2010Ｊリーグプレシーズンマッチ 駿河健康ランドデー
清水 vs 甲府（18:00KICK OFF/アウスタ）
----------
富士山をはさんで南北にホームを置く清水と甲府。以前は、選手やスタッフの行き来も多く見られ、関係の深いチーム同士でもある。そして、その対決はいつしか「富士山ダービー」と呼ばれるようになり、両クラブのサポーターも大いに注目する対戦となっている。
現在は、甲府がJ2で戦っているため、対戦機会は少なくなっているが、昨年は天皇杯4回戦で当たるなど（清水が3-0で勝利）何かと縁があるクラブ同士。それもあって、このような形でプレシーズンマッチが組まれたことは、大きな意味があり、本当に楽しみでもある。
ワールドカップでゴールを決めた岡崎慎司は、帰国直後なので残念ながら出場しないが、サッカーをスタジアムで生で見たいというサポーターの気持ちは非常に高まっているはず。選手たちも、ワールドカップの戦いがまだ続き、日本国民の興奮も残っている中、恥ずかしい試合は見せられないという思いは強いだろう。
そう考えると、プレシーズンマッチとはいえ、かなり熱い試合が見られそうな期待感は十分にある。
ただ、清水のほうは、100％のパフォーマンスを発揮するには、フィジカル的に難しい状況にある。ヤマザキナビスコカップ予選リーグが終わった後は1週間のオフをとったが、6月14日に再始動してからは、シーズン中としては異例なほどハードなトレーニングを続けてきたからだ。その目的は、終盤に失速した昨シーズンの二の舞になることがないように、また夏場のタフな戦いを勝ち抜いていけるように、肉体的なベースを高めておくことにある。
先週の御殿場キャンプ中には、嘔吐する選手が続出するほどハードなサーキット走を行うなど、暑さが厳しい中、本当に見ている側も辛くなるほど厳しいトレーニングを行っていた。そんな中でも、「今のうちに身体をいじめておくことが大事」（小野伸二）と選手たちは前向きに取り組んでいるため、リーグ戦再開後にその成果がどう表われてくるのか、非常に楽しみでもある。
しかし、この試合だけに関して言えば、今週も練習の負荷をあまり落としていないため、身体の重さをかなり残した状態で臨むことになる。その中での最大のテーマは、「どんな状況・試合であっても、勝負にこだわって戦えるチームにならないといけない」（長谷川健太監督）という部分だ。
ワールドカップの日本代表の戦いにおいても、細かいところまで勝負にこだわって戦い抜くことがどれほど重要なのか、観ている我々にもイヤというほど伝わってきた。そういう部分をプレシーズンマッチでも徹底できなければ、タイトルにもつながっていかないだろう。「しんどい中で、それぞれがどこまで戦えるかどうか」（長谷川監督）という部分を、清水サポーターとしては、大いに注目してほしい。
また、リーグ再開に向けたチーム作りの過程としては、これまでのフィジカル中心の段階から、体調を整えながら戦術的な細かい確認をしていく段階へと切り替わっていく節目となるのが、このゲーム。やるべきことは再開前と変わらないが、早い切り換えからのショートカウンター、相手に引かれたときにどうボールを動かしながら崩していくか、そして昨年よりも失点が増えているセットプレーの守りなど、チェックすべきポイントも多い。
一方、甲府のほうは、6月12日の第17節（千葉戦）からリーグ戦が中断に入り、清水と同様に1週間のオフをとった後で、ここまで2週間のトレーニングを続けてきた。J2リーグでは現在2位タイという好位置につけており、ハーフナー・マイクとパウリーニョという新加入の強力ＦＷもしっかりと結果を出している。得点数はJ2で2位（30得点）、失点数はその約半分（16失点）と攻守のバランスがとれており、実力的にはJ1レベルにかなり近いと言えるだろう。
そんな甲府にとっては、ここでJ1首位の清水を倒せば、再開に向けて、またJ1復帰に向けて大きな自信となることは間違いない。当然、ホームの清水と同様、強く勝負にこだわった戦いをしてくるだろう。
今のサッカー熱をさらに盛り上げるためにも、熱い期待を込めて見守る多くのサポーターの前で、本当に気持ちの入った戦いを見せてほしい一戦だ。
以上
■清水の再開初戦はこちら
7月17日（土）J1 第13節 清水 vs 磐田（18:30KICK OFF/アウスタ）
■甲府の再開初戦はこちら
7月18日（日）J2 第18節 大分 vs 甲府（18:00KICK OFF/大銀ド）
2010.07.02 Reported by 前島芳雄
