5月5日(水) 2010 J2リーグ戦 第11節
福岡 6 - 1 熊本 (14:04/レベスタ/8,850人)
得点者:30' 岡本英也(福岡)、39' 中町公祐(福岡)、48' 中町公祐(福岡)、61' 市村篤司(熊本)、62' 永里源気(福岡)、77' 大久保哲哉(福岡)、90'+3 永里源気(福岡)
スカパー!再放送 Ch183 5/7(金)11:00〜(解説吉村寿洋実況南鉄平リポーター森田みきプレーヤー解説中払大介)
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勝点が取れなかったこと以上に、ここまでの好調を支えていた守備が崩壊したショックは大きい。4試合ぶりの勝利を目指して福岡に乗り込んだ熊本だったが、今季最多、そしてクラブ史上ワーストタイとなる6失点を喫して完敗。福岡からの2勝目はお預けとなり、順位も8位に後退した。
しかし「点を取られるまでは悪くなかった」と南雄太が話した通り、開始から10分ごろまで主に右サイドからの攻撃を受けていたものの、ここまで同様に集中した対応でしのいでいる。そうした言わば“耐える時間帯”は過去の試合でもあったし、どんなゲームでもあるもの。守備からリズムを作るという意味においては、決して入りは悪くなかった。
だが15分過ぎから徐々にボールが回せるようになり、少しずつ攻撃にウエイトがかかりはじめると、その後の展開が少しずつ変わってくる。前節、福岡は試合がなかったのに対して、熊本は中2日。高木琢也監督が前節のスタメンから両サイドのMFを山内祐一と西弘則に替えたのは、おそらくそうした疲労を考慮してのことだと思われるが、仕掛けられるタイプのフレッシュな選手が2人入り、勢いを持って前に出て行く場面が増えれば、周囲の選手には必然的にサポートの動きが求められる。
一方、福岡の守備も最終ラインの丹羽大輝を中心に堅く、クサビのパスの精度の悪さなどもあって最前線になかなかボールが収まらないため、守備から攻撃に転じてもサポートに入るタイミングが合わなかったり、守備に回れば中盤が開いてアプローチが緩くなったり、さらには2列目からの飛び出しに対してついていけなかったりと、切り替えの頻度が増すのと合わせ、ポジション間のバランスが崩れ始めた熊本は、徐々に対応が後手になっていく。リスタートからだった30分の先制点も、DFラインからのフィードをつながれた39分の2点目も、分かっていたはずの福岡のタテへの速さから背後を衝かれたものだ。
悪い流れを断ち切るべく、後半開始から井畑翔太郎に替えて藤田俊哉を投入してペースを引き戻そうと試みたが、立ち上りの48分に左、つまり福岡にとっては右からのクロスを中町公祐に綺麗に決められて0−3に。それでも59分には原田拓のインターセプトから山内、松橋章太とカウンターでチャンスを作り、61分には市村篤司のクロスが神山竜一のミスを誘ってゴールインし1点を返すが、直後の62分には永里源気1人にドリブルからやられて突き放された。福岡に流れが傾いた要因のひとつは間違いなく岡本英也の先制点だったが、この後半の非常に悪い時間の2失点が、熊本の戦意の火種を消し、勝負を決定づけた。
「ここからという時にすぐに決められて、気持ち的にガクンときてしまった」(原田)ことで熊本は完全に集中が切れ、崩れた攻守のバランスも修正できないまま時間は経過。宇留野純、ファビオなど攻撃的なカードをきって点を取りに行くがゴールは奪えず、逆に77分に大久保哲哉、さらに90+3分に永里にもクロスからのヘディングシュートを許し、屈辱的なスコアで福岡の前に屈した。
確かにコンディション面で差があったことも否定できないが、集中を欠いてあまりにイージーなプレーや不要なファウルが目についたのは非常に残念だったと言わざるを得ない。6点もいかれたのだから守備に目がいくのは当然だし、次節は福王忠世が出場停止となりメンバーも変わるので確認や修正が必要なのは確か。だが問題はむしろ攻撃にある。チャンスをしっかり決めるにも、そのチャンス自体がこの試合では少な過ぎたし、早い段階で追いつきたいからこそ、慎重に試合とボールを運んで残り60分の中で力をかける勝負どころを見極める必要があったが、全体的に攻め急いだことで福岡のペースにはまった感がある。
終わったことは仕方ないし、次の試合に向けて気持ちを切り替えるしかない。ゴール裏のサポーターが最後の最後まで声を出し続けたのは、チームの力がこんなものではないと信じているから。その思いに応えるためにも、そして何より自分たちの誇りにかけて、この敗戦から学んだことを次の試合で発揮しなければならない。
以上
2010.05.06 Reported by 井芹貴志
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