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【J2:第12節 岐阜 vs 柏】レポート:完膚なきまでに叩きのめされた岐阜。この敗戦をターニングポイントにしなければならない。(10.05.10)

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5月9日(日) 2010 J2リーグ戦 第12節
岐阜 0 - 2 柏 (13:04/長良川球/3,248人)
得点者:14' 工藤壮人(柏)、62' 田中順也(柏)
スカパー!再放送 Ch182 5/10(月)20:30〜(解説森山泰行実況堂野浩久リポーター斉藤寿幸)
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すべて相手が上回っていた。ポゼッション、セカンドボール、球際、クロスの数、セットプレー、シュートの数。ありとあらゆる要素で相手に上回られてしまった。岐阜は攻撃の糸口どころか、拠り所としていた堅い守備までも機能せず、柏の両サイドのスペースをうまく突いたサッカーに圧倒され、何もさせてもらえなかった。

柏は大谷秀和と栗澤僚一のダブルボランチが中盤を完全制圧。彼らの高い位置での素早いボール奪取と展開力により、柏の攻撃の起点はより前に設定されていく。ボランチラインが高くなれば、当然柏の1.5列目のラインも高くなる。1トップの工藤壮人の後方に配置された、左から田中順也、レアンドロ、澤昌克の1.5列目は、田中と澤の両サイドが両サイドバックにスペースを作り出すために、中に絞って3シャドー気味になって高い位置に張り出したため、守備に重点を置いた岐阜のダブルボランチとマッチアップする形となった。

こうなると当然、岐阜のDFラインは下がり、柏のダブルボランチに自由を与えてしまうことになる。そのため、岐阜は西川優大と永芳卓磨の両サイドハーフが中に絞って、空いてボランチのケアをしたが、今度は逆にDFラインが下がったことで、岐阜の両サイドバックの位置も低くなったことも重なって、柏の両サイドバックに対するプレスがまったく掛からなくなるという悪循環をもたらした。
「今の戦術で非常に重要なポジションを任されている」と右サイドバックの小林祐三が語ったように、今の柏は両サイドバックの攻撃参加がネルシーニョ監督の戦術の核になっている。それだけにサイドバックにプレスが掛からないということは、尚更岐阜にとって厳しくなってしまう。加えてこの日、柏のダブルボランチと橋本和と小林の両サイドバックが好調だっただけに、前述したように、岐阜は何もさせてもらえない展開に陥ってしまった。

14分、中央のバイタルエリア手前でボールをキープした栗澤が岐阜の守備を中央に集約させてから、右サイドをオーバーラップしてきた小林にパス。「今日は僕のところに人がいなかった」と語った小林はじっくりと中を見て、ピンポイントクロスを送り込む。これを工藤がヘッドで合わせ、柏が先制点を奪う。
その後も試合は柏ペースのままで進んでいく。そしてこの試合のすべてを象徴していた柏の追加点のシーンが生まれる。
62分、岐阜が相手陣内にボールを運んだ後、柏の小林は岐阜が前にプレスに来たのを見て、GK菅野孝憲にバックパス。菅野がキープから、ボールを受けに右サイドに開いた澤へロングキック。そのとき、岐阜のディフェンスラインはバラバラだった。
秋田英義と野垣内俊は横一線に並び、2人とも澤に競りに行かなかった。それと同時に2人の裏にいた工藤に対しても、ノーケアだった。吉本一謙が残っていたが、吉本も反応できず、フリーの澤がヘッドですらしたボールは、足が完全に止まった2人の頭上を越え、フリーの工藤の下へ。工藤はそのまま右サイドを突破すると、中の人間が全員ボールウオッチャーになった瞬間を見て、バイタルエリアに広大に空いたスペースへライナー性のマイナスのセンタリングを送り込む。そこに待ち受けていたのは田中。田中は胸でワントラップすると、慌てて詰めに来る岐阜の選手をあざ笑うかのように、バウンドを合わせてから強烈ボレーをゴール右隅に突き刺した。
このシーンはこの試合の岐阜の悪さのすべてが凝縮されていた。集中力、コンビネーション、リスクマネジメント、人に対するケア。悔しいが、すべてが欠けていた。全員がボールウオッチャーになり、柏の選手が簡単に浮いて、フリーでプレーすることが出来た。

終わってみればスコアは2-0。これだけ見ると大きな差が無いように見えるが、内容から見るととてつもなく大きな差があった。柏が再三のビッグチャンスにことごとくシュートミスをしてくれたことで、何とかそのスコアに留まったに過ぎなかった。正直、どこが悪かったとも言えない。すべてが悪かった。ピッチ上には希望の光すら見出せなかった。
試合後、岐阜に対するDF近藤直也の指摘は、非常に的を射ていた。「サイドにボールが出たときに、しっかりとファーストディフェンダーが寄せないと、結局はフリーで出されてしまう。ファーストディフェンダーの速さが大切ですよね。クロスに対しても、セットプレーに対しても、相手のマークが外れることが多かった。人数はいるのに、ゾーンで見ているのか、マンツーマンで見ているのか曖昧だった。まずは誰かがしっかり付かないと、余った選手もカバーのポジションが取れない。一人ひとりがいいポジショニングで人を捕まえていないといかない。ウチはゾーンの形を取っているけど、マンツーマンでやるときはもっと身体をぶつけないといけない。相手だって身体をぶつけられたら、簡単にプレーできないですから」。

岐阜は今、システム的にも選手個々においても、もう一度自分たちを見直す時期に来ているのかもしれない。試合開始から0-0の段階までは、ある程度はオーガナイズ出来ていても、先に失点をしてしまい、相手が上位チームとなると、たちまちそのオーガナイズは機能低下を起こしてしまう。
「考えさせられるというか、学ばざるを得ない試合になってしまった。プレーの質という問題について、改めて僕自身も考え直していかないといけないなと感じました。やっぱり何というか、チーム戦術もあるけど、ファーストタッチとか、ディフェンスのアプローチの仕方なども含めて、プレーの質ということをもう少し高めていかないといけない。残念ながら、我々はこれまで、上位チームにすべて負けて、下位チームに勝っている。そこを含めて、個の質をもっと高めていく練習を取り入れていく必要がある。まずそれが1つですね。もうひとつはピッチの中にリーダーシップを見出さないといけないと思いました。うまくいっていないとき、なかなかうまくいかないゲーム、相手の個々の質が高いチームのとき、何か黙ってしまう。あきらめているわけではないけど、黙ってしまう、小さくなってしまうというのがピッチの中にある。プレーの質とリーダーシップを何とか見出すということの方を感じてしまった試合でした」(倉田安治監督)。
岐阜が迷い込んだ暗い道。ここから脱却するためには、小手先ではない、抜本的な改革が必要である。そうしないと今シーズン最悪の出来と言えるこの一戦に価値を見出せなくなってしまう。完膚なきまでに叩きのめされたからこそ、ここから這い上がるきっかけとなる。

岐阜よ。君たちの力はそんなものではないだろう。もっと出来ると筆者は信じている。今は『将来の成功のための必要な苦しみ』であるのだから。しかし、それを現状の言い訳にしてはならない。必ず、これから先の岐阜にとってのターニングポイントにこの試合がなるように、クラブ全体が力を合わせて、下を向くことなく、これから突き進んでいかなければならない。

以上

2010.05.10 Reported by 安藤隆人
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