スカパー！生中継 Ch308 16:55〜（解説：水沼貴史、実況：西岡明彦）
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昨年のリーグ戦における両者の対決はＧ大阪の１勝１分。うち８節のホーム戦では前半、MF佐々木勇人のクロスが誘ったオウンゴールを皮切りに、FWルーカスが追加点を挙げて２−０。更に後半も２点を積み上げると、終盤に反撃を許すも４−２と、Ｇ大阪がアグレッシブな攻撃サッカーでＦ東京を玉砕した。
そのホーム戦の再現といきたいＧ大阪だが、ここ２試合は守勢な戦いを続けている。FW平井将生、元Ｆ東京のFWルーカス、MF遠藤保仁、MF橋本英郎といったチームの生命線とも言うべき存在が立て続けにケガで離脱したこともあって、システムはここ数年親しんできた４バックから、５バックへ変更。西野朗監督が「理想は３バックで両翼を高く、攻撃的に入りたいが、今はそれをできない状況。消耗度などを含めてやり切れているとは思えない。ただ、いろんなチーム状況、戦力の中で、状況に応じて我慢して対応することは必要になると思う」と話すように、タイミングを見計らって両サイドが攻撃に参加する中で３バックになることもあるが、まずは守備への意識を徹底してポジションをとっていることから、５バックをベースにしたカウンター攻撃、というのが今のスタイルだと言えるだろう。
こういった現状を踏まえても、また今節もケガ人のスタメン復帰は見込めない状況もあり、Ｇ大阪がここ２試合でとっている守備的なシステムを崩すことはなさそう。それは、今節、ホームに迎えるＦ東京のサイドアタックや、スペースを活かしてパスを繋ぎ、攻撃を組み立てていく攻撃力を考えても得策だろう。但し、MF遠藤については左足もも裏の筋膜炎の状態が快方に向かっており、今週から全体練習にも合流したため、実戦復帰の可能性は大。試合ギリギリまで状態を見極めた上で出場の可否が決断されることになりそうだが、彼が復帰となれば、多少、顔ぶれ、配置を動かす可能性はあると言えよう。
「セルビア戦から２週間ほど別メニューになっていた中で足の状態は明らかに良くなっているので。監督次第ですが、出られる状況にはあると思う（MF遠藤）」
ただスタイルを妥協して守勢にまわっても、全てがマイナス効果に働いている訳では決してない。なぜなら、５バック気味の布陣をとったここ２試合、AFCチャンピオンズリーグの水原三星戦では白星、Ｊ１リーグ戦の清水戦では１−１のドローと決して悪くはない『結果』を得ているからだ。しかもその中で出場チャンスを得た若手のFW宇佐美貴史やFW大塚翔平、MF武井択也らが、先発出場を重ねながら明らかに自信を蓄えつつあり、『選手層』という意味でも収穫はある。と考えるなら、今は我慢強く、結果に拘り、チーム、個人として失いかけていた自信を取り戻す時期ともいえる。苦しみながらも『結果』を得ることは、選手たちにとって何よりも勝る糧となるからこそ。
対するＦ東京はリーグ戦でのここ３試合、勝ちあぐねる状況が続いている。その合間を縫っておこなわれたヤマザキナビスコカップ第２節の大宮戦は１−０と勝利したが、直後の京都戦でも引分けるなどリーグ戦の流れを断ち切るきっかけにはならなかったようだ。
但し、０８年から３年目の指揮となる城福浩監督の徹底したスタイル追究は明らかにチーム力をあげており、それがしっかりとハマった試合については、恐ろしいほどの勢いを魅せているのは周知の通り。Ｇ大阪との過去の対戦においても、ホーム戦ではＧ大阪が７勝３敗と相性の良さを魅せているものの、その『敗戦』においては、Ｆ東京の攻撃力をまともに受けて大敗を喫した試合があったのも事実だ。Ｆ東京としては、さほど相性のよくないアウェイ戦とはいえ、その『いいイメージ』で試合に入りたいところだろう。
注目は、リーグ戦の大宮、カップ戦の京都を相手に連続ゴールをあげるなど、今季公式戦で３得点を挙げ勢いを見せるユース出身のルーキー、FW重松健太郎や元Ｇ大阪のMF松下年宏ら新戦力。『個性』ある彼らがＦ東京の攻撃力にどのような色づけをするのかが楽しみだ。
以上
2010.04.23 Reported by 高村美砂
