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ヤマザキナビスコカップ特集ページ | 皆の投稿で作るスタジアム情報
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すでに予選敗退が決まったチームにとって、残る試合の戦い方というのは非常に難しいものである。勝敗を度外視できるのだから、様々なテストの場とするのもひとつの手だ。しかし、あまりに内容と結果が伴わなければサポーターのブーイングを浴びることになる。それがホームゲームならばなおさらで、負ければ厳しい批判は免れない。
前節で予選敗退が決まった名古屋の状況はさらに厳しい。5月16日のリーグ第12節の敗戦から、ヤマザキナビスコカップ4試合を含む公式戦5試合で2分3敗。実に約一ヵ月にもわたって勝利の美酒を味わっていないのだ。確かにＷ杯のために楢崎正剛やケネディなど主力4選手が不在であり、さらには三都主アレサンドロやマギヌンなど負傷者が続出したというエクスキューズはある。しかしそれを差し引いても、この一ヶ月の名古屋は低調なパフォーマンスに終始してきた。5月22日から始まったナビスコカップ予選4連戦で挙げたゴールはわずかに2。予選最終節を控えたいま、名古屋に求められるのは未来への投資より、忘れかけているゴールと勝利の味を思い出すことといえるかもしれない。
そこで予選最終節にホームで迎え撃つ相手は、決勝トーナメント進出に可能性を残す新潟だ。4月のリーグ対戦時は1-1のドローに終えたが、後半終了間際で追いつかれ、勝点2を失った悔やまれる一戦だった。逆に新潟はここからリーグ6戦4勝無敗と快進撃に突入。その意味では新潟にとって、今季の名古屋戦は縁起の良いカードを言えるだろう。こちらもＷ杯で矢野貴章、酒井高徳と主力を欠くものの、名古屋ほどの痛手ではない。前回対戦時に殊勲のゴールを決めた大島秀夫のポストプレーを軸に、普段どおりの戦いを展開できるはずだ。決勝トーナメント進出には、大量点での勝利が必須条件。何より、予選突破への望みをつなぐというモチベーションの高さが、今回は名古屋に対する最高のアドバンテージとなる。
試合の主導権争いは、ふたつのゾーンの攻防に集約されることが予想される。ひとつは中盤センターの位置だ。ここは名古屋のゾーンディフェンスにおけるいわば“弁慶の泣き所”。前回もこのゾーンでマルシオ・リシャルデスやミシェウといったゲームメーカーをフリーにしたことで、新潟の反撃を加速させてしまっている。名古屋は中村直志や吉村圭司、ブルザノビッチといった中盤センターを務める選手たちだけでなく、周囲のサポートやカバーリングも含め、タイトな中盤の守備を構築する必要があるだろう。
もうひとつは名古屋の右サイドの攻防だ。前回対戦で最も名古屋に脅威を与えていたのは、曹永哲のスピード溢れるドリブル突破だった。しかもロングパスをトップスピードで懐に収める曹永哲の1対1は展開としても非常に速く、右サイドバックの田中隼磨は常に後手に回る不利な対応を強いられていた。名古屋としてはまず数的優位を保って対応したいところだが、パスの出所を押さえる守備にトライするのもいいだろう。そこでボールを奪えればショートカウンターにつながり、奪えなくとも新潟の攻撃の出鼻をくじくことができる。
これらふたつのポイントを抑えれば、名古屋に残された課題はいかに現状でのベストパフォーマンスを発揮できるかどうかのみ。GK高木義成やDF千代反田充らベテランはさすがの能力を見せ付けているが、MFダニルソンやFW橋本晃司らはまだまだ戦力の上積みとなりえていない。この予選を通じて戦力の見極めを行ってきたストイコビッチ監督が、それでも起用し続ける彼らには、その期待に応えるプレーを見せてもらいたいもの。特に橋本は直接ゴールに関わるポジションだけに、その活躍は結果にも直に響く。周囲との理解や連係も徐々に深まってきた今こそ、ゴールという目に見える形で貢献したいところだ。
予選突破へのモチベーションで勝る新潟か、純粋な勝利を求める名古屋か。対極的な立場に置かれた両者の対戦は、それゆえに小細工なしのぶつかり合いになりそうだ。
以上
2010.06.08 Reported by 今井雄一朗
