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【J2:第17節 岐阜 vs 岡山】レポート:耐え凌いだ岐阜が掴んだ完封勝利!改善点が多く見られた実り多き一戦!(10.06.13)

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6月12日(土) 2010 J2リーグ戦 第17節
岐阜 1 - 0 岡山 (19:04/長良川球/2,920人)
得点者:2' 野垣内俊(岐阜)
スカパー!再放送 Ch183 6/14(月)前04:00〜
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スタメン表を見て驚いた。中断前最後の一戦に倉田安治監督は大きなメスを入れてきた。「今日の試合はもともとのポジションに戻したということになる。選手のプレーの幅を広げるためにいろんなトライをしましたが、それがちょっと行き詰ったというか、停滞した感があったので、ちょっと戻しました」と語ったように、前節の横浜FC戦の後半同様に、秋田英義を左SB、田中秀人をCB、橋本卓をボランチと、それぞれ本来のポジションに戻して起用したが、それ以外にも野垣内俊を右SBに、今季初先発となる川島眞也をボランチに、左MFに押谷祐樹、右MFに染矢一樹、西川優大を本来のポジションであるFWに起用。まさにてこ入れとも言えるスタメン改革に乗り出した。
これが奏功し、立ち上がりから岡山を押し込むと、2分にいきなり先制点を奪う。左サイドをオーバーラップした秋田の突破から、マイナスの折り返しをファーサイドで野垣内が合わせた。
その後も西川が前線で起点となり、タメができたことで、押谷と染矢の両サイドが2トップに近いポジショニングでプレーすることが出来、バイタルエリアで仕掛けたり、2トップを追い越す動きなどを見せ、攻撃に厚みをもたらした。
だが、4連敗中の岡山もDFラインを高くし、前線からの果敢なチェックで、岐阜に真っ向勝負を挑んだことで、徐々に岐阜を押し込んでいく。効果的だったのが左MFの川原周剛と、右MF喜山康平の両サイドアタッカーの動きだ。果敢にプレスに行く2トップとボランチの一角の田所諒のカバーリングと、ボールを奪ってから果敢に裏に飛び出していき、岐阜の守備陣を揺さぶった。
岐阜としてはここで落ち着いて対処すべきであったが、中盤でのパスミスが見られるようになり、リズムを掴めなくなっていく。立ち上がりから全体的に岐阜の布陣は岡山に対してはまっていた。しかし、はまっているのにリズムをしっかりと手中に収めきれない。これは前線に西川、中盤で橋本というタメが出来たが、そのタメに対し、ポゼッションの精度が悪く、選手のピッチ上でのポジショニングはバランスが整っているのに、パスミスやワンキープの多さでずれを生じてしまう脆さが顔を出した故であった。

1-0の岐阜リードで迎えた後半、岡山はより両サイドハーフを高い位置に張り出して、攻撃的に出た。さらにDFラインとGKの連携が悪いと見るや、早い段階でDFラインの裏へ蹴りこんで、岐阜の守備の乱れを狙った。ただ、岡山も岐阜同様にプレーの精度が悪く、単純なパスミスや、タイミングの悪さなどで、思うような形を作れない。そうなると試合は途中から蹴りあいとなり、どちらのペースにも収まらないあわただしい展開が続いた。
そして63分にはラフプレーで川島が退場。これで試合が動いた。一人少なくなった岐阜に対し、岡山が容赦なく攻め立てる。前線は4トップ状態になり、数で押し込んでいくと、岐阜は前線で西川のみを残し、後は全員で守りに入り、徹底したブロックディフェンスで応戦。度重なるピンチを迎えるが、GK野田恭平を中心に体を張った守備で耐え凌ぎ、そのままタイムアップ。岐阜が逃げ切る形で1-0の勝利を掴んだ。

岡山にとってこれで5連敗と、連敗から抜け出せないまま中断期間を迎えることになった。しかし、「結果が出ればよかったのですが、内容はよくなっている。この悔しさをもって、中断期間を迎えれば、特に攻撃の部分は、必ず改善できると思う」と影山雅永監督が語ったように、リスクを犯して積極果敢に前に出て行く姿勢は好感を持てたし、迫力もあった。特にサイドで数的優位を作って、2列目以降の飛び出しを絡めた攻撃は、細かい精度を高めれば、非常に面白いだけに、影山監督の言葉通り、中断期間での改善で大きく変わるだろう。
一方で岐阜は、これまでの試合と比べても前半は非常にいい出来だった。何よりこれまでの岐阜にかけていた『躍動感』が随所に見られ、観客が沸くシーンが多かった。だが、前半を細かく見てみると、本当の意味でリズムを掴んだのは20分まで。それ以降はリズムをつかめるチャンスはいくらでもあったのに、掴めない展開が続き、退場者を出してからは我慢のサッカーを強いられた。それでも勝利を上げることが出来たのは、それだけ地力が付いてきた証拠で、中断明けに向けての大きな光となった。

だが、これから中断期間に入るからこそ、勝利に浸るより、改善点を指摘しておきたい。この試合を見て、岐阜に必要なものがひとつ見えた。それはCBのボールキープ。西川と橋本というボールホルダーがいても、高い位置にいるために、低い位置でのタメが出来ない。DFラインでひとつでもタメがあれば、全体が安定する。岐阜を見ていると、DFラインでのばたつきが、モロに中盤から前に影響を与えてしまっている。ビルドアップをしたくても、時間が無かったり、逆にボールを奪われてボランチとDFラインの間のスペースを突かれてしまう。そういうシーンが多々見られた。より攻守の切り替えが早く、リズムを掴みきれるサッカーを展開するためには、やはりここが改善ポイントの一つとなるだろう。
この他にもサイドチェンジの応対や、クロスの応対、サイドバックの攻撃参加、ポゼッションの精度など、改善点は様々ある。いい形で中断期間を迎えただけに、少しでもこの期間で改善し、リスタートに繋げて欲しい。ただ、これだけはいえることは、この試合で中断期間明けの楽しみが出来たことは間違いない。

以上

2010.06.13 Reported by 安藤隆人
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