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【J2:第15節 柏 vs 草津】レポート:逆転勝利を飾り開幕からの無敗を14に伸ばした柏。草津は“日立台陥落”にあと一歩及ばず3連敗。(10.05.31)

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5月30日(日) 2010 J2リーグ戦 第15節
柏 3 - 2 草津 (16:04//7,436人)
得点者:8' ラフィーニャ(草津)、18' レアンドロドミンゲス(柏)、35' 佐田聡太郎(草津)、51' パクドンヒョク(柏)、61' レアンドロドミンゲス(柏)
スカパー!再放送 Ch186 5/31(月)後10:00〜
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前半は柏にとって前節の富山戦と非常に近しい雰囲気にあった。ビルドアップに苦しみ、パスコースを見出せずに後方でのパス回しが増える。これは裏を返せば、草津の綿密なゲームプランがその状況を呼び込んだと言えるだろう。「1節休みということで2週間の準備期間において良い準備ができた」(草津・副島博志監督)。これまでとは異なり、ラフィーニャを1トップに置いた4−2−3−1のシステムを採り、ボランチに廣山望、右サイドに高田保則と、本来とは違うポジションで起用。リトリートはするが、全体のラインは下げすぎずにコンパクトな陣形を保ち、柏のあらゆる攻め手を消しにかかった。

しかも8分、流れを掴み切れない柏はさらに状況を悪化させてしまう。パク・ドンヒョクと大谷秀和に連携ミスが生じ、これを高田がカット。ボールを受けたラフィーニャは時間をかけることなく、振り向きざまに左足を振り抜いた。鮮やかなミドルシュートが柏GK菅野孝憲の手元を越えて、478分ぶりにアウェイチームが日立台のゴールネットを揺らした。18分には、レアンドロ・ドミンゲスがFKを直接決めて柏も同点に追いつくものの、35分に草津は右サイドで松下裕樹、廣山とつなぎ、そのフォローへ駆け上がった佐田聡太郎が、柏守備陣の寄せる前に思い切りよく左足シュートを放つと、放物線を描いた弾道が柏ゴールのサイドネット上段に突き刺さった。

柏は後半開始と同時に澤昌克を投入し、工藤壮人の1トップから2トップに変えた。そして大谷をアンカーに置き、右に茨田陽生、左に栗澤僚一、トップ下にレアンドロ・ドミンゲスと、中盤の並びをダイヤモンドに変更した。「相手の両サイドがリスキーに上がっていったので、そのスペースを突こうと思った」(澤)。
前半は後方でのパス回しとロングボールが多かった柏だが、澤が左右のオープンスペースへ流れて積極的にボールを受け始めたことで攻撃の起点が出来上がり、対照的に草津の高いラインはグイグイと自陣へ押し込まれた。また、草津ベンチからは柏の陣形の変化に対する指示が飛んだが、「なかなか声が通らない状況」(副島監督)であったため、草津の守備組織が、後半開始早々に対応し切れていない状況が発生した。澤の存在だけでなく、レアンドロ・ドミンゲスや茨田のポジショニングが前半とは微妙に変わり、ボールの流れがスムーズになった柏の攻撃陣に優位性が生まれた。しかも澤のタメを生かして左サイドバックの橋本和が積極的にオーバーラップを仕掛けた。

こうした柏の攻勢に対し、草津は自陣深くのファウルが目立ち始め、FKを与える場面が増える。51分、柏はセットプレーのこぼれ球をパク・ドンヒョクが詰めて同点。さらに61分、これも右サイドからのFKのクロスボールに対し、ゴール前で佐田が工藤を引き倒したためにPKの判定が下された。このPKをレアンドロ・ドミンゲスがGKの動きを見定めて逆のコースを突いた。

後半開始からわずか16分間の出来事。草津が柏の布陣変更に対応する前、その混乱したわずかの時間帯での逆転劇は、ネルシーニョ監督の采配がもたらした展開だった。これまで、柏が90分を通じて好パフォーマンスを発揮し、終始試合を有利に進められたのは、第12節岐阜戦、第13節徳島戦の2試合のみと言っても過言ではない。にもかかわらず、今季開幕から無傷で首位をひた走る理由の1つは、ポイントでネルシーニョ監督の施す的確な一手に理由が存在しているからだ。

これで柏は4連勝。加えて開幕14戦無敗、そしてホーム7連勝となったが、ここにきて守備陣にビルドアップの部分でミスが目立ち始めている。2試合連続の逆転勝利は、チームに自信と勢いを与える一方で、修正すべき点も露呈する形となったのは否めない。今季初の2失点を「スーパーゴール」と一言で片づけるのは簡単である。だが、シュートの前のプレーを見ればミスに加えて、DF陣の寄せの甘さや対応の仕方にも問題は発生していた。そこをどう修正し、今後への無敗継続に結びつけるのかに注目したい。

そして敗れた草津は、数字の上では3連敗となってしまったが、過去2つの敗戦と今節の敗戦は意味合いが大きく異なると思われる。副島監督が「チーム全体として意図することは出せていたので、これを継続しながら次のゲームにつなげていきたい」と試合後に分析していることから、柏を苦しめたコンパクトな陣形と前線からのアグレッシブな姿勢は、十分浮上のキッカケになりそうだ。次節ホームの札幌戦で、連敗ストップを狙う。

以上

2010.05.31 Reported by 鈴木潤
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