スカパー！生中継 Ch185 15:50〜（解説：増田忠俊、実況：梶川善寛、リポーター：岡村麻衣）
--試合速報--
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Ｗ杯中断期間まで残り４試合。「１年でのＪ１復帰」を目標とする大分は勝点17の９位。昇格ラインとなる３位千葉との勝点差は７と、これ以上離されるのは致命的だ。前節札幌戦でようやく連敗を３で止めてはいるが、ここで勢いをつけるには勝点３は絶対条件である。今節ホームに迎える愛媛は、勝点差１で大分を追う。勝てば順位が入れ替わるだけでなく、今季の目標の８位以上が射程圏内に入るためモチベーションは高い。別府温泉、湯布院温泉の大分、道後温泉の愛媛と有名温泉地同士の対決となる“温泉ダービー”は、ほんわか、のんびり気分では観戦できない試合となるはずだ。
ここ５試合、勝利に見放されている大分は、札幌戦でチームの精神的支柱である高松大樹が今季初出場と、明るい話題が飛び込んだ。ただ、これまでチームの得点源であったキム・ボギョンがＷ杯韓国代表として、クラブ最年少デビューを飾った松原健はＵ―19日本代表に招集されチームを離れている。さらに、ＤＦ４人がケガで離脱しており、登録メンバー25人の少数精鋭のチームは、メンバー構成に苦しんでいる。
システムやメンバーをコロコロと入れ替えるチームは安定感に欠ける。大分とて例外ではない。これまで12試合を戦って、リーグ14位の失点19の数字が物語っている。失点の要因は凡ミスや連携ミスが多く、特に手数をかけずタテへ素早く仕掛けてくる相手に対する危うさを露呈している。守備の再構築が急務であるが、指揮官は「自分たちのサッカーを実現することが大事」と攻撃の姿勢を貫く。
使い古された言葉であるが「攻撃は最大の防御」ということか、それとも愛媛の堅守（リーグ２位、総失点７）を打ち破るための作戦か。今週もシステムや選手配置を模索した。「（最終ラインが）４枚であろうと、３枚、５枚であってもしっかり対応できている」と手応えを口にしており、指揮官が試合当日にどのシステムを採用し、どの選手を選ぶのかメンバー発表が楽しみだ。欠点を補うのではなく、美点を伸ばした決断が、大量得点で勝利となれば痛快である。
対する愛媛は、クロアチア人のバルバリッチ・イズムが少しずつ浸透している。目指しているのはポゼッションを高め、人とボールが動き、パスをつないで主導権を握るサッカー。目標とするサッカーが高度なので、結果がついてくるには時間がかかる。それは同じ旧ユーゴスラビア圏の出身のポポヴィッチ前大分監督がそうであったように。今はパスをつなぐことで選手の頭は一杯だろう。
ただ、その積み重ねが自分たちのものになったとき、凄い力を発揮するのはポポヴィッチ氏が証明している。前節の北九州戦後に「今日も記録はシュート８本だが、最低でも２桁は打たないとゴールは生まれない、次の大分戦もシュートの意識を持たないと」と高杉亮太が話したように、ゴールに向かう姿勢が問われるところだ。
互いに目指すサッカーを形成するために苦戦しているが、「自分たちのサッカー」を信じて疑わないチームに勝利の女神は微笑むだろう。人気の温泉とは、良質な泉源だけでなく、その地域独自の色を打ち出している。温泉ダービーはチームの色を追及した者が勝者となるハズだ。
以上
2010.05.21 Reported by 柚野真也
