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【J2:第15節 札幌 vs 富山】レポート:ホームの札幌が3得点で快勝。富山は立ち上がりこそ良かったものの、ラインを高く保つことができず逆転負けを喫した。(10.05.31)

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5月30日(日) 2010 J2リーグ戦 第15節
札幌 3 - 1 富山 (13:03/札幌厚別/7,614人)
得点者:13' 苔口卓也(富山)、42' 西嶋弘之(札幌)、50' 宮澤裕樹(札幌)、70' 古田寛幸(札幌)
スカパー!再放送 Ch186 5/31(月)前05:00〜
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前半の立ち上がりに苔口卓也が角度のないところから逆サイドに見事なシュートを決めて、アウェイの富山が先制するも、その後は西嶋弘之、宮澤裕樹の今シーズン初、古田寛幸のプロ初となる得点で札幌が見事に逆転勝利を収めた。

スコアとしては3−1で札幌の完勝に近いものだったが、パフォーマンス自体にはさほどの差はなかったと言っていいだろう。富山は、前半の立ち上がりから朝日大輔が左右のスペースにパスを配球したり、先発に抜擢された札幌の二種登録選手、三上陽輔が攻から守への切り替えに遅れたところを狙って選手が強襲するなど、ある程度狙い通りにゲームに入れていた。厚別競技場特有の強風がありながらも、しっかりとパスを展開できていたし、最終ラインも積極的に押し上げられていた。
対する札幌は試合後に石崎信弘監督が「前半から後半のようなプレーをできるようにしなければいけない」と振り返ったように、チーム全体としては若干のスロースタート。ホームゲームということもあって積極性こそ感じ取れたものの、主導権は富山に与えてしまっていた。

そうして進んでいった試合だが、どちらも積極性を見せてはいたが、そこから一歩進んでクオリティの部分に目を向けるともの足りなさも見え隠れした。具体的に言ってしまえば、攻撃に緩急が足りなかったということである。富山はスピーディにミドルパスを展開し、素早い攻撃を仕掛けていた。札幌の方も、キリノを走らせたり、左右サイドバックの飛び出しを引き出したりしていた。ただ、どちらもそこでワンクッション、中盤なりアウトサイドなりでタメを作るプレーを織り交ぜていれば、その後の選択肢が増えてよりチャンスの質を高めることができたはず。両チームがなかなか調子を上げきれない要因としては、点が欲しいがあまりに、プレーエリアをすぐに相手ゴール近辺に求めてしまう部分が挙げられるのかもしれない。もちろん、どこかで時間を作ってしまうと相手守備も整ってしまうので、そこから崩していくのは簡単ではないという考え方も確かにある。だが、遅攻を織り交ぜることによってより相手選手の体力を消耗させることができるだろうから、このあたりの判断の仕方が今後のカギとなりそうだ。

前半から富山のスピーディな攻撃が目立っていた試合だが、そこでカギを握ったのが札幌の2トップ、キリノの近藤祐介だった。
前半からキリノは縦のスペースへと蹴りこまれたボールに対し、相手選手を大きく上回るスピードで絡んでいく場面を何度も見せていた。そして近藤も、そのガッチリとした体格を生かして前線でクサビのパスを受けたり、気の利いたパスを蹴るなど、相手に手を焼かせるプレーを何度も繰り返した。これらが必ずしもシュートチャンスに結びついていたわけではないが、富山守備陣としては回数が重なることによってどうしても警戒心を強めざるをえない。ゲーム序盤は全体のラインを高く保つことができていたが、キリノと近藤からの圧力を受け続けたことで、次第にラインが深くなっていたのである。そうして相手守備ラインよりも前のエリアにスペースを得た札幌は、西嶋、古田がそこからのミドルシュートで得点を挙げた。どちらも見事なシュートだったし、「FWが点を取らないと・・・」と近藤は悔しがっていたが、中盤以降の選手に得点が生まれたのは2トップがしっかりと持ち味を出し、相手守備網を後方へと押し込んだからである。

ここまでなかなかチャンスを生かしきれていなかった札幌にとって、3得点での勝利というのは大きな意味を持つかもしれない。この勝利で5月は無敗。浮上のための流れをここから一気にたぐりよせたいところだ。一方の敗れた富山だが、攻撃の構成などはある程度の形になっていたので、こちらも何らかのきっかけがあれば、流れを呼べそうな気配は充分にある。

次節はもう6月。早いのか、遅いのかは人それぞれ感じ方は違うのだろうが、とにかく、開幕からおよそ3ヶ月が経過した。

以上

2010.05.30 Reported by 斉藤宏則
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