5月22日(土)J2 第14節 熊本 vs 栃木(13:00KICK OFF/水前寺)
スカパー!生中継 Ch185 12:50〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:風戸直子)
--試合速報--
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先日Jリーグ選手協会長の再任が決まった藤田俊哉は、20日の練習後にこう話した。
「こういう時に連勝できるかどうかがチームの力。勝てば自信になるし、今後にもつながる」
熊本は前節、藤田のアシストから松橋章太の今季3点めとなるゴールを守って水戸を下し、2度目の連勝を飾った。連勝はともかく、ここまでの成績が少なからず選手たちの自信となっていることは確か。特に福岡戦での大敗を考えれば、2試合連続の完封勝利は精神面でもリカバーできた証拠。水戸戦ではゴールこそ松橋の1点に留まったものの、愛媛戦から意識している横の揺さぶりや前線での流動性から形を作り、19本のシュートを放った。水戸戦に臨むにあたって高木琢也監督は「シュートの意識を高めないといけない」と話していたが、今季最多の19本のシュートを打てたのは、意識が高まっただけでなく実際にシュートを選択できる場面が多く作れていたということでもある。
だが自信という点で見れば、今節迎える栃木の選手たちは、熊本の選手たち以上の自信を持って乗り込んでくるだろう。9試合負け無しで4試合連続無失点、ここまで5勝5分2敗の勝点20の6位。熊本との勝点差はわずかに2で、この一戦に勝てば順位もひっくりかえるという状況も、モチベーションを高める要素になっているに違いない。好調のベースとなっているのが、失点8という数字に表れている固い守備。松田浩監督が掲げる組織的なディフェンスがチームに浸透し、しっかりと前線からコースを切りながら、ブロックを作って絡めとるという対応が、ゲームの中で訪れる悪い流れの中でも崩れる事なく、辛抱強く自分たちの流れを引き寄せる事につながっている。
その栃木について高木監督は「松田さんが大事にする部分、組織や規律がしっかりした、オーガナイズされたチーム」と評し、佐藤悠介と米山篤志の両ボランチがゲームをコントロールしていると見る。前線のリカルド・ロボと崔根植にも警戒が必要だが、佐藤と米山の2人が中盤でのアプローチとボールを奪ってからの攻撃の起点となっており、熊本としてはこの2人へのケアが重要課題。自由にプレーさせないよう、いかに潰せるかがポイントのひとつとなる。
もうひとつの見どころはサイドでの攻防だ。相手のプレッシャーが前からの激しいものでなければ、栃木も両サイドバックが高い位置を取り、後ろからビルドアップ。前節富山戦での得点のように、一旦サイドに開いてからの早い段階でのクロスや、中央を経由してのサイドチェンジ、あるいはタテへの突破など、中盤も絡んだバリエーションも豊富とあって、タッチライン際のスペースでどれだけ優位に立てるかが、ゲームの流れを引き寄せる事につながる。
そうした意味では、お互いに守備がベースにあるからこそ、攻撃での工夫がこのゲームの焦点ということになる。熊本の今週のトレーニングを見ていると、相手をいかに動かすかという点と、引っ張る動きで創出したスペースへの出入りとサポートを意識していて、紅白戦などでもそうした部分での連動性が高まっている印象がある。左右に動かしながらもイメージを共有してタイミング良くクサビのボールを打ち込み、しっかりとサポートに入ることを徹底し、チャンスを多く作って流れを引き寄せたいところ。前節は19本打って1度しかネットを揺らせなかったフィニッシュの精度も課題ではあるが、まずは栃木の守備ブロックをどれだけ崩せるかに注目したい。
特にCBには高さもあってハイボールでの勝負は難しい事から、クロスの球質や奪ってからの切り替えの早さ、相手が後ろ向きの状態でシュートまで持ち込むスピードも求められる。当然、セーフティにロングボールでラインを下げさせてエリアを回復するような時間帯もあろうが、そうした面も織り交ぜつつ、状況をみながらつないでいくという判断においても、冒頭で触れた藤田の言葉にあるように、ここまでの成長ぶりがはかられる事になる。
3連勝を飾って上位に食い下がるのは熊本か、栃木か。かつて同じチームでプレーした2人の指揮官の思惑をピッチ上でうまく表現できた方に、勝利のホイッスルは吹かれる。
以上
2010.05.21 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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