5月22日(土) 2010 ヤマザキナビスコカップ
F東京 1 - 0 新潟 (14:00/駒沢/13,098人)
得点者:90'+4 大竹洋平(F東京)
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観客席が揺れる。ゴール裏のF東京サポーターは両手を交差させ、「オーレーオレオレオレ」と一人の選手を称える。試合終了後もそれが続いた。
F東京はヤマザキナビスコカップ予選Aグループ第3節、駒沢陸上競技場で新潟と対戦し、1−0で勝利した。主力5選手を欠いたF東京だったが、試合終了間際のロスタイムに大竹洋平のゴールで勝点3を手にした。
試合前日、F東京はフォーメーション練習で入念な確認を行っていた。トレーニング開始まで、ボードを使い、城福浩監督から指示が飛ぶ。新潟の守備の特長を一つひとつ選手に落とし込んでいく。ゲームの流れは、まさにそのスカウティングどおりの展開となった。
「F東京は、しっかり繋いでボランチを使いながら回してくるので、逆にボランチのところでボールを奪えれば、DFラインとの勝負になる。そこでいかにボールを取れるかだと思っていた。前半は、多少ボールを奪っていい形ができたが、後半はそこでボールが奪えず、低い位置から攻撃がスタートするようになってしまった。相手のゴールも遠いですし、奪って素早く攻めるという自分たちの形も出せなかった」(MF本間勲/新潟)
F東京のビルドアップは最終ラインからボランチを経由する。新潟はF東京のビルドアップの肝であるダブルボランチに狙いを絞り、そこを抑えにきた。それもスカウティングどおりだった。F東京はマークが空けば、ボランチを使い、マークが厳しいと思えば、ボランチを越えるボールを最終ラインから送った。それでも、ゲーム序盤は連係やパスミスからボールを奪われ、新潟のショートカウンターを浴びる展開を作られてしまう。
だが、F東京も粘り強くボールを走らせ、新潟の体力を削る。後半に入ると、徐々に相手を敵陣に押し込み始める。それは新潟の選手の運動量が落ち、ボランチのマークが空き始めたからだった。F東京はボランチを経由し、パスを回す自分たちのサッカーが機能し始めると、一方的な展開を作り出した。新潟は後半、1本もシュートを記録することができなかった。逆にF東京は後半、前半の4本を上回る9本のシュートを放った。ただ、ゴールだけは遠かった。新潟は、ゴール前を固めてペナルティエリア周辺では身体を張ってゴールを阻止し続けた。
この展開に終止符を打ったのが、途中出場の大竹洋平だった。試合前日、大竹は駒沢の思い出を語っていた。
「中3のときの、新人戦の決勝だったかな。相手はヴェルディだった。試合は負けちゃったけど、そのとき、先制点のゴールを決めたんです。左サイド、ペナの外の45度くらいからのロングループ。アレは気持ちよかった」
そう話すと、片手でGKを越える放物線を空に描いて見せた。
「出たら、そのときみたいな点をとりますよ。狙いますよ、ゴール」
0−0で推移し、90分を終えてロスタイムも残りわずかだった。左サイドタッチラインから羽生直剛が、大竹にスローインを送る。大竹はそれを受け取ると、敵陣深くにドリブルで攻め入った。マークに付いた相手の鼻先で方向転換すると、左足のつま先でボールの芯をとらえた。虚をつかれたGK東口順昭はその場に立ち尽くし、ボールはネットに突き刺さった。大竹がかけた魔法にスタジアムが包まれる。リカルジーニョに抱きかかえられ、ゴール裏からは「オーレーオレオレオレオオ〜タケ〜」の大合唱が起こる。観客席を揺らした男の一発でF東京は勝利を収めた。
新潟は勝点を取りこぼした。試合後、「ボールを支配されたが、最後のところでは踏ん張れていた。それが本当に最後に隙を見せてしまった」と、本間が悔しさを口にする。前半は、マルシオ・リシャルデスを中心にした攻撃でチャンスを作り出していたが、後半の勝負どころで残っていた体力はわずかしかなかった。ハードワークを売りにするチームだけに、パスワークでのポジショニングや守備の追い方など、夏場の戦い方、頑張りどころはチーム全体で取り組まなければいけない課題として浮き彫りになった。
この日の主役は2年前、ルーキーイヤーでブレイクしたが、昨年、2年目の壁にぶつかった。プロの厳しさを知った男が再び輝いた。試合後、2年前の大竹のプロ初ゴールの試合後とまったく同じ言葉を指揮官は使った。
「あのゴールは我々が指導できるものではない」
F東京のヤマザキナビスコカップ連覇と、リーグ再開後の反撃の主役になるのは、この小さな魔法使いかもしれない。
以上
2010.05.23 Reported by 馬場康平
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