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ワールドカップ中断期間前のラストゲームが北関東ダービー・宿敵水戸戦というのも何かの因縁を感じる。草津は前節ホーム札幌戦でクラブ最多となる９３８２人を集めて集客作戦「草津ＧＯ！９３２５！プロジェクト」を達成。ゲームはドローで終わったものの、チームとサポーターが一体となって勇気をつかんだ。今節の北関東クラシコで、草津はライバル水戸を倒して後半戦へ弾みをつける。
ワールドカップ開幕で世間はお祭りムードが漂っているが、草津にとっては正真正銘の修羅場だ。今季低迷が続く草津だが６月１３日から７月１７日までの中休みを最下位のまま過ごす訳にはいかない。「最下位では悔しいので絶対に順位を上げておきたい」（菊池大介）。18位北九州を勝点１差、１７位岡山を勝点３差で追うチームは、水戸から勝点を略奪して上への道を切り開く。
現在のチーム状態は今季ベストだ。草津は札幌戦で１９本のシュートを放った。「これまでは５本とかの試合もあったので、３〜４試合分ですね（笑）」（廣山望）。廣山がボランチに入ったチームは前への推進力が増し、リズムを取り戻した。状況に応じて長短のパスをつなぐ２０１０シーズンのスタイルがようやく見え始めた。前線のラフィーニャがタメを作っていることも大きい。「みんなが自信を持ってボールを回すことができていた」（熊林親吾）。つなぐ意識を高めることで本来の姿を取り戻したチームは、攻守の歯車が噛み合い出している。
攻撃のアクセントとなったのは前田雅文だ。前節、後半のピッチに立った前田は２列目でボールをさばき前線のスペースへと飛び込んでいった。甲府時代の過去２シーズンはケガに苦しみ、昨季は一度も試合出場がないまま草津へと移籍。シーズン序盤はリハビリを続けてきた。そして５月１５日の甲府戦で復活した。「周囲は『復帰できて良かったね』って言ってくれるけどピッチに立った以上は結果を残さなければいけない」（前田）。札幌戦では、右クロスをヘッドで流して初アシスト。今ゲームでは草津での初ゴールを狙う。
一方、守備でチームを支えたのは御厨貴文だ。御厨も今季甲府から草津へ移籍、当初はＣＢとＳＢで併用されていたが前々節からは左ＳＢとして固定され気迫のＤＦを見せている。札幌戦では闘志溢れるカバーリングで再三に渡るピンチを救った。御厨は「『前に行ったスピードで戻って来い！』って自分で自分に言い聞かせていた（笑）。その前の試合までは隣の田中のカバーを意識していたけど札幌戦はゾノ（有薗）のエリアもカバーしようと思った」と話す。つかみどころのないユニークキャラだが試合中は本当に頼れるプレーヤーだ。
対する水戸は順位こそ１３位につけているものの、上位陣から白星を奪ったかと思えば次の試合では良いところなく敗れるなど不安定な状態が続いている。ハマったときは戦えるが、ハマらなければチーム力は発揮できない。草津は攻撃陣のスピードを活かして水戸最終ラインのギャップ、ウィークポイントを突きたいところ。「うちは前節で良いゲームができたのでメンタルのアドバンテージがある。アウェイだけど多くのサポーターが来てくれると思うので自信を持ってプレーできる」（高田保則）。草津の選手たちは、前節で勇気をくれたサポーターへ勝点３を届けるために戦う。
「ダービーは調子が良いとか悪いとか、順位が上とか下とか関係ない。サポーターはこの試合を意識しているだろうし、その気持ちに応えたいと思う。必ず勝って中断期間に入る」（松下裕樹）。Ｋｓスタの「Ｋ」は草津の「Ｋ」。合言葉は「勝って帰ろう！ＨＯＭＥ敷島へ」。決戦の地・Ｋｓスタには南アフリカ以上の感動があるはずだ。
以上
2010.06.12 Reported by 伊藤寿学
