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【J2:第17節 東京V vs 富山】レポート:ルーキー阿部が、初先発初ゴールで東京Vに勝利をもたらす。富山は、自分たちの初歩的ミスの連続で無念。(10.06.13)

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6月12日(土) 2010 J2リーグ戦 第17節
東京V 1 - 0 富山 (13:03/駒沢/3,316人)
得点者:12' 阿部拓馬(東京V)
スカパー!再放送 Ch185 6/14(月)前04:00〜
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「今日のプレーをこのままコンスタントに続ければ、必ず点がくる」
前節・大分戦後、後半45分間の出場で好アピールをした阿部拓馬本人に話したという土屋征夫の言葉は、現実のものとなった。
「バウルさん(土屋選手)のような経験豊富な人に『今のプレーを続ければ大丈夫』って言ってもらえて、自信になりました」。元々、日頃の練習から精力的に取り組んできた選手だが、自分のプレーに自信を深めたルーキーは、この一週間でもさらにアピール。プロ入り初先発のチャンスを勝ち取り、前半12分、見事ゴールという最高の形で期待に応えた。

試合前、「シュートへの意識、運動量を上げて、積極的に前へ前へと運べるようにしたい」と語っていた通り、ボールを持ったら迷わずゴールに向かい、チーム全体に前へのパワーをもたらした。
また、平本一樹、河野広貴、菊岡拓朗といった、周囲の選手との連携も非常に良く、特に逆サイドの菊岡とは頻繁に左右のポジション入れ替えながらの攻撃は効果的だった。

阿部ばかりではなく、平本、河野、菊岡ら攻撃陣、さらには佐伯直哉、柴崎晃誠の両ボランチのパフォーマンスも非常に高く、得点は、まさにそれらを象徴しているような形だったと言えよう。
徐々に自分たちのリズムを掴みかけていた前半12分、河野からのパスを、平本が相手DFを背負いながらも体を張って収めたところに阿部が走り込む。上手くボールをさらいながらもバランスを崩すが、あきらめずに突破しシュート。相手GKをよく見たループ気味のシュートが決まった。
立ち上がりから、指揮官はピッチに出て直接阿部に「中に入ってプレーしろ」と指示を与えていたが、助言通りの中央を使った形。さらにはエリア内で勝負できるという特長が出た、“阿部らしい”ゴールだったのではないだろうか。
「こういう展開を、ずっと待っていた」主将・富澤清太郎も、チャンスを得た新しい選手の活躍を、心の底から喜んだ。

前節の反省から、この試合では、攻撃のアイデアを増やすことが1つのポイントとなっていたが、河野独特の精度の高いパス、平本の強さと、シュートに至るまでの演出も、非常に見応えがあった。
得点シーンばかりではない。攻撃陣がそれぞれの個性を持ち寄って繰り出すドリブル、パス、シュートを絡めたアイデアの豊富さは、前節を上回っていたように見えた。また、目立ったのが、柴崎晃の攻撃参加だった。ボランチである彼が前線に顔を出せる展開の時は、主導権を握れているバロメーターと言える。その点でも、この試合を優位に進めていたことは表れていた。

だが、当然ながら、攻撃だけでは勝てない。例えば阿部が中央でプレーしている時、大きく空いた高めの右サイドを右サイドバックの福田健介が埋め、それによって空いたスペースにはボランチの佐伯が入ってバランスを保つなど、チーム全体がひとつの組織としてカバーし合えていたことも非常に大きかった。4試合ぶりの無失点勝利は、守備陣に再び自信を与えたに違いない。

ただ、先制してからトーンダウンし、2点目を奪えなかったことは、今後の大きな課題として残った。
さらに、攻撃のバリエーションという点においても、「特に好は右サイドで河野、健介、拓馬、晃誠でボールがよく回ったけど、そこから逆サイドに振るとか、ななめに走っていく選手がいたりすると、もっと厚みのある攻撃ができる。それがまだウチにはない」と、GK土肥洋一は指摘。これからチームがもう一段回レベルアップするためには、非常に重要なポイントとなりそうだ。

一方、富山は今回もアウェー初勝利を挙げることができなかった。
攻守の切り替えが早く、両サイドバックの位置が高い東京Vに対し、「ボールを持ってからの判断を早くし、1タッチ、2タッチでボールを動かし、両サイドバックの裏のスペースを突く」ことを狙いとしていたが、「自陣のコートでのパスミスとかコントロールミス、判断のミスなど、本当にミスの連チャン。あまりにも悪すぎた。今年ワースト2、3ぐらいの内容」と、楚輪博監督は嘆いた。戦術以前に自分たちのミスが重なり、思うような試合運びをすることができなかったようだ。

それでも、「後半残り15分ぐらいは、点を取りに行こうという意欲がしっかり見えた」(楚輪監督)。特に、舩津徹也、石田英之など途中から入った選手が効果を発揮し、決定的なシーンを立て続けに作りだした。GK土肥の好セーブによって、同点に追いつくには至らなかったが、最後まであきらめない粘り強さが出せたことと、「カウンターが嫌だった」(東京V・河野)と相手に言わせた勢いあるカウンターは、自信を持っていいはずである。
あとは、「あまりにもスキルが足りない」(楚輪監督)。年間8位以内という目標達成へ向け、中断後もしっかりと個々のレベルアップを図るしかないだろう。

以上

2010.06.13 Reported by 上岡真里江
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