4月25日(日) 2010 J2リーグ戦 第8節
福岡 0 - 1 鳥栖 (13:04/レベスタ/8,715人)
得点者:23' 木谷公亮(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch185 4/26(月)19:00〜(解説:吉村寿洋、実況:南鉄平、リポーター:森田みき、プレーヤー解説:中払大介)
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☆鳥栖側レポートはこちら
サッカーは何が起こるか分からないスポーツ。どんなに万全の準備をしても報われない試合もある。そしてリーグ戦を勝ち抜くためには、目の前の試合に一喜一憂することなく、勝利はもちろん、敗戦も真正面から受け止めて、1シーズンをコンスタントに戦い抜かなければならない。どんな相手との試合も争うのは勝点3であることに変わりはなく、いずれの試合も、その重要性は等しい。
しかし、それでも勝ちにこだわらなければいけない試合がある。絶対に勝たなければいけない試合がある。それがダービーマッチ。それは勝利が何よりも優先される試合。互いの順位、力関係に関係なく、勝利を求める強い気持ちを争う試合でもある。
しかし、バトル・オブ・九州と銘打って行われる今シーズンの九州ダービーの初戦で、福岡は長年のライバルである鳥栖にホームで敗れた。両チームのサポーターの声援で、ホイッスルの音がスタンドで聞き取れないほどの独特の雰囲気の中で行われた試合は、互いに硬さも見え、内容的には一進一退。どちらのサッカーが優れていたのかと問われれば、そこには差がなかったと言うべき試合だった。「やられたのはセットプレーで点を取られたシーンだけだった」と福岡の選手たちは口にした通り、勝敗を分けたのはたった一つのプレーだった。
だが、戦う姿勢はどうだったのか。前へ出るパワーということにおいては、鳥栖が福岡を上回っていたことは否定できない。勝点3を取れなかったという現実以上に、ホームで迎えた絶対に勝たなければいけない試合で見られた気迫の違いに、敗戦以上の悔しさが募る。
それが顕著に感じられたのが前半の戦い方だった。立ち上がりは、鳥栖の中盤にできるスペースを使ってボールを回す福岡の鳥栖陣内でのプレーが続く展開。今シーズン初先発を果たした鈴木惇がスペースに入り込んでは好パスを捌く。8分にはその鈴木のスルーパスに永里源気が飛び出して決定機を演出するなど、福岡らしい形も見せた。
しかし、福岡が主導権を握っていたわけではない。豊田陽平にロングボールを当てる鳥栖の攻撃は単調に見えて、それでもセカンドボールを拾った時の鳥栖の攻撃は迫力満点。一気に人数をかけて前へ出るパワーある攻撃は、回数こそ少ないものの福岡を慌てさせるには十分だった。やがて流れが鳥栖に傾き始めた23分、金民友のCKに木谷公亮が頭で合わせて鳥栖が先制弾が福岡のゴールネットを揺らす。ここからは出足鋭く中盤を制する鳥栖が主導権を握って試合を進めていく。
福岡にチャンスがなかったわけではない。後半に入ってリズムを刻みだした福岡は、鳥栖を自陣内に押し込んでチャンスを演出。鳥栖の足が止まりかけたところに乗じて攻撃を繰り出し、ゴールを捕らえられれば逆転という流れにまで持ち込んだ。しかし、局面の激しさを失わない鳥栖は、福岡にシュートチャンスを与えない。そして福岡は、決定機に至る一歩前のプレーに正確さを欠き、攻めながらも鳥栖の守備網を突破できない。
「後半は相手陣内でプレーする時間が長かったが、エリアの周辺では、相手は高さもあったし、体を張って守られた。何とかかいくぐらなければいけなかったが、力不足なところも、個人の問題も、チームとして攻めなければというところもあり、全体としては力不足かなと感じた」高橋泰は振り返る。
やがて、福岡の攻撃はトーンダウン。次第に閉そく感が募るようになり、75分に福岡の攻撃の起点となっていた中島崇典が2枚目のイエローカードを受けて退場処分に。この時点で勝負が決した。
寂しさと悔しさが入り混じる感情の中で迎えた試合終了のホイッスル。福岡は単なる1敗ではなく、大きな1敗を喫した。しかし、勝たなければいけない試合での敗戦に頭を下げているだけでは何も始まらない。悔しく、情けなさが募るが、それでも前を向いて進んでいかなければならないのも、また事実だ。
中町公祐は話す。「結果が出ないと僕たちがやっていることを批判されて、そのまま流れやリズムが悪くなっていくというのは往々にしてあること。受け止めるところは受け止めて、変わらないベースはしっかりと積み上げていかないといけない。そこは変わらずにやっていきたい」。悔しさを晴らす方法は、自分たちを磨き上げて勝つことしかない。
この日感じた悔しさから何を学ぶのか。そこから、チームをどうレベルアップさせるのか。厳しい状況に追い込まれた福岡に、今それが求められている。
以上
2010.04.26 Reported by 中倉一志
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