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【J1:第10節 山形 vs 大宮】レポート:拙攻のなかでも表れたコンセプト熟成度の差。PKの1点を守りきった山形が大宮を下す(10.05.06)

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5月5日(水) 2010 J1リーグ戦 第10節
山形 1 - 0 大宮 (19:04/NDスタ/9,537人)
得点者:63' 古橋達弥(山形)
スカパー!再放送 Ch180 5/7(金)04:00〜(解説越智隼人実況小出匡志リポーター成田ひみこ)
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立ち上がりの時間帯、山形は前線からプレスをかけていた。鈴木淳監督を迎えて2戦目となる大宮のパス回しは、ボールを大事につないでいるというより、攻撃に対して消極的なものに見えた。8分、この試合2度目のバックパスを受けたGK北野貴之のフィードは左タッチを割り、22分にも北村知隆に詰め寄せられた北野は右へ蹴り出しプレーを切っている。14分には金久保順から左のスペースへパスが送られ藤田祥史がクロスを上げ、あるいは21分には坪内秀介から藤田へ緩く長いくさびが入り、その後の攻撃で最後は金久保のシュートにつながったりもした。しかし、そうした回数も多くはなく、プレッシャーを受けたバックラインは、2トップへ起点となるパスを付けられず、藤田と石原直樹は山形のセンターバックにがっちりと厳しいマークを受けたなかでのプレーを強いられていた。「運動量が全体的に立ち上がりから少なかったかなと思います。それで、足が止まった状態が多くて、ボールも足元で受ける、足元につなぐということでダイナミックさに欠けた」(鈴木監督)。

その一方、山形もボールがオンの状態ではミスが相次いだ。「水を撒いたりしていましたし、いつもよりちょっと芝が長かったという部分もあると思います」(GK清水健太)というピッチコンディションをつかみきれていなかったというのが大半の要因だが、6分には佐藤健太郎がサイドを変えて左へ送ったパスがそのままタッチを割ったプレーは、スペースへ出したパスに対し受け手の石川竜也が足元で受けようとしていたなど、意思疎通が要因のミスもあった。ミスが多い展開が影響したのか、サイドへ付けられたボールは追い越すのを待たずに後ろへ戻してつくり直されるケースが多く、「どうしてもオンが多くなると、ミスをしたくない、安パイなところにボールが出てしまう。そこを怖がらずに展開したりすると、もう少しよかったのではないかなと思います」(山形・小林伸二監督)と、こちらも攻撃では消極性が目立った。

そうしたなか、前線で気を吐いていたのが田代有三だった。13分には村上和弘からマトへのスローインをカットして逆にスローインを奪い返し、36分には村上の裏のスペースへ出たボールを追い、金澤慎のクリアに体を投げ出してブロックした。左足首を痛め、前日まで別メニューだったが、「アップのときは痛みがかなりあったんですけど、無理して前半走ろうかなと思って」という田代の鬼気迫るフォアチェックは、しだいに山形に流れを呼び込んでいった。37分には古橋達弥からパスを受けた宮沢克行が逆サイドへ大きく振る。バウンドしたボールは北村の頭を越えてタッチラインを割ったが、大きな展開が出始めると、40分には中央のパス交換から右サイドの宮本卓也がクロス。田代が滞空時間の長いジャンプでヘディングし、シュートはそのままゴールラインを割ったが、その奥では北村もボレーシュートの態勢に入っていた。

後半早々、大宮は藤田がキープしたボールを金久保が右のスペースへ蹴り出し、杉山新のクロスからゴール前の混戦まで持ち込むと、山形も宮本のクロスから田代がゴールマウスの角をかすめるミドルシュートを放つなどチャンスをつくる。しかし、相変わらずミスの多い、大味なサッカーが続いていた。ここで両ベンチが動く。山形はコーナーキックの直前に宮沢に代えてキム ビョンスクを投入。すると、大宮もこのコーナーキックを終えたあと、間髪を入れず藤田に代えて開幕戦以来となるラファエルを投入する。ここから流れが加速するかと思われた矢先、金澤がペナルティーエリアで北村を倒し、山形がPKを獲得。これを、今季ここまでゴールのない古橋がきっちり決め、ついに均衡が破れた。

このあと、大宮はラファエルを中心に怒濤の攻撃を仕掛ける。ラファエルは中盤まで下りてボールを受けるが、そこから中央のひとかたまりに向かってグラウンダーのパスを差し込み、リターンをもらって中央突破を図った。25分頃からはさらに両サイドバックが上がり、中央に人を集め、78分にはやはり途中出場の青木拓矢とのワンツーでシュートを放ち、GK清水健太の好セーブがなければ…という場面をつくった。ただ、「中央の攻撃に偏ってしまって、しかも短いパスが多くて、なかなかそこを突破しきれなかったかなと思います。もう少しサイドに起点を作って、そこから最終ラインの突破をしていければ」と鈴木監督。「あそこでもうちょっと最後の踏ん張り、プレスにいければ、ああいうきつい時間帯にはならなかった」(園田拓也)と山形は押し込まれはしたが、ロスタイムの5分間も併せてゴールを割らせず、今季3度目の無失点勝利で逃げ切った。

鈴木監督は、「選手の判断、今どういったところにつなぐのか、どういった攻撃を仕掛けていくのかというところが、ビジョンとしてチーム全体として描けないというのが今日のゲームで出てしまった」と語る。また、「チームの成長過程のなかでは往々にして陥りがちなところではある」とも話す。この敗戦で16位と再び降格圏に入ったが、小手先を変えるのではなく、選手の状況判断力を鍛えてチームのコンセプトにつなげる道は、時間はかかるが間違いなくチームのレベルを上げるはずだ。
一方、PKの1点のみと攻撃は精彩を欠いた山形だが、守備では無失点。相手のミスに助けられたシーンもあったが、前からプレスをかけながらも、「センターバック2枚と佐藤はかなり集中してやってくれた」と小林監督はリスク管理について合格点を出した。古橋に1ゴールが記録されたことも今後の好材料で、ホームで価値ある勝点3を積み上げた。

以上


2010.05.06 Reported by 佐藤円
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