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「イニエスタのゴールには鳥肌が立ったし、感動した。スペインのチームワークのよさも感じた決勝戦だった」とワールドカップ南アフリカ大会を振り返った愛媛のキャプテン・福田健二。そして、FW石井謙伍は「個人ではかなわなくても、チーム力で戦えば世界でもやれると感じた」と日本代表の健闘について触れ、同時に「強い相手でもチーム力があれば戦える」と再開されるJ2での戦いに置き換えた。
いよいよ今週末から、待ちに待ったJ2の後半戦がはじまる。ここで改めて中断前最後の一戦を振り返ると、それは石井が愛媛加入後の初ゴールを決めたアウェイ・札幌戦だった。赤井秀一の今季初ゴールで連敗ストップの口火を切った愛媛だったが、前半終了間際に同点に追いつかれた。そして、再びリードを奪ったのが古巣に対する石井の恩返しゴール。「気持ちよく中断期間に入れたし、次の試合も点が取れるという自信にもなった」と振り返ったが、最終的には札幌の内村圭宏にも愛媛への恩返しゴールを奪われてドローに。前半戦唯一の連敗を2で止めたものの、5勝5分6敗と黒星先行。11位で前半戦を折り返した。
「甲府戦（第15節）では勝点を失ってしまったし、あと３つ４つは勝点が多いはずだった」と、前半戦の成績には物足りなさも示したバルバリッチ監督。しかし「残りの試合は必要以上に気負うことなく、1試合1試合戦いたい。そして、結果を残すために試合中は最大限集中した上で、ブロックを固めることが必要」と後半戦でも前半戦のサッカーを継続することを強調した。「やることは変わらないし、自分たちからプレスをかけて、相手より運動量で勝り、攻撃も守備も全員でやり続けるだけ。中断期間はそれに磨きをかけた」と石井が語れば、「個人的にはもっとゴール数を意識したいが、チームとしてやることはこれまでと変わらない。やるべきことを共通理解のもとでやっていくことが大事」と福田。選手たちのコメントからも、これまでと一貫したコンセプトで戦う意志が感じられた。
その愛媛がリーグ戦再開初戦でホームに迎える相手は富山。こちらは第13節の栃木戦から柏、札幌に敗れて3連敗の後、鳥栖に競り勝ち連敗ストップ。しかし、中断前最後の試合はアウェイで東京Ｖに敗れ、4勝1分11敗の16位で前半戦を折り返した。勝ち星こそ愛媛と一つしか違わないが、勝点が伸びなかったのは守備に原因がある。リーグワーストの31失点で、特に後半の失点が多いのが特徴。先制しても思うように勝点に結び付けらなかった。この中断期間でどれだけ守備に関する修正を加えられたか、その成果が問われるのが今節の愛媛戦となるだろう。
ただ、守備の改善が必要なのは愛媛も同じ。失点数こそリーグ3位タイの14失点だが、そのうち半分に当る7失点が中断直前の3試合でのもの。セットプレーからの失点が増えたことも「集中力の欠如」とバルバリッチ監督は指摘。「一人でも気を抜いて、チームワークを失えば自分たちのサッカーはできない。前半戦最後の3試合がそれを証明している」と失点の原因を語った。愛媛は小原章吾やアライールなど最終ラインに故障者が多い、苦しい現状もあるが「与えられた状況に適応しなければならない」とした上で、中断期間で「ブロックを固めてチームワークを高めることに重点を置いた」と続けたバルバリッチ監督。そして「どの部分を強化しなければならないか、そしてどこがよくなったのかはこれからの試合を見てもらえれば分かると思う」と、その調整に自信ものぞかせた。
ただ、愛媛にとっても富山にとっても、およそ1ヶ月ぶりの公式戦。そのパフォーマンスは実際にピッチでキックオフの笛が吹かれるまで、未知数の部分も多い。しかし、今大会のワールドカップを見ても、そして前半戦のJ2を振り返っても、しっかりとした守備ができるチームが結果を残している。それはJ2後半戦の戦いでも変わることはなく、リーグ戦の再開初戦では両チームとも、前半戦で明らかになった課題をどれだけ克服できたかが問われることになるだろう。
以上
2010.07.16 Reported by 近藤義博
