタンドにいたすべてのサポーターが感じていたことではないだろうか。選手、スタッフ、サポーターの勝利への渇望が、感動の決勝ゴールを呼び込んだ。「前半に結果が出ない中でも応援してくれたサポーターのために後半は勝ち続ける」(松下裕樹)。草津は中断明けの重要なゲームを白星で飾り、最高のリスタートを切った。この勝利は、後半戦に待ち構える奇跡への序章だ。
以上
2010.07.18 Reported by 伊藤寿学
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