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【J2:第9節 鳥栖 vs 熊本】鳥栖側レポート:鳥栖の『バトル オブ 九州』第2戦。ロスタイムにエースのゴールで、薄氷の引き分けに終わる。「負けなくて良かった・・・」と松本監督(鳥栖)がみんなの声を代弁。(10.04.30)

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4月29日(木) 2010 J2リーグ戦 第9節
鳥栖 1 - 1 熊本 (13:03/ベアスタ/8,697人)
得点者:48' 井畑翔太郎(熊本)、90'+3 豊田陽平(鳥栖)
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試合終了のホイッスルと同時に、筆者は手元の時計での計測を止めた。表示していた時間は、54分22秒。約10分間のアディショナルタイムがとられたことになる。終わってみれば、シュート本数は鳥栖の11本に対して、熊本は7本。その他の数値も公式記録を見る限りでは、特筆するものは見当たらない。鳥栖にとっての『バトル オブ 九州』第2戦は、なんとも形容しがたい内容だった。それを象徴するがごとく、試合後の松本育夫監督のコメントにも「負けなくて良かった」とのフレーズが入り、同様に選手たちにも異口同音の言葉が聞かれた。

その要因の一つにあげられるのは、前節(第8節)の福岡戦で見せた“最後まで落ちなかった運動量と切らさなかった集中力”とがこの試合で思うように出すことができなかったことがあげられる。言い換えると、熊本の守備での意識が非常に高く、鳥栖の攻撃の芽を積んだからに他ならない。

前半から試合は淡々と進んでいった。鳥栖がボールを持つと、熊本はMFとDFで守備のブロックを引いて待ち受けた。ターゲットになるFW豊田陽平には、熊本CBの福王忠世と矢野大輔がマークに入る。ターゲットを抑えられた鳥栖は、DFでボールを回しながら出し所を捜し、熊本は決して無理にボールを奪おうとせず、自分たちのペースを守っていた。この形で45分間が経過し、前半のシュート数は鳥栖の3本に対して熊本の2本と互いの手の内を探りあうような内容だった。

試合が動いたのは、後半に入った直後だった。後半が始まって3分、FW豊田に入ったボールを熊本が中盤で奪ってシンプルに右サイドに流れた松橋章太に送ってからである。これが、井畑翔太郎の得点とつながり、鳥栖に大きな重圧となってのしかかることになる。勝利に対する執念で鳥栖は熊本ゴールに迫るが、前がかりになった分だけ熊本にも反撃を受けるシーンが増えた。試合時間の経過ともにミスや焦りも見られ、鳥栖のゴールはとても遠かった。結果を見ると、後半だけの鳥栖のシュートは8本で、熊本の5本を上回っている。しかし、その内訳はセットプレーからのシュートが多く、流れの中から崩したシュートは少ない。ここでも、熊本の堅守が光っていた。流れの中で崩すことができないならば、セットプレーやスローインからの再開を有効活用しないといけない。リスタートは、攻撃側がボールを入れないと始まらないのであり、スターターには相手のプレッシャーがない。

62分に得たFKは、熊本ゴール正面の17mの地点だった。藤田直之の蹴ったボールはクロスバーに弾かれ同点機を逃した。このほかのCKもFKも熊本の守備の壁を崩すことができずに、5分のアディショナルタイム表示が示された。熊本は、退場者を出して一人少ない中でこの時間を乗り切れば良い訳で、さらに守備の意識を高めていた。鳥栖は、DFの枚数を減らしてより攻撃的になり、熊本ゴールに迫った。それまでの試合経過を見る限りでは、このままの状態で試合終了となりそうな雰囲気だったが、ひとつのスローインから大きなドラマが生まれた。

ロスタイム3分に得た右サイドからのスローインは、熊本ゴールまで約30mの距離があった。「もう少し、GKに近いところに入れてくれ」とFW豊田は、スロワーの藤田に試合中に話していた。藤田は迷わず、熊本ゴール前で相手DFを抱えた豊田にボールを投げ入れた。豊田の頭を経由したボールは、GK南雄太の脇を抜けて熊本ゴールに吸い込まれた。

このゴールが、冒頭にも紹介した松本監督の言葉につながるのであるが、反対に熊本の高木琢也監督には悔やみきれない失点となってしまった。監督会見での冒頭の30秒の沈黙が、その無念さを表している。試合後の両監督の表情には大きな違いはあるが、得た勝点は1ずつ。今季の鳥栖vs熊本の『バトル オブ 九州』第1戦は、結果は同じでも内容には少しだけ差があった試合だった。

現在サッカーでは、ロングスローも大きな武器である。セットプレーと同じように攻撃も守備も対応する必要がある。大きなルール変更がないサッカーの歴史の中で、道具や技術の進化が見られ、それに伴って多彩な戦術を見ることができるようになった。もうすぐ“2010FIFAワールドカップ南アフリカ”が始まる。どんなプレーを魅せてくれるのか、とても楽しみである。しかし、身近に見るJ2にもワクワクさせてくれる対戦があるし、プレーもある。九州の5チームは、『バトル オブ 九州』の戦いを8試合こなす。シーズンの約1/4を戦う計算である。そのなかにどんなドラマが待っているのだろう。
ワールドクラスのサッカーは必見だが、ローカルクラスのサッカーも見逃せない。
あれもこれも、それもどれもサッカーである。サッカーに飽きは来ない。

以上

2010.04.30 Reported by サカクラゲン
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