6月9日(水) 2010 ヤマザキナビスコカップ
名古屋 0 - 2 新潟 (19:00/瑞穂陸/3,909人)
得点者:20' マルシオリシャルデス(新潟)、56' ミシェウ(新潟)
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リーグでは優勝候補の一角として振る舞う名古屋が、いいところなくヤマザキナビスコカップから姿を消した。予選突破の可能性を残す新潟がモチベーションに勝ることはわかっていたが、内容でもここまで差が出るとは誰も想像していなかっただろう。この日、名古屋のサポーターはなかなか勝てないチームに対し、叱咤激励の意をこめて応援をボイコットした。瑞穂陸上競技場に新潟の応援だけが響き渡る中、ピッチ上を支配したのもまた、新潟だった。
このヤマザキナビスコカップではメンバー構成に苦慮し続けた名古屋だが、予選最終節になってもそれは同様だった。三都主アレサンドロとマギヌンは負傷から戻ってきたが、増川隆洋と中村直志は出場停止。その代役には竹内彬と花井聖が選ばれた。布陣はヤマザキナビスコカップでのベーシックである4−2−3−1。三都主は普段より1列前の左サイドハーフを任された。
さながら野戦病院のような名古屋に対し、新潟は充実の布陣でわずかな可能性をつかみに来た。W杯メンバーの矢野貴章、酒井高徳は不在だが、その穴は大島秀夫と中野洋司という実力者がカバー。右サイドバックには中盤からFWまでをこなす西大伍を起用し、キックオフからしばらく、西はまるで右サイドハーフのごとく高い位置取りを見せた。このメンバーの特徴は、非常に技術の高いボールプレーヤーが揃っていたこと。そしてそれは、試合展開にダイレクトに反映されていくことになった。
前述したように、試合開始から前傾姿勢を見せたのは新潟だった。攻撃時のフォーメーションは、表現するなら変形の3−6−1。西が右サイドで高い位置を取り、本来右サイドハーフのマルシオ・リシャルデスが中央寄りにポジションを取り、ミシェウとともに名古屋のバイタルエリアに陣取った。狙いは相手のビルドアップに対するプレッシング。これがものの見事にはまった。「無理してビルドアップしたのが裏目に出た」と名古屋の千代反田充が悔やむように、パスワークにこだわる名古屋は新潟のプレスに押され自陣でパスミスを連発。新潟はそれを次々とショートカウンターで切り替えしていった。
そして20分、致命的なミスが名古屋に起こる。ペナルティエリア前から千代反田が苦し紛れに出したパスは、味方ではなくフリーのミシェウのもとへ。素早く前へ持ち出したミシェウがグラウンダーのパスを逆サイドに送ると、走りこんだマルシオが冷静にGKの頭を越えるループシュートを流し込んだ。名古屋にとってはまさに痛恨の失点。その後、名古屋はロングボールを織り交ぜるようになり、これが攻勢につながったが、遅きに失した感は否めない。40分にはダニルソンが、続く43分には小川佳純がチャンスを迎えたが惜しくもゴールはならず。反撃の可能性を見せつつ、前半を折り返した。
後半早々、動いたのは名古屋だ。開始から花井と三都主に代えてブルザノビッチとマギヌンを投入。彼らの働きで一時は盛り返したが、56分、またもミスから新潟にゴールを献上してしまう。原因はまたも、ビルドアップだ。パスコースを探してバックパスを繰り返すうちに、ペナルティエリア近くでマルシオにボールを奪われ、中央へのパスを今度はミシェウにダイレクトで叩き込まれた。ようやくつかみかけた主導権をみすみす手放した名古屋はこれで完全に後手に。2失点目の直後に小川を杉本恵太に代えた名古屋の攻撃意欲は満々だったが、いかんせんつなぎでのミスが減らない。それを逆手に取った新潟は67分に疲れの見える大島を下げ、前線をマルシオとミシェウというテクニシャンに任せ、カウンターの起点としてさらにゲームを支配。名古屋のお株を奪うパスワークを披露した。試合はそのまま0−2で新潟が勝利。なす術なく完敗を喫した名古屋は、まさかの3敗3分の6位。1つも勝利を挙げられないまま終戦の時を迎えた。
「何人かの選手には技術面でガッカリさせられました」。ストイコビッチ監督は試合後に選手を断罪した。田中マルクス闘莉王とケネディがいるリーグ戦では、ピッチを縦断する彼らのホットラインが相手にとっての脅威となっていたが、ヤマザキナビスコカップではつなぎの意識を強めることで、その不在をカバーしようと試みていた。しかしつなぎ重視の遅攻は、きっちりミスなくつなぎきってこそ威力を発揮するもの。それがうまく運ばない時の対応は、今後の名古屋の大きな課題として考えられるべきだろう。主力たちが常に出場できるとは限らないのだから。
もはやサポーターからブーイングも浴びせられなかった名古屋で唯一の救いといえば、ダニルソンと阿部翔平が闘う気持ちを見せてくれたことぐらいか。1対1の局面では相手をなぎ倒すような闘争心を見せた彼らからは、勝利に対する強い意志が感じられた。指揮官は言った。「この大会では何ができて何ができないかの情報を得ることができた」と。これが今後の大ナタを意味するのか、ハードなキャンプを予告するものなのかはわからない。だが、この大敗を機に、世界一の負けず嫌いであるストイコビッチという男に火がついたことだけは確かだ。中断明け、名古屋がダニルソンや阿部、あるいは闘莉王のように闘える集団に変貌していることを、期待して待ちたい。
以上
2010.06.10 Reported by 今井雄一朗
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