--試合速報--
ヤマザキナビスコカップ特集ページ | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------
山形は決勝トーナメント進出の扉を自ら開ける権利を有している。
神戸、浦和をいずれも無失点で破った山形は第4節終了時点でBグループ2位に浮上。前節は試合がなく4位まで順位を下げたが、勝点1差で前を行く清水、同じ勝点の浦和は残り1試合であるのに対して、山形は2試合を残し、さらに最終節には現在首位に立つ磐田との対戦も控えている。今節では磐田と清水が潰し合うなど他の動向にもよるが、ここは2連勝し勝点6を積み上げることが必須条件と考えるべきだろう。引き分けも許されない2試合となる。「2連勝すればいい」なのか「2連勝しなければならない」なのか。とらえ方はさまざまだが、湘南戦の持つ意味が限りなく大きいことに違いはない。
山形はこのヤマザキナビスコカップで4-3-3の新システムを本格的に導入し、この2試合は4-2-3-1で戦う相手と対峙してきた。経験の浅さから神戸戦ではやや、ぎくしゃくしていたが、ボールに対するアプローチの厳しさを取り戻したことと併せて、浦和戦では互いの役割を把握しながら連動性の高い守備に昇華させている。Ｊ1でのステップアップのため攻撃の可能性を模索してきた小林伸二監督も、「うちは守備ができなければ」とその重要性を再確認した。今節4-3-3の湘南と戦うことで、今週に入り逆に4-2-3-1でシステム的にはめる戦術を試しているが、3日の紅白戦では特に攻撃部分で共通意識がつくれていなかった。試合までに時間はない。修正を施しながら4-2-3-1を導入するか、慣れたシステムに戻すのか。勝利が必要な試合で、小林監督がどのような判断を下すのかに注目が集まる。
リーグ中断期間を暫定最下位で迎えることになった湘南は、心機一転のヤマザキナビスコカップ第3節・浦和戦で1-2と敗れたものの善戦。反町康治監督は「少し明るい兆しが――まだトンネルのなかで先のほうに小さな光しか見えていないかもしれませんが――見えてきた」と語った。しかし、負傷離脱者が多いなか3連戦に突入した影響は大きかった。続く磐田戦も1-2で落とすと、前節・横浜FM戦では、磐田戦の終盤に得点を挙げた田原豊が先発に戻ったが、相手の圧力に屈した立ち上がりには反町監督も「我々が腰が引けていた感じだった」と評するほど。後半は攻撃の形が見られる時間帯もつくったが、90分間でシュート3本と、3連戦でもっとも厳しい内容に終わっている。
4連敗で予選リーグ敗退も決まり、いまだ勝点を奪えていない状態にある。モチベーションのよりどころを見つけにくい状態だが、リーグ戦への希望が持てる形で中断期間に入るためにも、ここからの2試合をいい結果、いい内容で終えたいというのは当然の思いだろう。勝利への飢えが失われていないことを示す一戦にしたい。
リーグ開幕戦で戦った両チーム。オウンゴールでようやく1点を返した試合を、田代有三は「湘南の試合だった。結果は引き分けでしたけど何もできなかった」と振り返る。あれから3ヶ月、チームのなかには「自分たちがどれくらい成長しているか、比べられる部分も少しはあると思います」（宮沢克行）との思いでこの試合を迎える選手も多い。その開幕戦を怪我のため出場できなかった湘南・臼井幸平は、J1昇格後初めて古巣との対戦を迎える。気持ちでプレーするタイプだけに、チームを蘇生させる起爆剤の役目を果たす可能性は十分にある。
勢いのまま山形が突っ切るのか、湘南がそれに待ったをかけるのか。アグレッシブで濃密な90分の幕が開くのは16時だ。
以上
2010.06.04 Reported by 佐藤円
