スカパー！生中継 Ch173 後06:50〜
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逆転負けを喫した４節アウェイ千葉戦、宿敵相手に守備的な戦いを選択せざるを得なかった６節アウェイ栃木戦、ロスタイムに同点に追いつかれた１７節アウェイ水戸戦…、草津は中断期間までの１６試合で数えきれないくらいの屈辱を味わった。選手、サポーターは悲しい現実に向き合い、ときに涙を流した。
「前半戦は悔しい思いしかない。サポーターはもちろん、これまでザスパでプレーした選手たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。後半戦は危機感を持って戦う」。草津在籍４年目となる氏原良二は後半戦へ向けて悲痛な思いを口にした。それは草津のすべての選手が同じ気持ちだろう。このままでは絶対に終われない。前半戦を最下位で折り返した草津は、自らの誇りを奪い返すために後半戦へ挑む。
草津は６月１３日の水戸戦後、約１週間のオフを挟んでトレーニングを再開した。６月２９日から７月１日にかけてはクラブ発祥地・草津温泉でミニキャンプを張った。そしてキャンプの集大成となった５日のプレシーズンマッチ（PSM）・浦和戦では、オーガナイズされた守備とポゼッションをベースにしたサッカーを披露し「金星」を挙げた。「前半戦はチーム規律を消化することができず動きがぎこちなかったが、今はみんなが規律を理解して自然に動けるようになった」（高田保則）。チームは中断期間を経て明らかに進化している。
６月下旬には、身長１９３センチの大型CBダニエルとMFアレックスのブラジル人選手を補強。ダニエルはDFラインに「高さ」をもたらし、アレックスは攻撃の新たなオプションとなる。チームが成熟してきているだけに当面は途中出場が濃厚だが、ベンチにいれば心強い戦力となる。また副島博志監督が「二人が来たことで他の選手に危機感が生まれ、ポジション争いが熾烈になってきた」と話すようにチームは活性化している。ブラジル２選手がチームにフィットすれば後半戦の面白みはさらに増すことだろう。
一方の福岡は中断前に５連勝を果たし、その勢いで正田スタへと乗り込んでくる。４月は４連敗を喫したものの１１節熊本戦で６−１と快勝すると、以降の７試合で６勝１分。順位も４位までアップし、３位千葉に勝点２差まで迫っている。「連敗の時も自分たちのサッカーを信じて続けてきたことが、今の結果につながっている」（篠田善之監督）。福岡は、昇格というターゲットがくっきりと見えてきただけに選手の士気も上がる。
福岡は、５日のPSM草津vs浦和、１０日に新潟で行われたトレーニングマッチ新潟vs草津の２試合に偵察部隊を送り込んできた。このことからも福岡が本気になっていることがわかる。草津は浦和戦では快勝、新潟戦では完敗を喫したが、福岡の偵察陣の目に草津はどう映ったのだろうか。今ゲームで福岡が草津に対してどのような戦いをしてくるか興味深い。副島監督は「福岡はうちの２試合を観て、良い面と悪い部分の両方が分かったのではないか（笑）。相手がどうであれ、うちは中断期間に継続してトライしてきたサッカーをするだけだ」と語る。両陣営の水面下での情報戦はすでに始まっている。
草津は、今節４位福岡戦を皮切りに、５位鳥栖、７位熊本、６位栃木という４〜７位グループとの４連戦に突入する。「前半は２勝４分１０敗だったので後半戦はその逆の成績（１０勝４分２敗）プラスαを目指す。そうすれば当初の目標（７位）が見えてくる」（副島監督）。前半戦はチームの方向性が定まらずに結果を残せなかったが、苦しみの中でチームはスタイルを確立し大きな成長を遂げた。松下裕樹主将は「自分たちのスタイルで結果を残し前半の分を取り返す」と挽回を誓う。草津は前半戦で後れを取ったが、まだ「ゲーム」は半分以上残っている。キックオフのホイッスルは、反撃開始の合図だ。
以上
2010.07.16 Reported by 伊藤寿学
