スカパー！生中継 Ch180 13:50〜（解説：小野信義、中払大介、実況：田中友英、リポーター：麻倉ももこ、森田みき）
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ダービーというものは日本中、世界中に数多く存在する。選手とサポーターの意地と威信がぶつかり合う試合はいつも、熱く、激しくなり、サッカーの醍醐味を昇華させる。その熱き戦いに北九州と福岡のダービーもまた名を連ねられる潜在性を持っていると言えるだろうし、必ずそうしなければいけない。
北九州市出身の重光貴葵が言う。「北九州人にとって福岡は特別な思いがある」。
福岡県は北九州市と福岡市の二大都市が牽引役であり、ライバル。それだけに多くの北九州市民にとっては競技や中身が何であれ負けられない相手の筆頭格が福岡市だ。
特にＪリーグは地域の名前を胸に戦うリーグであり、都市のライバル関係というのは説明をする必要がないほどぴったりな『ダービーマッチ』になる。Ｊリーグで初めて実現した両市のプロチーム同士の対決に地元出身選手たちは否が応でも気合いが入っている。
ただ、まだ様々な要素で北九州と福岡は1対1のダービーにはなりきれていない。Ｊリーグ1年目の北九州はまだ挑戦者であり、実力もサポーターの数でも福岡のほうが上回る。本城陸上競技場は福岡のサポーターのほうが人数で凌駕することも十分に考えられる状況だ。そういう中で唯一上回れるのは、勝利を渇望するパッションではないだろうか。
「相手がうんぬんよりも気持ちの面で負けたくない」と重光は力を込める。長野聡は「失うものは何もないので、思いきってやる」と話した上で、「うちのサポーターがまだ少ないし、チームもサポーターももっと成長しないといけないと感じることができれば」と、ダービーによる効果にも目を向けた。
試合内容はどうなるだろうか。
与那城ジョージ監督は「（福岡が）人数を掛けてくるところがポイントになる。耐えられれば（チャンスは）回ってくる」と話す。
この『耐える』というのは重要なキーワードになるだろう。北九州にとって絶対に許したくないのは前半の失点。未だに2得点以上取った試合がないだけに、先制されると勝点3は遠くなる。福岡の攻撃を無失点で耐え抜くことは、試合をものにするための絶対条件だ。日高智樹は「背の高い大久保がいるし、走ってくる。自由にやらせないようにしたい。主導権を取れれば変わってくると思う」と話し、タレント揃いの攻撃を封じてリズムを掴むことに意識を向けた。
とはいえ、当たり前だが、最終的に勝点3を得るには点が必要。攻撃力のある福岡を前に守勢必至ではあるが、守勢に回ることとチャンスがないことは同一ではない。福岡を前がかりにさせることで必然的にスペースはできる。長野は攻撃の柱になる大久保哲哉を強く意識し、「ジャンボ（大久保）をうまく潰してカウンターをしかけたい」と話している。
北九州としては立ち上がりでディフェンスをしっかり固め、少ないチャンスを確実にものにする戦い方が勝利への道であり、近道はない。耐えることが重要な苦しい試合にはなるが、ダービーを心待ちにしていた大勢のサポーターの前で、ただの一勝以上の勝利をチームと『北九州』にもたらしたい。
以上
2010.05.21 Reported by 上田真之介
