5月26日（水） 2010 ヤマザキナビスコカップ
新潟 1 - 4 京都　（19:00／東北電ス／14,728人）
得点者：32' 柳沢敦（京都）、40' 柳沢敦（京都）、63' ドゥトラ（京都）、74' ディエゴ（京都）、81' 鈴木大輔（新潟）
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京都が新潟に4-1で快勝した。柳沢敦が前半に2得点をマーク。32分にミドル、40分にはヘディングでゴールを奪った。新潟の出ばなをくじいた京都は、後半にドゥトラのゴールとディエゴのPKで突き放した。
新潟は京都のカウンターに振り回され、今季公式戦最多の4失点。前節F東京戦に続き、2連敗となった。

誇らしげにたたずむ柳沢のもとに、チームメートが駆け寄った。会場はアウェイのビッグスワン。京都サポーターの歓声は大きくはないが、喜びは十分に共有できた。
「シュートを打つときは、不安はまったくなかった。自信を持って打った」。一枚上の実力を披露した。前半32分、ドゥトラがロングパスの動作に入ったとき、すでに相手DFの裏を取るタイミングに。ボールが蹴られるとスムーズに飛び出す。足元に収めてから新潟のセンターバック鈴木大輔と競り合うが、しっかりとコントロール。「競りながら、GKの位置を確認した」。GKが前に出ていることを確認すると、ミドルレンジからループ気味に弧を描く。

完ぺきな1本は、さらに高精度のゴールの呼び水になった。40分、渡邉大剛が右サイドからクロス。柳沢はクロスを入れる瞬間に、相手のマークをわずかに外し、絶好のタイミングで頭から飛び込む。「いいボールが来た。タイミングも完ぺきだった」。
この2本で流れは完全に京都に。後半18分、カウンターからドゥトラ、29分には、やはりカウンターからペナルティーエリアに進入したディエゴがPKをゲットし、自ら決める。ダメ押しの3、4点目を呼び込む土台を、柳沢が作った。

この日、26日はチームメイトの水谷雄一と片岡洋介の誕生日。自らは翌日の27日が誕生日。「僕よりも2人を先に祝って」と笑う。ディエゴにPKを譲ってもらい、PKでハットトリックを、ということもできたが「チームが勝つことが大切。全然意識しませんでした」とさらり。リーグ戦ではここまで2得点。思ったような結果は出ていないが、少しずつ調子は上向きになっていた。それが形に表れた一戦を「自分もチームも良かった」と素直に喜んだ。
26日未明に日本代表がW杯に備えて旅立った。「いよいよ本番モード。僕もしっかり応援したい」。ブルーのジャージーへのこだわりはある。それを切り替えて、元W杯戦士としてエールを送る。自分の健在ぶりもアピールして。この日の2ゴールは、その証しでもあった。

先手を奪われた新潟は立て直すことができなかった。後半36分、フリーキックのクリアボールを鈴木大輔がへディングで押し込んだ。鈴木にとってプロ入り初先発で初得点。これがチーム唯一のゴールだった。
前半から京都のカウンターに苦しんだ。スピードに乗りながら短いタッチでつなぐパスワークと、裏を突くフィードに苦しんだ。「失点のときは全体的にバランスを崩していた」とキャプテンの本間勲は言う。リードされて前がかりになると、そこは失点の起因としてさらにはっきりした。
前節から大きくメンバーを入れ替えた。GKは故障を克服した黒河貴矢。鈴木、FWのファグネルが初先発で、MF三門雄大と左サイドバックの中野洋司は久々のスタメン復帰。「力の差はない。選手を信じている」。勝てば首位浮上の可能性もあった大事な一戦。黒崎久志監督は自信を持って送り込んだ。ボールをスムーズに回した立ち上がりこそ、新潟の流れだったが、後手を踏み始めると微妙なズレが出る。守備のポジショニング、パスの出し手と受け手のタイミング。「選手それぞれ個性がある。試合に出続けている選手たちが、替わって入ってきたメンバーの良さを、もっと引き出すようにしなければならなかった」。本間は力を出し切れなかったことを悔やんだ。

京都はこの勝利でAグループ首位。予選突破に大きく一歩前進した。新潟は残り2試合、白星を重ねなければ予選突破は苦しい状況に。自分たちの形で勝った京都と、やるべきことをできなかった新潟。ともに、この試合が残った試合の戦い方に大きく影響することになった。

以上

2010.05.27 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）