スカパー！生中継 Ch185 12:50〜（解説：田渕龍二、実況：榎本真也、リポーター：奥田麻衣）
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徳島は前節の富山戦で3試合ぶりの勝利を挙げた。しかもその戦いは前半背負った2点のビハインドを後半一気に跳ね返しての見事な逆転劇。過去2試合（第5・7節）で沈黙していた攻撃陣が復活を感じさせた内容であったと言えよう。さらに付け加えるなら、それがアウェイ戦であったことはチームの見せた逞しさをいっそう際立たせる。追撃の1点目を挙げた島田裕介も「チームに力があることを証明出来た」と語ったように、徳島は自らが積み上げているパワーを確かに示して見せた。
が、手放しで喜んでいるわけにはいかない。なぜならそのような勇ましい姿を披露した反面、幾つかの課題が見られたのも事実であり、それによってチームは2点差を追い掛ける苦しい展開を強いられたのだから。そして、その課題の中にはすぐに今節どう改善するかが問われるであろうものがある。相手が自陣バイタルエリア付近で分厚く築く守備ブロックをいかに攻略するか、だ。厳しい戦況にあった前節の前半を振り返れば、徳島は富山のそれを攻めあぐねた結果として全体にエンジンがかからず失点も重ねたのだが、今節ホームに迎える岡山も富山同様それを形成してくると予想される。
その岡山だが、確かに戦績だけを見れば好調とは言い難い。しかし前節の敗戦（0-1・vs草津）も含めこれまですでに5敗はしているものの、それらの戦いを振り返ればどれもが僅差の接戦。これまで一度も守備の大崩れによっては敗れていないのである。その事実から考えると、岡山は影山雅永監督のもと粘り強く安定した守備を身に付けてきたと見ていいのではないか。その上しっかりハマった時のそれは非常に強固。事実、前々節ではその守りをベースとした戦いで登り調子にあった千葉をも仕留めて見せているが、敗れた千葉の江尻篤彦監督から聞かれた「ファイティングスピリットが素晴らしく、それを最後まで続けたので勝点が岡山さんに転がったと思っています」という言葉からは岡山が持つポテンシャルを感じずにいられない。となれば、徳島にとってもその岡山が作ってくるはずの分厚い守備ブロックを崩すのは容易でないはず。
とは言えひとつの打開策は徳島も見付けている。それは実際に前節同点へと追い付く2つの得点いずれもを生み、美濃部直彦監督も「守備ブロックを作られた時には効果がある」とその必要性を語ったミドルシュートで、当然ながらいくら固いブロックが築かれていようともその上や僅かな隙間を通せればゴールは可能というわけだ。
ただ、だからと言ってそれを打つことだけでは課題の十分な解決にはならないだろう。ではそこに何をプラスすればいいかと言うと、その答えは指揮官が口にした前記コメントの中の『効果』という言葉に含まれているように思われる。
フィニッシュとしてだけではないミドルシュートの効果─。ミドルシュートを見せればそれをケアするために相手の守備ブロックは距離を詰めようと前へ出て来ることとなり、そうなれば背後を突くチャンスが生まれてくる。またそうした背後への狙いを感じさせたならブロックは再び下がり再度ミドルシュートが活きてくるということだ。そしてそうした揺さぶりでブロックにバランスを失わせられれば徳島に切り崩しやすい状況が訪れるのは間違いない。そう考えると島田や濱田武、柿谷曜一朗や六車拓也らパンチ力とパスセンスを兼ね備えたMF陣の状況を見極めたプレーの使い分けが徳島のカギとなるように思われる。
徳重隆明は「アウェイで苦しい試合を逆転勝利することが出来た前節を受けてのとても大切な試合」とこの一戦を位置付けたが、まさしく今節は大きなポイントになる戦い。開幕4連勝後やや足踏みしてしまったチームにとって再び上昇気流に乗れるかが懸かる大事なゲームと表現出来よう。それだけに頼れるストライカー津田知宏も戦列に戻ってきた徳島としては勝利以外考えられない。
最後にだが、この日は『ＪリーグファミリーＪｏｉｎデイズ』。鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムでは家族を対象とした様々なイベントを中心に多くの催しが予定されており、熱い両チームの激突以外でも大いに盛り上がること間違いなし。ぜひ一人でも多くの方々に足を運んでいただきたいと思う。
以上
2010.04.28 Reported by 松下英樹
