事の発端は、櫻田が地図を忘れたことだった。
6月29日から7月1日にかけて2泊3日で行われた草津温泉キャンプ。ザスパ草津発祥の地である温泉街でのキャンプは、クラブにとって特別な行事なのだ(草津は2005年のJ2昇格後に温泉街を離れて前橋市のクラブハウスに本拠地を移した)。
予算の都合上、草津温泉への移動は選手マイカーによる「あいのり」。基本は3人一組だ。出発前日、選手たちには一枚の紙が配布されたという。それは草津町のお隣・嬬恋村にある練習グラウンドの地図だった。まさに「オリエンテーリング」。選手の地図解読能力が試される特別トレーニングとも言える。
ほとんどのグループはナビを頼りに現地に到着したが、とんでもないところへ辿り着いたグループが出現した! 高田、櫻田、佐田の天然素材グループだ。早朝6時に前橋市内を出発したようだが、いきなり櫻田が地図を忘れるアクシデント。急きょ、佐田がチームスタッフに連絡。現地の住所を確認しナビにセットした。これで問題ないはずだった・・・。
目的地である嬬恋村は、夏秋キャベツ大生産地として全国的に知られる土地。主要道路から裏道へ入れば、一面にキャベツ畑が広がる大高原だ。夏には多くの観光客が訪れる人気スポットでもある。天然素材グループは、前橋出発から約2時間半後、サッカーグラウンドではなくキャベツ畑にいた! 確かにピッチの色と似てなくもないが、キャベツ畑でサッカーはできない。
「なんか細い道に入っていくなあと思っていたら、どんどん道が狭くなっていって最後は車一台がやっと通れるような農道になって・・・キャベツ畑のド真ん中でした。普通、そこまで行かないうちに気付きますよね(笑)」とグループリーダーの高田。「3人寄れば文殊の知恵」という言葉があるが、天然素材グループにおいては例外だった。
ちなみに3選手は草津温泉キャンプで最高の調整を行い、7月5日のプレシーズンマッチ浦和戦で大活躍。高田は先制ゴールを決め、櫻田、佐田は90分間に渡り気迫のプレーをみせつけた(試合レポート)。キャベツ畑の中心で勝利を叫んだことが、浦和戦の大金星につながったのかもしれない。
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2010.07.09 Reported by 伊藤寿学
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