今年でJリーグが始まってから18年目。Jリーグは様々な出来事を積み重ねながら、その歴史を刻んできた。まるで昨日の出来事のように思い出されるシーンもあれば、データブックを見返しながら、「そうそう」と相槌を打つ記憶もある。それぞれの価値は立場によって異なるだろうが、そのひとつ、ひとつの全てが現在のJリーグを作ってきた。
その中で、今でも私のまぶたに焼き付いて離れないシーンがある。それは2006年8月12日に博多の森球技場(現レベルファイブスタジアム)で起こった出来事だ。当日の様子を私はJ'sGOALのゲームレポートに次のように記した。
「私の記憶の中では、博多の森のアウェイ側ゴール裏が相手サポーターで埋め尽くされたのは浦和戦を除けば初めてのこと。福岡サポーターを大きく上回る人数と、統制の取れた応援スタイル。キックオフ前には青と黄色のストライプがゴール裏に見事に描き出された」。
それは私にとっては強烈な出来事だった。博多の森球技場を、一瞬のうちに大分のホームであるかの様な空気を作り出した大分サポーターの姿。「やられた」。その瞬間、その言葉が私の頭を支配した。そしてスコアは0−2。完敗だった。あの日の出来事は今も私の心に強く、強く刻まれている。
そして、4年ぶりに大分との九州ダービーを迎える。戦いの舞台はバトル オブ 九州。雪辱の舞台は整った。事前情報によれば、アウェイ側ゴール裏は完売に近い状態らしい。大分サポーターは、あの日と同じように全ての力を結集してダービーマッチを取りに来る。しかし、それも望むところだ。力と力のぶつかり合いの中で勝利を手にすることにこそ意味がある。福岡が示さなければならないのは、レベルファイブスタジアムは福岡のホームであるということ、そして、勝者は福岡だということだ。
しかし、本音を言えば、第17節の大分とのダービーマッチは新たな戦いの序章にしか過ぎない。本当の戦いはJ1の舞台で鎬を削り合うこと。もちろん、過去の雪辱を果たすために、九州にホームタウンを置くチームの後塵を拝さないために、週末の試合は勝利しかいらないことに変わりはない。しかし、福岡も、大分も、互いに求めるのは最高峰の舞台でのダービーマッチ。その思いは、北九州も、鳥栖も、熊本も変わらない。いつの日か、九州5チームがJ1でバトル オブ 九州の熱い戦いを繰り広げること。それが全クラブ、そして九州サッカーファンの思いだろう。
そのためにも、互いの順位に関係なく、互いのチーム状況に関係なく、第17節のベストゲームと呼ばれるような戦いを期待したい。そして、「あの試合での熱く、激しい戦いが、九州5クラブによるJ1での戦いが始まるきっかけになったのだ」と記憶に残るような試合をしてほしいと思う。もちろん、勝利を手にするのは福岡だが……。
以上
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2010.06.13 Reported by 中倉一志
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