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スカパー!生中継 Ch183 15:50〜(解説:戸塚哲也、実況:野村明弘、リポーター:高木聖佳)
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「あんなにうまくいくとは思わなかった」。木山隆之監督はしてやったりの表情で前節札幌戦を振り返った。シュート数8対19。圧倒的に札幌に支配され、ほとんどの時間を守備に費やし、流れの中でチャンスらしいチャンスを作れなかったにも関わらず、2つのCKを決めて勝利。「札幌はうまいチームなので、ボールを持たれると思った。そうなった場合はああいう展開でよかった。粘り強く守れればチャンスはあると思っていた」と語る木山監督の策略勝ちであった。
今の水戸にはある種の“諦め”があり、それが功を奏している。つまり、相手が自分たち以上の能力があると分かったら、無理にプレスをかけず、自陣深い位置に下がってブロックを作り、ゴール前に人数を固める。それが自然とできているのだ。特にサイドの動きが面白い。中盤のサイドに展開された時、両サイドバックはペナルティエリアの横幅に絞り、4人のセンターバック状態を作る。そして、サイドの対応は4−5−1のサイドMFが行っている。システム論的に言うと、従来の4−5−1というよりも、3−5−2の3の役割を4人で行い、サイドMFが3−5−2のウイングバックの役割を行っている。それが今の水戸の戦い方であり、木山版「水戸ナチオ」なのである。攻撃から守備への早い切り替えができていることで、システム移動がスムーズにできており、ちょっとやそっとの攻撃では崩れることはない。それが2連勝の原動力となっている。
今節の東京V戦に向けても木山監督は「理想を言えば攻めたいけれど」と前置きをしたうえで、「ホームなのでまずは勝つための戦いをしたい」と強い口調で語った。今節も鉄壁の守備で東京Vの攻撃を封鎖するつもりだ。崩せるものなら、崩してみやがれといったところか。
東京Vは若い選手を中心に長いスパンをかけて「ヨミウリ」の輝きを取り戻そうと第一歩を踏み出したところだ。当然、今は痛みを味わっている。チームの成長よりも“膿”が出ている状態と言えるだろう。ポゼッションにこだわるあまり、ゴールに向かう意識が乏しく、現在リーグで2番目に少ない4得点しか挙げられていない。また、局地戦では強さを発揮するが、ロングボールを蹴られると弱さを露呈し、さらには若い選手が多いため、試合ごとや時間帯によってムラがあり、安定した力を出し切れていないなどチームの短所の方が目立っている。
だが、それでも戦い方にぶれのないところに東京Vの希望はある。前節甲府戦の後半のようにリズムをつかんだら迫力のある攻撃ができる力があり、その時間を徐々に増やしていくことが現状での課題と言えるだろう。今は苦しみの時。しかし、この苦しみなくして成長はない。徹底して自分たちのサッカーをしながら、成功体験を積むことでしかこの壁は乗り越えられない。「水戸ナチオ」を打ち破った時にチームは大きな自信を手にすることとなるだろう。
以上
2010.04.28 Reported by 佐藤拓也