4月29日(木) 2010 J2リーグ戦 第9節
横浜FC 2 - 1 大分 (19:03/ニッパ球/4,259人)
得点者:7' 西田剛(横浜FC)、11' チェジョンハン(大分)、34' 大黒将志(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch183 4/30(金)20:00〜(解説:田中孝司、実況:加藤暁、リポーター:三須亜希子)
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岸野靖之監督が試合後に「重苦しかった」と振り返ったように、自滅の形で積み重ねた5連敗は横浜FCのチーム全体に大きな重しとなっていた。しかし、そのメンタル面での重しを取ることができるのは、自信にあふれたプレーを自ら取り戻す努力に他ならない。J1からの降格組であり格上の大分を相手にして、横浜FCはその努力の跡を十分にピッチに披露し、連敗を5で止める貴重な勝利を収めた。
横浜FCは、守備の安定を図るべく高地系治を左SBに起用、そしてポストプレーをはじめとして好調をキープする西田剛を、大黒将志のパートナーとして今シーズン初めて先発で起用。西田はこの起用にいきなり答えを出す。4分に大黒がヘッドで落としたボールを拾って放ったシュートはゴールネットを揺らすものの、トラップの際のハンドでノーゴール。しかし、このプレーが予行演習となる形で7分に西田にゴールが生まれる。シルビーニョからのロングフィードを武岡優斗が収めると、西田が武岡にパスを要求。武岡はヒールパスでその要求に応えると、西田が体を入れて大分ディフェンスを制しながら落ち着いてゴールを決める。「出し手と受け手の息が合った」(西田)ゴールは、5連敗中のチームに勇気と集中力を与えた。
しかし、その勇気と集中力が試される場面が直後に訪れる。8分、チェ・ジョンハンのエリア内でのドリブルに対して戸川健太がファールを犯してPKを与える。このPKを11分にチェが決めて一旦同点に。前節までの横浜FCであればここで気落ちしてしまうところだったが、「失点直後に崩れなかったのが良かった」(武岡)というように、この試合では攻守に集中力を切らすことはなかった。そして、34分、攻め込まれた後のカウンターで、寺田紳一がドリブル突破、DFラインとの駆け引きに勝った大黒に絶妙のスルーパスを出すと、大黒が冷静に押し込み勝ち越しに成功する。大分も、22分にキム・ボギョンからのスルーパスを受けたチェがシュートを放つが、決定的なチャンスは少なく前半を終了する。
後半立ち上がりは、横浜FCが引き続きペースを握るが、前半からのハイペースな展開がたたって徐々に運動量が落ち、陣形が間延びしてくる。こういう展開になると、ロングボールを交えた大分が徐々に横浜FCを押し込み始める。しかし、横浜FCの守備陣は体を張った守備で、最後の場面では相手の自由にさせない集中力を発揮する。57分にはキム・ボギョンのFKを刀根亮輔がヘディングで合わせるが、大久保択生は左手一本でセーブ。さらに78分、宮沢正史からのスルーパスに反応した刀根のシュートも大久保がセーブ。この日の大久保は3回の決定機を全てストップする活躍を見せた。そして、ボランチの根占真伍を含め、攻撃から守備への切り替えの早さは90分変わることはなく、横浜FCは逃げ切りに成功。色々な意味で大きな勝点3をもぎ取った。
岸野監督は5連敗の原因として「集中力、カバーリング、統一感が少なかった」と振り返ったが、この試合での攻守での集中力、後半押し込まれた時の守備の意思統一は、前節までの悪い流れを自ら断ち切る大きな一歩になることは確かだろう。そして岸野監督が「この試合をベースにしないと」と語るように、この試合で自らつかみ取った集中力と自信を、今後の試合でより強いものとして積み重ねていかないといけない。「アップの時から行ける雰囲気があった」(西田)というように、試合前からチーム全体での集中力を感じたが、それに加えて西田や大久保のような昨年横浜FCで苦労した選手のプレーが貢献していることは、チームの結束という点で大きな意味を持つかもしれない。その意味で、中2日で行われる次節ホームゲームでの甲府戦の意味合いは非常に大きいものとなる。
一方の大分にとっては、得点源だったキム・ボギョンをチームとして生かせなかったことが結果に直結した面は否めない。セットプレーや機転が利いたプレーなど、キム・ボギョンの力の一端を見せるシーンはあったが、チームとしての勢いを生み出すまでには生かしていない部分が見られた。また、チーム全体を見ても、守備の厳しさ、スペースを生かしたパス回しなど、皇甫官監督が理想とする「美しいサッカー」をピッチで披露して結果を得るまでには、まだまだ改善点は多い。チームを「キム・ボギョン依存」にさせないためにも、チームとしていかに彼を生かすか、その戦略が問われていくことになるだろう。
試合数が減った今年のJ2において、このゴールデンウィークの連戦は一番過酷な日程となる2週間。修正する時間が限られるため、個の力や戦術だけでなく、チームの結束やメンタルなどチームの底力が試される。この試合において両チームが何を収穫として、何を課題にするのか。連戦の残り3試合を注目していきたい。
以上
2010.04.30 Reported by 松尾真一郎
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