スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：横森巧、実況：横内洋樹、リポーター：吉岡秀樹）
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最近、練習後や試合後の取材でなんとなくギクシャクした気分になるときがある。一人で選手全員の話を聞けるわけがなく、今まで話を聞いていた選手から聞くことが減り、聞くことが少なかった選手から聞くようになったから。話を聞かないで擦れ違うときに選手がどう感じているのか分からないが、少し心を痛めながら擦れ違っている。
石原克哉は、「今日のヒーローが（後ろから）出てきたよ。彼から話を聞いたほうがいいんじゃない」と取材側の心理を分かって気遣いをしてくれるから、笑って別れることが出来るのだが、「お疲れさん」、「お疲れっす」なんて挨拶だけで擦れ違うのは実は結構心苦しい。しかし、ゴールを決めた選手や貢献度の高かった選手の話を聞き逃すわけにはいかないからチャンスのなかった選手や出場時間の短かった選手とは擦れ違ってしまう。つまり、今の甲府は新しい力が台頭してきているということ。
今節も片桐淳至、ハーフナー・マイク、パウリーニョに対する期待は大きいし、養父雄仁、内山俊彦の力を見せ付けて欲しい。ここ8試合で7勝1分の甲府は開幕直後の借金は返し終わったが、これからは貯金に励まなければならない。まだまだ安心は出来ない。今節の対戦相手の岡山には昨年の第2クール（＠小瀬）で西野晃平の振り向きざまのシュート、青木孝太（現・千葉）の背中シュートで撃沈された。
今年も第7節に粘り強い戦いから、セットプレーとカウンターから2ゴールを挙げ千葉を2-1で撃沈させており、小瀬でこの粘りを発揮されればどうなるか分からない。前節対戦した草津よりも岡山の方が守備のブロックをしっかりと作ってくるチームだと判断しているが、甲府にとってこのブロックを崩せるかどうかで今の強さが勢いなのか実力になりつつあるのかを見極めることが出来る。
今年の甲府は縦に速い攻撃はある程度出来るので、熟成ポイントはボールをスムーズに横方向にも大きく動かすことにある。相手が守備のブロックを作っているときに正面突破を図っても効率も確率も悪い。そういうときに焦れないでスムーズにダイナミックにボールを動かし、横のスペースやブロックの縦の間隔を広げてから止めを刺すような展開が出来るかどうかが重要になる。
内田一夫監督は「相手の守備のゾーンでボールを動かせば相手は消耗する。（ミスパスがあれば）カウンターのリスクがあるが、それを恐れないでやっていく。ボールを奪われても奪い返す場所をはっきりさせて奪い返すことが出来れば、相手はボールを持つことにストレスを感じてロングボールに逃げるようになる。難しいことだが、それぐらい圧倒できるようなサッカーを目指したい」と話しており、熟成を進めるためにリスクを負ってでももう一歩踏み出そうとしている。
今節はハーフナーの高さと強さを活かした展開に加えて、守備のブロックを作る相手に対してボールを動かして消耗させて止めを刺せるかどうかに注目したい。そのためにはパウリーニョがサイドで消えるようでは困る。サイドにボールがあるときにトップ下付近で守備のブロックのほころびを狙って欲しい。養父とのコンビネーションがいいのでスペースでパウリーニョを活かして欲しいし、パウリーニョのタイミングのいいパスで味方を活かす場面も多く作って欲しい。養父は「甲府は縦に急ぐところがあるので、そこを改善できればもっと回すことができると思う。少し時間がかかるかもしれないが出来るチームだと思う」と、もう一歩に対して自信を持っている。
リスクを冒してでも一歩先に進もうとする姿と勝利が仲良くなればより高い満足感を手にすることが出来る。岡山はボランチの田所諒が出場停止だが、内田監督好みの喜山康平の復帰は脅威。立ち上がりの主導権争いは激しくなるだろうが、そこで押し込んでスムーズかつダイナミックにボールを動かせるか。甲府の熟成がどんな形で進んでいくのかを見るのが楽しみな対戦になりそうだ。
以上
2010.05.21 Reported by 松尾潤
