スカパー！生中継 Ch184 15:50〜（解説：大西貴、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香）
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愛媛のJ2通算50勝目は、前節のホームで成し遂げられた。横浜FC戦の勝利は今季初の複数得点であり、そして今季5度目の完封劇でもあった。さらにホームでは2連勝、今季初の白星先行という結果を見れば、まさにいいことずくめ。ゴールデンウィークの連戦に向けて期待はさらに膨らむ。そして、今節の福岡戦もホーム・ニンジニアスタジアムで開催される。今、流れを見るとこの連戦を心待ちにしている愛媛のサポーターも多いことだろう。
ただ、ひとつ残念なのはアライールの負傷。横浜FC戦で左内転筋を損傷、全治2週間で今節の愛媛は堅守を誇ったディフェンスラインの一角を欠く。それでも、「ラインのスライドやスペースの穴を埋めることなど、守備は監督からずっと言われていること。キャンプから徹底されている」と金守智哉。開幕から奮闘し続けてきたアライールと小原章吾のセンターバックコンビの影に隠れてしまっていたが、こういう事態になって昨季36試合に出場した金守の存在は心強い。
横浜FC戦でアライールに代わって今季初出場、「ピッチに立って、ゲームができることが嬉しかった」と顔をほころばせた金守は、小原と同い年だ。「小原は中学時代から僕らの世代でトップクラスだった選手。何度か対戦もしたこともあってよく知っていたし、試合ではボコボコにされたこともあった（笑）。今シーズン、ベンチで見ていると小原に限らず、他の選手からプレーで盗むところもあったし、これもいい経験だったと思う」。新加入の小原にポジションを奪われる形となったが、自らを高めつつチャンスを待ち続けた金守。さらに今週は怪我で離脱していた松下幸平も合流、バックアップのメンバーもスタメン復帰に備えて準備にぬかりはない。
一方で、バックアップという点では、今節は福岡も同じ課題を抱える。ディフェンスラインでは中島崇典が出場停止、山形辰徳も負傷で苦しい台所事情。4試合連続で先制点を許し3連敗中だが、今節も先制点を与えるようだと愛媛が勢いづくことは避けられない。福田健二や小原章吾ら高さのある愛媛のセットプレー対策も必要だろう。そして連敗を脱出するために欲しいのは、4試合ぶりのゴール。特に攻撃から守備への切り替えが早い愛媛の守備を攻略するために、永里源気のスピードや岡本英也の飛び出しで隙を突けるか、それとも大久保哲哉の高さを有効に生かせるか。ゴールにこそ結びつかなかったが、前節の鳥栖戦でも何度かビッグチャンスを作った。あとは確実にゴールを奪い、開幕当初の前に進むパワーを思い起こしたい一戦だ。
一方で、愛媛も攻撃面ではまだまだ課題を残す。高い位置で奪うこと、あるいはポゼッションからサイドチェンジを交えて相手を崩す攻撃の形はまだまだ発展途上だ。最近はサイドから崩すパターンのトレーングに時間を割くことも多いが、前節も2得点は共にセットプレー。直接的な結果には結びついていない。ただ、開幕前にバルバリッチ監督は「『信じる』ことは目標を達成するための重要な要素」だと語っていた。少なくとも守備に関して選手たちは監督の志向するサッカーを信じてトライを続け、結果を残して自信を持ち始めた。今はまだ物足りない攻撃も、目指す形を信じ続けることが必要なのだろう。
「目標に向かってひとつひとつ続けていくことで、ずっと先にあるもの、到達できるはずのところに辿り着くことができる。そこへいきなりジャンプしようとするのではなく、目標に対して続けていくことが大事」とも語っていた指揮官。まだまだ課題も残るが、着実にステップアップを続ける愛媛。この連戦でチームはどこまで辿り着けるか、その成長を楽しみにスタジアムへと足を運びたい。
以上
2010.04.28 Reported by 近藤義博
