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スカパー!生中継 Ch183 15:50〜(解説戸塚哲也実況加藤暁リポーター日々野真理)
--試合速報--
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リーグ最少3失点の柏と、リーグ2位の4失点の愛媛が対峙する。柏は選手個々の守備力や組織的な一面もさることながら、「攻撃は最大の防御」という言葉があるようにボールポゼッションを高めることが守備機会そのものの減少にもつながっている。対する愛媛は統率された守備組織が堅守を支えており、たとえ相手に押し込まれても3ラインがブロックを作り、バイタルエリアのスペースを消して相手につけ入る隙を与えない。
そんな両チームの特徴と、ここまで4戦全勝の“難攻不落”の日立台というシチュエーションを考えると、柏がボールを支配し愛媛が自陣深めに守備ブロックを作り上げるという構図は簡単に成り立つ。
ただし、柏がポゼッションを高めて愛媛陣内へ攻め込んだからといって、それが決して柏ペースであるとは限らない。例えば前節、愛媛と対戦した福岡はジワジワと敵陣へプレーエリアを広げ、しかも愛媛のボールの失い方の悪さも手伝って明らかに攻勢を続ける福岡がペースを掌握した試合だと思われた。しかし愛媛のガードは崩れるどころか、連打を浴びせる福岡のわずかな隙を突き、繰り出した一発の“クリティカルヒット”が福岡に致命傷を負わせたのである。たしかに、左内転筋損傷の全治2週間と診断されたアライールの戦線離脱に続き、金守智哉が今節は出場停止とセンターバックを欠くことは愛媛にとって痛手だが、「メンバーをミックスすることで、その穴は埋められると思う」とバルバリッチ監督も語っているため、間違いなく対処はしてくるはずだ。そして柏の攻撃をしのぎ、福岡戦の“クリティカルヒット”のように、サイドバックのオーバーラップや2列目のフォローアップの動きがピタリと噛み合えば、たとえ回数が少なくてもシンプルかつ素早い攻撃で柏に致命傷を負わせることは十分可能であろう。
柏にとって愛媛との対戦は、そんなガードの崩れない守備ブロックとの戦いだ。ゲーム展開のイメージでは、おそらく第3節福岡戦や第5節水戸戦に近い。その2試合は最後の最後で工藤壮人、大津祐樹といった若い力が相手の堅いガードを打ち抜いてゴールを挙げたが、今回はフランサを使えることが大きい。
2、3年前までの柏は、フランサが中盤まで降りてゲームを組み立てることが多く、その分チームそのものの出来がフランサのパフォーマンスに大きく左右されるリスクが混在していた。そこでネルシーニョ監督は就任以降「前線でフィニッシャーとして働いて貰いたい」とフランサの主戦場を高い位置に限定。実際、昨シーズンのJ1第31節から今シーズンにかけて、彼が怪我で離脱していた時期を除き、7戦で9発という異常なペースでゴールネットを揺らし続けている。熊本戦は、後半から入ったフランサがまだコンディションが上がらないにもかかわらず、かつてのように中盤まで降りてプレーしてきたため、全体のテンポが上がらずに停滞を招いてしまった。ただし、「フランサを投入して、前線の動きがそれによってなくなってしまった」(ネルシーニョ監督)と後半でのチーム全体の不出来の原因は明確になっており、4月26日の練習試合では、フランサに対し高い位置でプレーするように監督からは指示が飛んでいる。
愛媛戦に臨む柏の布陣に大きな変更点はなく、フランサはベンチスタートが濃厚。熊本戦の前半で退いた大津の足の状態が気になるが、仮に大津が欠場となった場合でも田中順也、林陵平、北嶋秀朗とメンバーには事欠かない。そして0−0の時間が長引けば、“魔術師”が満を持して登場というシナリオが考えられる。
リーグ屈指の盾を持つ両者。だがその盾を打ち破らなければ当然のことながら勝利はない。剣だけでなく魔法でも攻撃を繰り出せる柏、そして一発のクリティカルヒットを持つ愛媛。さて、軍配はどちらに上がるか。
以上
2010.05.01 Reported by 鈴木潤