6月9日(水) 2010 ヤマザキナビスコカップ
C大阪 1 - 2 F東京 (19:00/長居/6,296人)
得点者:44' 小松塁(C大阪)、61' 赤嶺真吾(F東京)、90'+3 梶山陽平(F東京)
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結末はC大阪にとって悪夢であり、F東京にとっては劇的だった。1-1で迎えた試合終了間際の90+3分、C大阪のパスミスを奪ったF東京MF梶山陽平が自ら左サイドからドリブルで持ち込むと、そのまま中へ切れ込んでシュート。これがきれいに決まり、F東京が土壇場で勝点3を獲得。前年度覇者は、最後の最後でAグループ1位に躍り出て、ベスト8の切符を自力で手に入れた。逆にC大阪は、前節の大宮戦に続き、またもロスタイムの失点に泣き、未勝利、最下位という屈辱的な結果で、4年ぶりのヤマザキナビスコカップから姿を消すことになった。
予選リーグ敗退がすでに決まっていたC大阪と、決勝トーナメント進出には絶対に負けられないF東京。一見するとモチベーションの差は明らかだったのだが、「今日はホームで戦うというのもあるので、点を取って勝って終わりたいというのが、みんなのなかにも、監督のなかにもあったと思う」とFW播戸竜二。クラブの誇りにかけて、予選リーグ初勝利が絶対に欲しかったC大阪は、右サイドバックに攻撃力のある酒本憲幸を入れ、3シャドーの左には成長著しい19歳のMF丸橋祐介を初先発させた以外、出場停止明けのGKキム ジンヒョンが2試合ぶりに復帰するなど、現状のベストメンバーで勝ちに行った。
開始早々の4分にF東京DF中村北斗の強烈なブレ球による直接FKでゴールを脅かされたが、9分にショートカウンターから丸橋が得意の左足でシュートを放つなど、決して引くことなく攻めたC大阪。途中、特にセットプレーからピンチを多く招いていたが、25分にCKからのF東京DF森重真人の決定的なヘッドをGKキムのスーパーセーブで凌ぐと、流れはC大阪に移る。すると、前半終了間際の44分、右サイドから中へと切れ込んだFW小松塁の地を這うような強烈左ミドルで先制に成功。C大阪は今大会初めて前半で相手をリードして折り返す。
後半に入り、「F東京は、バランスを崩して攻めてくるというのはわかっていた」(C大阪DF茂庭照幸)なかでも、序盤は丸橋、家長昭博を軸に追加点を取りに行き、乾貴士、小松にチャンスも訪れたのだが決め切れず。「逆にこっちがちょっと延びちゃったというか、前と後ろがバラバラになってしまって」(茂庭)、相手にペースを奪われると、61分にCKから失点。さらに勢いの増すF東京をイエローカード覚悟で止めてしまう形も散見し、終盤にはDF上本大海の負傷交代というアクシデントも重なって後手に回ったC大阪は、最後にはF東京の圧力の前に屈してしまった。
「あの時間帯で点を取られるということは、最後が甘い」と丸橋。初の公式戦フル出場で気を吐いていたが、試合後は悔しさをにじませていた。また、「決め切れなかったのが敗因になったと思う」と乾。「後ろが必死であれだけ耐えてくれたので、前が2点目、3点目を取って、後ろを楽にさせてあげないと、この先もそういう負け方が増えてしまう」と自らを責めるように、今後への課題を口にしていた。
一方のF東京は、先にリードを許しながら、「選手もサポーターも、誰も最後まであきらめない姿勢を見せられた」と城福浩監督。「試合中、仙台が勝っているということは、はっきり言ってくれて、勝たないといけないということはハーフタイムに言われた。そこでみんな当然勝つんだと、行けるという雰囲気も出た」と梶山も言うように、予選リーグ突破へ勝つしかない状況に追い込まれたなかでもイレブンが奮起すると、FW赤嶺真吾が同点弾を押し込み、チームを勢い付ける。そして、67分に3枚目のカードとして切られた重松健太郎の登場や、森重の攻撃的ボランチおよび徳永悠平の右サイドへのコンバートで完全に「イケイケ」状態になると、最後はF東京の10番が自らの足で、それも傷めていた右足で決勝ゴール。青赤軍団に最高の歓喜をもたらした。
「攻撃も守備も最後まで自分たちが(集中を)切らさずにやれたというところを、神様が見てくれたのかなと思う」と述べた城福監督。タイムアップのホイッスルが鳴った瞬間、両手を高らかに突きあげた闘将は、選手、スタッフ、サポーターとともに勝利の喜びを体いっぱいで表現していた。
これでV川崎(現東京V)、千葉に次ぐヤマザキナビスコカップ連覇へ、また一歩前進したF東京。決勝トーナメント初戦では、Bグループ2位で現在J1リーグ戦暫定首位の清水と対戦することが決定。殊勲の梶山は「また決勝を目指して、みんなで1試合1試合やっていかないといけない。決勝の舞台に行けるよう、戦っていきたい」と、昨シーズンの再現を誓っていた。
以上
2010.06.10 Reported by 前田敏勝
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