今の水戸に吉原宏太の存在は欠かせない。プレー面だけでなく、彼の豊富な経験が若い選手の多い水戸にとって大きな財産となっている。
例えば、第15節千葉戦前、選手たちに千葉との環境面や待遇面の差を語り、「気持ちで負けていたら将来はない。もっと上に行くためにも強い相手に対して、個人で負けないことが大事」と説き、選手たちを発奮させた。結果は知っての通り、千葉を上回るファイティングスピリットを見せつけ、水戸が勝利をおさめた。
常に若い選手たちに、より高いレベルで戦うことの意義を伝え、チーム全体の意気を高めている吉原。自ら這い上がってきた経験があるからこそ、説得力に満ち溢れており、若い選手たちから厚い信頼を受けている。
最近、そんな吉原にJ1へ巣立った2人から連絡があった。1人はジュビロ磐田に移籍した荒田智之。そしてもう1人は浦和レッズに復帰した高崎寛之。2人とも昨季の水戸を支えたスーパーストライカー。ともに水戸時代に吉原から多くのアドバイスを受け、成長したのである。それだけに吉原を兄のように慕い、今でも何かあると連絡してくるという。
そんな2人に対し、吉原は「なんとか頑張ってほしい」とエールを贈る。水戸時代から2人に「彼らはどっちともメインのストライカー。だから、J1に行くと外国人とポジション争いをすることとなる。その中で勝ちぬくためにも、俺のようにセカンドストライカーもできるようにしておいた方がいい」とアドバイスをしてきた。
ただ、現在、2人とも所属チームで試合機会に恵まれない。ヤマザキナビスコカップでは出場したものの、結果を残すことはできていない。「そうした時こそ踏ん張り時」だと吉原は言う。「2人ともJ1で実績がないから今の状態は当たり前。練習から結果を出して認めさせるしかない」。
特に吉原はナビスコカップでも途中出場にとどまっている高崎を気にかけているようだ。「出場機会に恵まれずに移籍を考えているかもしれないけど、浦和で頑張ってもらいたいね。大事なのはクラブへの愛を持ってプレーすること。レッズ愛を持って戦えば、必ずチャンスは来る。ただ、実際、足元の技術など足りないものが多いのも事実。監督の問題ではないですよ。自分もガンバ大阪で西野監督に使ってもらっていたけど、途中でポジションを奪われて大宮アルディージャに移籍した。でも、本当にいい選手はどんな監督でも使われる。どの監督でも結果を出せるのが一流。2人にはそこを目指してほしいと言っている」と吉原は熱っぽく語った。
選手が羽ばたいてしまうのは、チームとして決していいことだけではない。しかし、そうした選手たちの活躍が水戸の選手たちにとっての大きなモチベーションとなっており、それがチーム力向上を支えていることは疑う余地がない。野望に満ちた若い選手たちの気持ちをうまくくすぐり、そしてサポートする吉原。彼のひと言ひと言が選手たちの意識を高め、水戸というチームを強くしている。
吉原が積んできたかけがえのない経験は、今、水戸で最高の形で還元されている。
以上
★【J2日記】のバックナンバーはこちら
2010.06.02 Reported by 佐藤拓也
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024 明治安田Jリーグ フライデーナイトJリーグ
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off