スカパー！生中継 Ch183 12:50〜（解説：大森健作、実況：永井公彦、リポーター：藤井孝太郎、プレーヤー解説：堀井岳也）
--試合速報--
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５月ど真ん中の第１３節、北海道内のサッカーどころとして知られる室蘭、入江競技場では勝点１３で１３位につける札幌と、同１６で８位の大分が対戦する。札幌と大分との対戦といえば、９６年の５月に同じ入江競技場で戦っているが、その試合が札幌のクラブ創設後初めて北海道で戦った試合だった。あれから十数年の時間が経ち、再び両チームがトップリーグを目指して激突する。
札幌はなかなか難しい状況に置かれていると言っていい。ここ３試合は１勝２分でどれも相手を零封しており、チーム全体の調子はジワリジワリと上向きつつある。前節の北九州戦では７試合ぶりの白星を挙げた。ただしその一方で、開幕から左サイドバックのポジションで活躍を続けてきた岩沼俊介が右膝後十字靭帯の部分断裂で全治３ヶ月という形で離脱してしまい、その他の主力にも痛みを抱えている選手が数名いる状況で、メンバー構成は難しい。チームの調子は継続して上向かせたいところだが、メンバー変更が強いられてしまう。ただし、監督としてのキャリアが豊富な石崎信弘監督は「負傷者が出るのはしょうがない。いる選手でやるしかない」と慌てる様子はなく、どういったマネジメントを見せてくれるのか、注目したい。
そうしたなかで、前節の北九州戦でキリノが今季初得点を挙げたのは大きな好材料と言える。昨季１９得点を挙げたブラジル人ストライカーは今季、開幕前のキャンプで足を痛めるなどしてコンディション的な出遅れがあり、１１節までノーゴール。しかし、ここ数試合は持ち味である縦への突破に鋭さが見えるようになり、前節の得点でさらに勢いは増しそうな気配がある。どんなリーグでも上位に進出するためにはストライカーの得点量産は不可欠。その意味でも、このキリノがこのまま調子を上げてくれれば、それがそのままチームの順位上昇につながっていくはずだ。
対する大分だが、こちらは若干の停滞気味か。ここ最近はなかなか結果が出ず、センターバックのチャン・ギョンジンらが負傷離脱中で、皇甫官監督も「ケガ人が出て、守備が固まらない」と吐露する。ここまでの総失点１７はリーグで４番目に多い数字だ。前節の鳥栖戦もリードして迎えた試合終盤に守備の甘さが出てしまい、３−４のスコアで逆転負け。なかなかベストな布陣が組めない状況ではあるが、やはりディフェンスの早急な整備が求められるだろう。
その一方で、こちらもストライカーの活躍が光明になり得そうだ。前節の鳥栖戦は３得点すべてをチェ・ジョンハンが挙げており、その存在感は際立った。そして特筆すべきはヘディングの強さを見せ付けた部分だろう。左ＣＫに抜群の高さで合わせた場面もあったし、体を投げ出してのヘッドで得点も挙げている。持ち味であるスピード溢れる突破だけでなく、さまざまな形からフィニッシュができることをあらためて示した格好だ。この札幌戦は、主軸であるキム・ボギョンが韓国代表合宿参加のため欠場する見込みとなっているため、このチェ・ジョンハンにかかる期待はより大きなものになりそうだ。
さて、試合の焦点にはセットプレーの攻防がそのひとつとして挙げられるだろう。札幌は直近の３試合こそ無失点だが、総失点のうち半分がセットプレーからのもの。今季のＪリーグは得点全体の５０％近く、あるいはそれ以上がリスタートから生まれているというデータもあるらしく、そう考えれば必ずしも札幌が多すぎるとは言えないのだが、決して少なくはない。改善点であることは間違いないだろう。そして大分は全１９得点のうち１０点以上をセットプレーから記録しており、ここがストロングポイントとなっている。セットプレーというのは試合の流れに関係なくゲームのシチュエーションを一変させるだけの力を持っているため、このプレーからは目が離せない。
どちらも負傷者が複数いるという状況だが、年間を通して行なわれるリーグ戦では、そういった時期というのはどうやっても訪れてしまうもの。そうした時期にいかにして勝点を重ねていけるか。そこが上位進出のカギであり、そういう時期にこそ、チームの真の実力が出るというもの。この試合は、両チームの真価が問われる一戦になるはずだ。
以上
2010.05.14 Reported by 斉藤宏則
