6月5日(土) 2010 ヤマザキナビスコカップ
山形 3 - 0 湘南 (16:00/NDスタ/5,723人)
得点者:7' 田代有三(山形)、34' 秋葉勝(山形)、90'+3 増田誓志(山形)
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先制点は7分。前半のうちに追加点を決めると、後半ロスタイムには3点目。守っては無失点と、山形が理想的な展開で湘南に快勝した。
「勝っていこう、自分たちの手で取ってジャンプしていこうという話は今日のミーティングでしました」。2連勝で決勝トーナメントがほぼ確定する山形・小林伸二監督は「無欲の勝利」ではなく、あえてそれを意識させて選手をピッチに送り出した。これに選手たちも萎縮せず、伸び伸びとしたプレーで応える。4-3-3の湘南に対し、今季初めて4-2-3-1とはまるシステムで立ち上がりから相手に強烈なプレッシャーをかけた。
試合が動いたのは7分。パスを受けたボランチ佐藤健太郎が左サイドへパスを送ったが、送り先はサイドバックの山田拓巳……ではなく、もうひとつ奥に構えていた北村知隆。「タッチ切ってもいいぐらい強いボールを蹴ったら、取られてもカウンターにはならないと思った。思いきり蹴ってそれがうまいこと狙い通りいった」(佐藤健)。タッチライン際に思いきり開いた北村も湘南のラインを落ち着いて確認。タイミングよく飛び出し、相対する山口貴弘をかわしてクロスを上げると、ややファーサイド寄りのゴール前に飛び込んだ田代有三が高い打点で叩き込んだ。
湘南は11分に中村祐也が中央で技ありのターンからシュートを放ったり、14分にも相手のミスからのショートカウンターで中村のスルーパスを受けた寺川能人がシュートを放つなどチャンスをつくる。しかし、「プレッシャーは他のチームより緩いと思ったし、逆に僕たちがプレッシャーかけたらミスしてくれた」(佐藤健)と積極的にプレスをかけた山形が先制後も優位に立ちゲームを動かした。
特にゴールへの積極性を見せたのは、前半だけで4本のシュートを放ったボランチの秋葉勝だった。10分には田代の落としから強引に突っ込んでミドル、17分にも左サイドで宮沢克行の戻しを受け、中央にターンして相手をかわしながらのミドル、21分には増田誓志のフリーキックをファーで北村が折り返したこぼれ球に反応してシュート。いずれもGK金永基のセーブに阻まれたりサイドネットを揺らすにとどまったが、4本目のシュートがついにゴールをこじ開ける。34分、距離40m弱のフリーキック。密集の裏にやさしく落とした増田のボールに選手たちがなだれ込んだが、マークを外してジャンプした秋葉のヘッドがボールをとらえ、そのままゴールネットを揺らした。
前節・横浜FM戦と同じように押し込まれ、同じように前半で2点のリードを許した湘南・反町康治監督は、長いミーティングを終えると、アンカーで奮闘していた17歳の遠藤航をあきらめ、阿部吉朗選手を投入。しかし、山形の勢いは後半にも引き継がれる。田代のポストかに増田が絡み、宮沢が右に展開して北村がクロス……。相手の守備のギャップを突きながら、足も相変わらず動く山形のボールは軽快に回った。湘南も林慧が高い位置を取り始めるなど変化はあったが、そのために大きく空いたスペースで田代が起点をつくった11分のシーンではセンターバックの阪田章裕、村松大輔ともラインに収まったまま競りにいく気配すら見せなくなっていた。
この後湘南に反撃の機会を与えたきっかけは、むしろ山形自身の変化だった。57分に田代と入れ替わりで1トップに着いた長谷川悠は、直後の植草裕樹のゴールキックを収めきれず、阿部のドリブル、寺川のクロスから最後はハン グギョンがヘディング。直後にも古林将太が思いきりのいいミドルシュートを枠に飛ばし、GK植草の手を弾いた。67分には宮沢から下村東美にスイッチするが、プレスの連動性が低下。23分には山口の右クロスから田原のヘディングを許す。その後もボールを追い込みきれず、湘南が回すボールに遅れて出ていくシーンが目立った。
77分、寺川との交代でピッチに入ったDF島村毅を前線に送りパワープレーを狙うが、逆にこの時間を境にプレーエリアは山形陣内から湘南陣内に移り、反町監督の目論見は裏目に出る。そして、山形でこの時間から存在感を強めていくのが増田だった。81分には中央で相手をかわして右へ展開。ボールを受けた北村は長谷川が飛び込むタイミングを待ってクロスを送る。84分には左コーナー付近まで攻め上がった佐藤健と絡み、86分のコーナーキックでは西河の頭にボールを合わせた。山形、最後の交代は秋葉に代えて廣瀬智靖。廣瀬はサイドで果敢に仕掛けてコーナーキックを2度獲得。流れはすでに山形ががっちりと手にしていた。そしてロスタイム、林との競り合いでボールを奪った増田が中央をドリブル。スローダウンしたところで後ろからハンに倒されたが、そこで得た直接フリーキックで自らゴールネットを揺らし、とどめとなる3点目を奪った。
「敗者の弁を言うのも疲れてしまいました。さすがに負けが続くとコメントも思い通りに出てきません」。ナビスコカップではいまだ勝点なし。力なく語った反町監督とは対照的に、小林監督は「最後にあきらめずに3点目が入ったことと、失点0だっていうことで、いいゲームをしてくれたなと思っています」「選手はかなり集中して戦ってくれたと満足しています」と話した。いい内容で勝った時ほど淡々と答えるのも常で、笑顔を見せない会見だからこそ、その奥に感じているであろう手ごたえも強く伝わってくる。
ここまで5試合で失点わずかに1。山形は予選リーグ最終節の磐田戦に勝てば首位通過、ドローでも首位か2位での通過となる。手をかけた決勝トーナメント進出への扉、それをこじ開ける力も今なら持っているはずだ。
以上
2010.06.06 Reported by 佐藤円
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