鹿島 0 - 1 千葉 （16:00／ひたちな／4,880人）
得点者：29' 伊藤 大介（千葉）
☆プレビュー・試合後の両監督、選手コメント
----------
「どんなカテゴリーでも、みんな勝つためにやっている」
そう話すと、深井正樹は晴れやかな笑顔を見せた。
一方、小笠原満男の表情は憮然としたものだった。
「負けちゃいけない試合だった。悔しい」
鹿島は7月14日、千葉は7月18日のJリーグ再開を前に行われたプレシーズンマッチは、1対0で千葉が勝利を収める結果となった。
試合会場が、海にほど近い"ひたちなか市総合運動公園陸上競技場"だったということもあり、じっとしていると少し肌寒さを感じる程の風が吹いていた。前半、風上になった鹿島は、それもあってかロングボールを利用する。前半8分、千葉のDFが処理を誤ったところを興梠慎三が抜け出しGKと1対1になるも、放ったシュートはポストに当たり得点とはならなかった。そしてここから、鹿島の両FWは何度となく決定機を迎えるもゴールを奪うことが出来ずに終わってしまうのである。
前半だけでも13分に小笠原からマルキーニョスにスルーパスが出るも逸機、30分にも興梠のセンタリングをマルキーニョスが外してしまう。後半になっても47分、65分、68分と観客のため息を誘うばかりだった。
対する千葉は前線からプレッシャーを仕掛けてきた。鹿島がロングボールを利用したのも、千葉のそうした姿勢が影響していたわけだが、それにしてもキャンプ明けで疲労が溜まる苦しい時期に、献身的なランニングを続けた。ボールを奪ってからの切り替えでも、鹿島の選手を置き去りにする場面が見られた。そして、得点もそうした動きから生まれる。
29分、中央で青木剛と激しく体をぶつけあっていたネットが、佐藤勇人のパスを綺麗に落とす。そこに2列目の伊藤大介が走り込むと、鹿島の選手はついていけない。ラインの裏に抜け出した伊藤が落ち着いてゴールに流し込み、千葉が狙い通りの形から先制点を奪って見せた。
「トラップがうまくいった」と喜ぶ伊藤。いまだ公式戦の出場はないが、前線へ飛び出していく小気味よさは千葉らしい輝きを放つ。工藤公平、佐藤勇人らと同じ匂いを感じさせ、後半戦のブレイクが期待される選手だった。
リードを奪われた鹿島はハーフタイムで、「しっかりやろう」とチーム全員で確認。徐々に選手の動きも増え、パスが回るようになったが相手を押し込むことが出来ず、決定機をつくってもゴールは遠いまま。90分を、そのままのスコアで終えることとなった。
プレシーズンマッチとはいえ、Ｊ１チャンピオンがＪ２のチームに負けてしまったということで、鹿島の選手たちの表情は固かった。内田篤人の海外移籍を受け、右サイドバックに回った新井場徹は「Ｊリーグじゃなかったのが幸い」と、この敗戦を真摯に受け止めていた。とはいえ、体が動かなくなるほど激しいトレーニングを積んできたのも事実。2ヶ月近い中断があったため、オリヴェイラ監督は後半戦の再開を"2度目の開幕"と捉えている。春のキャンプでも、同じように調整を行い、きっちり開幕戦に照準を合わせてきた実績を見れば、それ程心配する結果ではないだろう。
「たまたま準公式戦だったというだけで、我々にとっては調整試合だった」
というオリヴェイラ監督の言葉も、決して強がりではないはずだ。
一方で千葉にとっては自信になったはずだ。何度もピンチを招いたとはいえ、結果としては無失点。左サイドバックのアレックスが攻撃参加したときの厚みは、Ｊ２とは思えない程のものだった。攻から守への切り替えと、最終ラインの安定感が増せば、後半戦も順調に勝点を伸ばしていけるだろう。
「いろんな課題が出てきた。あと2週間くらいあるので修正したいと思う」
江尻篤彦監督の言葉だけ見ると、敗戦の将とも捉えられそうな内容だが、その表情に曇りはなかった。
J再開まであとわずか。両チームともに、出てきた課題をそれまでに消化したいところだ。
以上
■鹿島の再開初戦はこちら！
7月14日（水）J1 第11節 鹿島 vs 湘南（19:00KICK OFF/カシマ）
■千葉の再開初戦はこちら！
7月18日（日）J2 第18節 千葉 vs 札幌（19:00KICK OFF/フクアリ）
2010.07.04 Reported by 田中滋
