スカパー！生中継 Ch183 12:50〜（解説：野々村芳和、実況：永井公彦、リポーター：藤井孝太郎、プレーヤー解説：堀井岳也）
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ゴールデンウィーク直前の第８節。春の足音が聞こえながらも、なかなか大きなものにはならない肌寒い札幌市内。札幌ドームでは勝点８で１４位の札幌と、勝点９で１１位につける水戸が対戦する。
ホームの札幌はいよいよ本領発揮といきたいところである。ここまで６試合を終えて２勝２分２敗の勝点８という成績は、Ｊ１昇格を目標に掲げるチームとしては若干もの足りないと言える。だが、前節は試合が組まれておらず、地元でしっかりと休養を取ることができた。そして今節はホームゲーム。フィジカル的にもメンタル的にも充実し、いよいよ巻き返しが期待できるだろうし、言い訳のできないシチュエーションだとも言える。
そうしたなかで、この水戸戦を前に石崎信弘監督は「今季はシステムを固定しない。相手によって戦い方を変えていくつもり」と明かしている。直近の試合だった柏戦（６節／△１−１）では４−２−３−１のフォーメーションを採用し、相手のサイド攻撃をケアする戦い方を演じているが、この水戸戦ではどのような陣形で、どのような戦略のもとにゲームを進めていくのか、注目が集まるところだ。
対する水戸は前節、ホームで福岡と対戦して１−０のスコアで勝利。福岡の力強い攻撃に押し込まれてしまう時間は多かったが、セットプレーで大和田真史が決めた１点を守りきるという、粘り強いサッカーを演じてみせた。「選手たちを奮い立たせてくれるお客さんの声援であったり、いろんな部分で勝てた」と木山隆之監督は地元での勝利を満足そうに振り返っている。
今季の水戸のストロングポイントはやはり守備である。７試合を終えての失点は４で、柏、愛媛に次ぐ３番目の少なさ。得点数も４と若干物足りない印象もあるが、リーグ戦で上位につけるには守備の整備は不可欠。その意味ではしっかりとしたチーム作りが進んでいると見ていいだろう。そうしたなかでキーマンとなりつつあるのが主にアウトサイドでプレーする遠藤敬佑か。この選手は豊富な運動量をベースにしっかりと守備意識を保ち、上下運動を繰り返しながらトップ下の大橋正博、１トップの吉原宏太のフォローも献身的に行なう。攻守両面でチームを支えていると言っていいだろう。
そんな水戸が敵地に乗り込むこの試合、一般的に考えればロースコアの緊迫した展開になると予見できるだろう。早い時間帯にどちらかに退場者が出るなど、ドラスティックに状況が変化したとなれば話は別だが、地元の大きな声援を背にアグレッシブに前に出てくる札幌相手のアウェイゲーム。水戸は持ち味である堅守でリズムを作り出し、勝機を見出したい。一方の札幌も、守備意識を高めてきた相手に対し、クサビのパスから能動的に崩していくというトレーニングを昨シーズンから継続して重ねている。水戸の守備が上回るのか、それとも札幌の崩しが上回るのか。いずれにせよ、双方の特徴がクッキリと浮かび上がる、見応えのあるゲームになることは間違いないだろう。
また、札幌と水戸は先日、交通事故で亡くなったデルリス・フロレンティンさんが０５年シーズンにプレーしていたチーム。そのチーム同士が対戦するとあって、いろいろな想いをめぐらせるファンの方もいることだろう。そうした想いが重なってこそ、文化というものも作られる。アグレッシブかつクリーンな試合が、きっと見られるはずだ。
以上
2010.04.23 Reported by 斉藤宏則
