スカパー！生中継 Ch183 18:50〜（解説：野々村芳和、実況：西岡明彦、リポーター：長友美貴子）
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大鉈が振るわれた、といったら言い過ぎか。大宮は早くも監督交代をに着手した。新しく迎えた指揮官は鈴木淳氏。４年前、Ｊ１昇格３年目の新潟の指揮を引き継ぐと、上位争いが出来るチームにまで仕立て挙げた。アグレッシブなサッカーが特徴で目を奪われるが、昨季リーグ戦では首位・鹿島の３０失点に次いで少ない３１失点に留めるなど守備力強化の手腕も光る監督だ。クラブが行った、ゴールデンウィーク前のこの決断は、驚きもあり、そして期待も抱かせる。
新監督を迎えた現在の大宮の状況を整理しておく。前節、清水に敗れたことによって順位はなんと１７位まで沈んだ。最下位を免れているとはいえ、１８位・新潟との勝点差はなく、得失点差も並んでいるような状況にまで追い込まれてしまっている。Ｊ１昇格以来、毎年のように残留争いを余儀なくされているとはいえリーグ戦わずか８節終了時にわずかに１勝しかしていない今季は、緊急事態といっても言い過ぎではない。
という状況を受けてのリスタートだ。鈴木監督は今週の火曜日に就任会見を行い、水、木、金とわずかに３日間の練習を行っただけで実戦に臨まなくてはならない。だが、新たな監督を迎えたという緊張感を除いたとしても、雰囲気はピリっとしたように、はたから見ていても感じられる。和気藹々と楽しそうであることが多かった大宮の選手たちに、勝負の空気がもたらされたとでも言おうか。こちらも気持ち良く感じられる。
まず、その水曜日の練習からして、これまでとがらりとメニューが変わった。フィールドを限定してポゼッションを行う。狭くすることで、パスの正確性、スピードも求められるショートパスを多用したい場合に有効なトレーニングで、今後これまでに比べてパスサッカーの色が濃くなることを意味している。また、最終ラインのポジショニングを微調整し、カウンターの状況を作り、その状況での動きを確認する。ひとつひとつの練習を流すことなく、要所では止め、指示を加え再開する。これまでの練習風景とは大きく変わったところのように思う。新潟時代、鈴木監督の下でプレー経験のある北野貴之は「プレーの意図を大切にする。偶然入ったゴール、防げた失点というのはさほど評価されない。逆に失敗しても意図があったプレーであれば歓迎される」と鈴木監督の特徴をしている。今後は、かなりコミュニケーションを図り、ピッチ内でも頭を使うことが要求されそうだ。
いきなり迎える京都戦だが、メンバーが大幅に変わることはなさそうだ。「これまで試合を見たりはしているけれど、中に入ってみたわけではない。これまでやってきた蓄積もある。だから、良く分かっているコーチたちの話を聞いて」メンバーを決めることになりそうだ。２日前の紅白戦では、左サイドに金久保順が入った以外は概ねこれまでどおりで臨むことになりそうだ。京都は、大宮との勝点差は３、勝利すれば一気に順位をひっくり返すことができる相手だ。指揮官は「まだビデオは見ていないけれどやはり、警戒すべきはディエゴ。彼からのパスやシュートが最大の武器だと思う。また、柳沢敦のボールが無いところでの動きはケアしていかないと」と攻撃における特徴を口にした。ただ、守備については「スキはあると思う。ただ、それがどこだかというのは申し上げづらい」とした。
「サッカーのクオリティをあげていきたい。それが結局は勝利への近道。勝てばよいというわけではない」と話す鈴木監督の大宮での初陣ではある。ただ、それでも、開幕戦以来勝利のない大宮に勝利をつかんで欲しい。その上で、楽しいシーズンを予感させてくれる試合内容になればこの上ない船出となる。
以上
