スカパー！生中継 Ch183 17:50〜（解説：川本治、実況：関根信宏、リポーター：飯田留美）
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Ｊ２リーグ戦第９節栃木戦では、ＤＦ茶野隆行、ＭＦ倉田秋のゴールで一時は逆転しながらも、積年の守備の課題のセットプレーから失点し、２−２で引き分けた千葉。その試合での反省を踏まえた第10節大分戦は、江尻篤彦監督が栃木戦終了後に移動して自ら第９節横浜FC−大分戦をスカウティングして得た大分対策の効果もあり、２−０（２点とも得点者はＭＦアレックス）で勝利。前節終了時でＪ１昇格圏内の２位につけている。
朝、大分から千葉に戻った５月３日の練習後、改めて大分戦を振り返った江尻監督は「ウチがよく走って、ボールをよく拾っていたことに尽きる」と勝因を語った。大分がしっかりパスをつなぐスタイルだったこともあり、特に前半は高い連動性のプレスが機能。さらに、攻守の切り替えの速さ、攻撃の連動性でも大分を上回り、試合を通じて主導権を握った。選手個々や連係などのプレー面、チーム戦術が勝利に結びついたのはもちろんだが、実は試合前に江尻監督が意識してアプローチしたのは選手のメンタル面。「相手は経営面など苦しい状況だが、必死に頑張っている。相手をリスペクトしようということを選手に強調して伝えたし、それがあってこそ試合のプランが立てられるということも選手に伝えた」（江尻監督）。これまでアウェイゲームは特に試合の入り方が悪く、戦績が芳しくなかった千葉だが、前節はプレーとメンタルの両面での意識付けが勝利という結果を生んだ。
江尻監督は今節の富山戦に向けて「ウチがやるべきことは大分戦とまったく一緒」と話す。「（前節終了時で）富山が最下位であっても相手をリスペクトする。無得点とはいえ、富山は前節で２１本のシュートを打っている。相手に仕事をさせたら好きなようにやってくる」と、富山の攻撃面が上向きになりつつある点を警戒。大分戦のスタメンは疲労を考慮して５月３日の練習はリカバリーのみだったが、江尻監督は「走らなければサッカーにならないし、試合にならない」と連戦でも相手に走り勝つサッカーで勝利を目指す。
一方、第10節水戸戦はスコアレスドローに終わった富山だが、連敗を３でストップ。その３連敗の試合での失点数は１０（前節終了時の総失点２１はリーグワースト）と守備に大きな問題を抱えていたが、前節では粘り強さを取り戻した。試合後の記者会見での楚輪博監督の言葉からピックアップさせていただくと、『最後まで走りきる姿勢』『攻守の切り替えの速さ』も披露。その２点は千葉もやはり目指すサッカーで重要視しているポイントであり、その２点とシュート決定力で相手を上回れるかが勝敗の分かれ目となりそうだ。
千葉は、守備では奇しくも過去に千葉に在籍した富山の２トップ、ＦＷ黒部光昭（2007年に在籍）のフィジカルの強さとヘディングの高さ、ＦＷ苔口卓也（2008年に在籍）の裏に抜け出す動きのうまさとスピードに注意したい。また、攻撃では千葉の選手が口を揃えるように「前節は３点目、４点目と取れる決定機を作ったのに、取れなかったところが課題」だ。復活しつつある堅守をより強固なものにしたい富山守備陣には、市原時代からの千葉サポーターには懐かしいＤＦ金明輝（2000〜2001年に市原に在籍）がいるが、緩急を織り交ぜた攻撃で富山の守備に揺さぶりをかけ、得点機を確実にモノにしたい。前節の内容が千葉の選手個々とチームの着実な成長を表すものか。今節はその真価が試される。
以上
2010.05.04 Reported by 赤沼圭子
