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2010 FIFAワールドカップ 南アフリカの開幕を直前に迎え、J2も中断期間前の大事な2節に差しかかっている。中断期間は、後半戦の躍進に向けて大事な準備期間。その準備期間に気持ちよく入るためにも、残り2節で内容を伴った勝利を挙げることは重要となる。さらに第17節に試合が無い横浜FCにとっては、今節が中断前の最後の試合であり、その意味は非常に大きなものとなる。
横浜FCの前半戦は、シーズン前の期待とは大きくかけ離れたものになっていることは間違いない。開幕3連勝を飾ったものの、その後5連敗。大分戦での勝利も起爆剤にならずに再び4連敗を喫した。八角剛史は、次のように振り返る。
「開幕から2戦は勝つことに重点を置いていたのは良かったが、草津戦（第3節）では大勝したが蹴ってしまうシーンが多すぎた。ああいう試合こそ、自分たちのスタイルを追求するチャンスだった。その影響で、その後自信をもったプレーができなくなった」
「チームは生もの」という言葉は良く聞かれる言葉であるが、細かなところからチームは安定感を失ってしまった。一方で、その「生もの」を再び生き返らせたのは、第14節から出場したホベルト。キープ力や展開力という個人的な資質が大きく貢献しているのはもちろんであるが、ホベルトはチームのために100%出し切ること、チームを助けるために走ること、そんな当たり前のプレーの重要さをチームに植え付けている。前節の東京Ｖ戦後の記者会見で、岸野靖之監督は「チームは少しずつ形になってきた」と語ったが、自分からアクションを起こし、それが連動することで、ボールの取りどころのイメージも明確化されてきている。そして、試合終了直前の苦しい10分に、それまで五分五分だった相手を押し込んだことも大きな収穫。シーズン前の新体制記者会見で岸野監督がチームに与えた「出し切るチーム」というキャッチフレーズを実現する端緒に、ようやくたどり着けたといって良い。岸野監督は「スタイルを出すという意味では東京Ｖ戦は50点」と語る。だからこそ、この岐阜戦では、100%出し切るスタイルを再び三ツ沢のピッチに描いて、それを60点以上にすることが重要になる。
対戦相手の岐阜は、第14節の水戸戦で3連敗を止めた後、前節の栃木戦では勝利を掴むことができなかった。前半から、フォワードが左右の高い位置で起点を作り、中盤がフォローをして攻撃を組み立てる形を繰り返していたが、後半の勝負どころで一瞬の集中を欠いてしまい大事な先制点を与えてしまうことになった。ここのところ決定力不足に苦しむ岐阜にとって、この試合では先制点を奪うことが大事になる。シンプルであるが、確実にゴール前のシーンを演出できる攻撃の形を繰り返すことができるか。これまで、先制点を取れば5戦5勝であり、リードして精神的に優位に立てれば倉田安治監督が植え付けているゾーンディフェンスの網が、横浜FCのパスワークを封じる展開に持ち込める。
「13時キックオフで気温も上がるけど、鳥栖戦のような激しい入り方をしないといけない。簡単な試合ではないので、強いメンタリティで臨みたい」と八角が語るように、両チームにとって重要なのは、試合の入り方。横浜FCとしては、自らアクションを起こす守備で勢いを掴めるか、岐阜がロングボールを使った組み立てで横浜FCの勢いをいなしながら決定機を作り出すのか。自らのサッカーを貫く気持ちの強い方が、試合のペースを握ることとなるだろう。
ちなみに、横浜FCはニッパツ三ツ沢球技場で岐阜に対して勝利がない（1分1敗）。その悪いジンクスを自らの力で払拭し、宮古島で行われるキャンプに繋げたいところだ。お互いに勝利のために出し切る熱戦が、臨場感あふれるニッパツ三ツ沢球技場で繰り広げられることを期待したい。
以上
2010.06.04 Reported by 松尾真一郎
