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【ヤマザキナビスコカップ 名古屋 vs 大宮】レポート:それぞれの思惑が交錯するピッチ上で、躍動感を見せたのは大宮。名古屋は大胆策が裏目に(10.05.23)

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5月22日(土) 2010 ヤマザキナビスコカップ
名古屋 1 - 3 大宮 (19:30/瑞穂陸/5,804人)
得点者:38' 金澤慎(大宮)、43' ラファエル(大宮)、45' ラファエル(大宮)、88' 杉本恵太(名古屋)
ヤマザキナビスコカップ特集ページ | 皆の投稿で作るスタジアム情報
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前週に行われたリーグ戦12節のスタメンから、名古屋は7名、大宮は4名を入れ替えて臨んだ一戦は、多分にテストの意味を含むものだっただろう。リーグの成績に影響しない大会で新たな試みをするのはチーム作りの常套手段。その意味で両チームは、それぞれにテーマのあるスタメン11人を、ピッチに並べてきた。

アウェイの大宮はDFラインの2名を入れ替え、好調のFW石原直樹をサイドハーフとして起用。監督交代後、リーグ戦で上向きつつあったチームを組み替えることには勇気も必要だったとは思うが、「彼らの活躍なくしてチームは強くならない」と、鈴木淳監督は若い力の活躍に勝敗を託してきた。

名古屋のストイコビッチ監督が採った策は、さらに大胆だった。W杯出場4選手に加え、マギヌンと三都主アレサンドロが負傷欠場する非常事態に、彼らの穴を埋めるに留まらない選手起用を見せたのである。その最たるものがDFラインの構成で、竹内彬、千代反田充、花井聖、阿部翔平と並んだ中で、リーグ戦で十分な出場機会を得ているのは左サイドバックの阿部のみ。竹内は今季公式戦初出場であり、花井聖に至っては元来が攻撃的MF。センターバックは練習試合で学生を相手にした経験しかない。
中盤から前にもダニルソン、巻佑樹、橋本晃司と若手が起用されたことで個々の経験値とチームとしての連係不足は明らか。「毎日の練習の中で選手たちのクオリティはわかっているだけに、現実の試合の中で見てみたかった」。名古屋の狙いは、戦力の底上げにあった。

だが、大胆策はリスクも伴う。序盤から巻のポストプレーと金崎夢生、橋本の突破力を起点にチャンスを作っていった名古屋だが、時間ともにペースダウン。「名古屋の対策はできていた」(大宮・北野貴之)という大宮は、そこから息を吹き返した。前半35分、36分と続けて決定機を作ると、38分からはゴールショーがスタートする。先制点を「ウチの狙っていた形」(北野)という2列目からの飛び出しで奪うと、43分にはCKから、45分にはサイド攻撃からラファエルが2得点。3失点全てに花井が絡んでいたことは、覚悟していたこととはいえ、名古屋にとってはあまりに大きな誤算であった。

まさかの前半のみで0-3のビハインド。名古屋は当然のごとく、強攻策に出た。竹内を増川隆洋に、ブルザノビッチを小川佳純に代えると、小川、千代反田、増川、阿部でDFラインを形成。花井をトップ下とする4-2-3-1の布陣で前線への圧力を強めてきた。慣れ親しんだポジションに戻った花井は持ち前の正確なキックで好機を演出し、71分にはバー直撃のミドルシュートを放ったが見せ場はここまで。大宮が布陣に慣れてくると、ゲームは一進一退の攻防へと展開していった。前がかる名古屋の裏のスペースをラファエルと石原が突き、カウンターを次々と繰り出す。点差のついた試合の常道を行く中で、名古屋は最後まで攻めあぐね、88分にはようやく杉本恵太が1点を返すも後の祭り。「一矢報いるゴールを決めるためだけにピッチに入ったわけではない」という杉本の言葉通り、名古屋は最後の意地を見せるに留まった。これでヤマザキナビスコカップ予選は1分1敗の勝点1。グループ6位となり、予選突破に黄信号がともった。

結果的には起用法が裏目に出た名古屋だが、敗因をそこだけに求めるのは早計だ。GKの西村弘司は言う。「崩されてやられたわけではないということは、準備ができていなかったということ。集中力の問題といえばそれまでだけど、ズルズルやられちゃいけない」。この日の名古屋は攻守にわたって勝負どころの見極めが甘かった。3失点は振り返れば十分に防げる範囲のもの。運動量でチームを鼓舞した中村直志は「もっと激しくやらないと厳しい」と言葉少なにスタジアムを去った。

テストを成功させた大宮の鈴木監督は一安心の表情。しかし若手の活躍には「プロなんだから今日のプレーは最低限」と手綱を緩めない。一方で明暗を分けた名古屋の指揮官は、意味深な言葉で今後の戦いを展望した。
「私の期待に応えることができる選手はあまりいなかった。今後に向け、私の頭の中はクリアになった。今後も若手にはチャンスを与えるつもりだが、選手たちにはどうして負けたのかをしっかりと学んでほしいと思う。今日は次に向けての明確な絵が私に浮かんだという意味では良い機会だった」

次戦は3日後にやってくる(5/26@瑞穂陸 vsC大阪)。リーグ戦の主力をC大阪相手につぎ込み勝負にこだわるのか、それとも若手のテストは続くのか。決勝トーナメントが遠のく中、名古屋は早期の決断を迫られている。どのような結論を出すにせよ、ヤマザキナビスコカップへの火を消さないためにも、チームには最善の策を採ってもらいたいものだ。

以上


2010.05.23 Reported by 今井雄一朗
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