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【J2:第11節 札幌 vs 東京V】レポート:最後まで勝点3を争った、白熱の好ゲーム。攻撃的なベンチワーク合戦も、スタジアムを大きく沸かせた(10.05.06)

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5月5日(水) 2010 J2リーグ戦 第11節
札幌 0 - 0 東京V (14:04/札幌ド/13,268人)
スカパー!再放送 Ch183 5/7(金)06:00〜(解説平川弘実況宮永真幸リポーター永井公彦)
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結果としてはスコアレスドローに終わり、結果の部分についてはもの足りなさがあったかもしれない。だが、下位からの浮上を目指そうとするチームが、どちらもタイムアップまで得点、そして勝点3を求めて懸命にプレーをしており、非常に見応えのあるゲームが演じられた。

ホームの札幌は3バック。石崎信弘監督は常々、「世界的に見ても現在のサッカーは4バックが主流。3バックでは選手が育たない」と、試合中に得点が欲しい場面では攻撃の人数を増やしての3バックを取り入れたことはあったが、試合開始時からというのは、札幌の監督に就任した昨季から振り返ってみても初めてのことだ。一方の東京Vも「センターバックの2人を含めて怪我人がいるなか、頑張ってくれた」と川勝良一監督が試合を総括したように、負傷を抱えた選手複数人を先発起用。どちらのチームも、何としてもこの試合をモノにしたいという意気込みが強く表れていた。

そうして始まった試合は、札幌が主導権を握る展開となる。その要因としては、3バックの弱点であるサイドのスペースを突かれる場面があまりなく、中盤インサイドでの攻防が多かったため、4−4−2のフォーメーションで戦う東京Vに対して、3−5−2の札幌は中盤に5人が配置されていて、ここでの数的優位が生きたのだ。東京Vの攻撃はペナルティエリア付近に入ると、スペースに展開するよりも縦へのドリブルが多く、札幌としては3バックのデメリットがあまり露呈しない格好となった。これがもし、左右への展開が上手いチームとの対戦だったならば手を焼いたかもしれないが、この日の東京Vは中盤の底からアウトサイドへ展開する際のパスにズレが多く、どうしても中央に起点を求めることが多くなっていたのだ。そうしたこともあって、札幌が攻めて東京Vが守るという展開が続いていた。

そうしたなかで、ひと際大きな存在感を発揮したのが、2トップの一角でプレーした東京Vの河野広貴だ。立ち上がりから押し込まれる時間帯が多いなか、ボールを持つとハイスピードなドリブルと高精度なキックで質の高いチャンスを作り出していた。4分には左サイドに深く入り込んで決定的なパスを中央に送ったし、後半にも鋭い身のこなしから単独でフィニッシュへと持ち込んでみせた。惜しむらくは得点を演出できなかったことだが、この日プレーをした選手のなかでは群を抜いたアタッキングセンスを見せたと言っていい。

後半に入ると、東京Vが徐々に盛り返してくる。札幌側は3バックの中央に入った石川直樹が試合前、「左右のウイングが下がって、5バックのような形にならないように気をつけたい」と話していたが、前半には見られなかったその形が、後半に入って少しずつ現れるようになっていた。原因としては、熊本とのアウェイゲームを終えて中2日の試合だったためか、札幌の中盤の運動量が低下してしまい、平本一樹へのクサビのパスを前半よりも簡単に入れさせてしまったからである。高い位置で起点を作られ、それを河野に左右へ展開される。それではさすがに、岩沼俊介、藤田征也という左右ウイングバックが最終ラインに吸収される場面が増えてしまうのは仕方がないことだろう。

だが、どちらにも得点は生まれない。すると今度はベンチワークによる戦いが始まった。
67分、まずは東京Vが右MFに、菊岡拓朗に代えて17歳の高木善朗を投入。積極的に内側へと入り込む菊岡と違い、高木善朗は外側に張る形でプレー。この変化でアクセントを生み出し、投入から3分後にはさっそく相手ゴール付近で惜しいチャンスを演出した。
すると札幌はその直後、トップ下の位置に砂川誠を投入する。この砂川はインサイドでパスを受けると、斜めのドリブルでサイドへと流れて行き、相手の守備的MFを引っ張る。そうやってバイタルエリアにスペースを作り出し、そこに上里一将、芳賀博信が入り込むという形を作り出した。さらに76分には決定力のある中山雅史を投入する。

それを受けて東京Vの川勝良一監督は守備を安定させるための手を打つかと思われた。だが、こちらも続いて攻めに出る。高木俊幸を左サイドに投入し、飯尾一慶を前線へとスライドさせたのだ。

0−0のスコアで迎えた終盤。どちらも積極的に攻撃の策を打ち、勝点3を奪うという姿勢を明確に打ち出していた。そして選手もアグレッシブにボールを追いかけ、クロスボールが入ると攻守両者が我先にと飛び込む。何としても勝ちたい、そういう気持ちが随所に感じられた。

そして、そのままタイムアップ。残念ながらどちらのチームも勝利を得ることができなかったが、どちらも最後まで互角にハードワークをし、決定機の数も同じくらいだったことを考えると、ドローという結果は内容をある程度は的確に反映していたと言えるだろう。札幌にとっては2試合続けて無失点試合を演じることができたし、東京Vのほうも「ある程度、狙い通りの戦いができた」と振り返る。互いに収穫を得てのドローゲームだったということになる。

だが、スコアレスのドローだったという部分は忘れてはならない。試合後、石崎監督が「決定的なシーンはあったが、そういうところを決められないと苦しい」と言い、川勝監督も「フィニッシュにいい形でつながらなかった」と自チームの課題を指摘した。どちらもある程度のチャンスを作れているため、ひとつきっかけを得られれば勢いに乗れそうな気配があることは間違いない。だが、どちらも勝ちきれない要因がフィニッシュ、つまり決定力の部分であるとなると、事はそう簡単ではない。フィニッシュの部分というのは、ちょっとやそっとトレーニングを重ねたからといって改善できる箇所ではない。もっと言ってしまえば、時間をたっぷりとかけたからといって、必ず改善できるという箇所でもない。浮上の契機は見えている。だが、それが決定力という難しい部分に委ねられているということを考えると、もしかしたら、もう少しの時間が必要になるのかもしれない。

以上


2010.05.06 Reported by 斉藤宏則
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