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【J2:第11節 甲府 vs 柏】レポート:J2注目の1位と3位の対決は複雑な感情で終わるドロー。興奮させる内容だったがどちらもミスと決定力不足でサポーターの感情爆発の導火線の火を消した(10.05.06)

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5月5日(水) 2010 J2リーグ戦 第11節
甲府 1 - 1 柏 (14:04/小瀬/15,600人)
得点者:31' 藤田健(甲府)、41' パクドンヒョク(柏)
スカパー!再放送 Ch181 5/6(木)18:30〜(解説外池大亮実況吉岡秀樹リポーター石河茉美プレーヤー解説林健太郎)
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「甲府と柏が戦ってこんなに平和な雰囲気で終わるのは珍しい」とつぶやいた甲府サポーターがいた。確かに、試合が終わった瞬間に感じたのは満足や不満でもなく、喜びや怒りでもなく、勝てたかもしれないけれど、勘弁してもらったような気もするという感情。柏側から見ればこの逆になるのかどうか解らないが、1位と3位が戦ってこんな掴みどころのない感情になるのは不思議。試合内容はお互いがフェアにベストを尽くして戦い、見所はいくつもあって面白かったのに、終わってみれば「これを書きたい」というものがすぐには浮かんでこなかった。

片桐淳至のFKがゴールラインを越えたときに後半4分間のロスタイムが終わり、タイムアップの笛が吹かれた。最近はロスタイムのゴールが多く、このFKからゴールが生まれることを期待していたし、88分に甲府の元祖スーパーサブ王子・保坂一成が出てきてからはミラクルを期待していた。でも、ミラクルを期待するのだから後半はほとんど柏タイムだった。甲府に決定機がなかった訳ではないが、無理目の女の子を追っかける男のように甲府は柏に主導権を握られた。少しおまけして欲しかったけれど公式記録では後半のシュートは1本(柏は6本)。柏は中盤を小さめのボックスの4-4-2から4-2-3-1にして甲府のサイドを封じた。ただ、システムだけで主導権を取ったわけではない。システムの化粧直しには成功したけれど選手に力があるからそれが機能する。やはり柏の選手は個々の能力が高い。柏で一番の高給取りだと思われるフランサをベンチからも外すくらいだからチャンスを貰う選手のレベルも意欲も高いはず。サラ・コナー(※)とは違い、フランサをジョン・コナーのように大事にし過ぎないネルシーニョ監督の手法が求心力を生んでいるのだろう。

甲府のキャプテン・山本英臣は柏のディフェンスを「省エネ」と言った。柏に「省エネ」という戦術はないだろうが、主導権を取れない時間帯に全員がドン引きで守るのではなく、前線の選手は守備陣がゴール前で跳ね返したボールを拾って攻撃に移れるから甲府の波状攻撃をほとんど許さなかった。これが個のレベルの高さから来る自信なのか解らないが11回も試合をして1回も負けていないのだから、迷いながらプレーしている時間は少ないはず。甲府も前線からのプレスがかからずに守備陣がずっと守備をしているような気分の時間帯には慣れているし、そういう時間があることは覚悟している。ただ、主導権を取っているときにもう少しボールを動かして柏の選手を走らせてから裏を狙うことを選択肢に入れても良かった。甲府は昨年よりも成熟していると思うが、攻撃が形になってきただけに選択肢を増やして2回目の対戦に備える必要がある。

少なくとも対柏という観点では甲府は弱者。クラブのクレジットカードの限度額もすいぶん違う。内田一夫監督は「柏はフィットしてくれば相当強い。今の柏なら勝っておくべきだった。次の対戦のときまでに甲府がどれだけ成長できるか。タイミングよくサポートする、タイミングよく顔を出すという動きのロスを少なくするための質をもっと求めていく必要がある。ポテンシャルの差はあると思うが、後半は良く守りきれた」と会見後の囲みで話した。11本のシュートを打った前半(柏は5本)に追加点を挙げていればと言いたくなる前半だったことは確か。でも、柏のGK・菅野孝憲はポジショニングも判断もいいから彼からゴールを挙げることは難しい。31分のゴールは藤田健がいいタイミングで入ってきて冷静に技術力を発揮して菅野がカバー出来ないコースを狙った。その後も評価急上昇中の片桐の精確なFKから、同じく評価急上昇中のマイク・ザ・タワー・ハーフナー(広島県生まれ)が高さを活かしてシュート数を増やしていった。ハーフナーは流れの中でもボールが納まって頼りになった。

柏が凄いのは前半にシステムがフィットしないと、やわらかいロングボールを入れて甲府が最初のクリアで跳ね返せないようにしてセカンドボールを拾いに来るなど、システムだけなく戦い方も変えることができること。そして、ワンチャンスを決定機に持っていくことができるクオリティの高さが脅威。今回はシュートをポストに当てたり、シュートミスをしたりして助けてくれたが、勘弁はしてくれなかった。甲府は前半を1-0で逃げ切りたかったが、41分のパク・ドンヒョクのゴール(レアンドロのFKから)は柏の底力。パクはキックの瞬間まで味方選手の後ろに隠れるトレインでダニエルのマークを外して飛び込んで決めた。津田琢磨が「マークする相手を見すぎてボールにいけていない」と話したが、この失点は勝点2以上のいい勉強になった。

マラニョンがいれば…、大西容平がいれば…、メッシがいれば…どんな展開になったのかなんてことを思わないでもないが、序盤戦はサブだった選手も結果を出しているので甲府は依然いい流れにいる。大事なのは次の徳島戦(5月9日)。ホーム小瀬で連続して戦える利点がある。これからは今の戦い方に精度をプラスして求める時期になる。

以上

※編集部注:「ターミネーター サラ・コナー クロニクルズ」の登場人物。物語の中で、サラ・コナー(母親)が後に抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナー(子供)を厳しく育てている。

2010.05.06 Reported by 松尾潤
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