4月18日(日) 2010 J2リーグ戦 第7節
柏 2 - 0 鳥栖 (13:04/柏/6,844人)
得点者:50' レアンドロドミンゲス(柏)、82' 工藤壮人(柏)
スカパー!再放送 Ch185 4/20(火)08:00〜(解説:野々村芳和、実況:桑原学、リポーター:小野寺志保)
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ゲームが動いたのは後半立ち上がりの50分だった。自陣でボールを奪取した橋本和が、そのままドリブルで中央へ駆け上がり、左サイドの大津祐樹へパス。大津は落ち着いて全体の状況を見極め、逆サイドのスペースにフリーで走り込むレアンドロ・ドミンゲスを見つけると、バイタルエリアを斜めに横切るグラウンダーパスを送った。「逆サイドからボールが流れてきて、うまく足元に入ってきた」(レアンドロ・ドミンゲス)というボールをワンステップで叩いたシュートがゴール左に突き刺さり、柏が先制した。
前半は鳥栖のペースで進んだ試合だった。キックオフ直後、柏の中盤のつなぎのミスからボールを奪った鳥栖は、金民友が柏守備陣の背後へ抜け出そうとする池田圭へフィード。これは柏DF橋本がコーナーキックに逃げたが、そのセットプレーのチャンスでこぼれ球を衛藤裕がミドルシュートを放つという、非常に良い形、良いテンションでゲームへと入った。
鳥栖が全体のブロックをリトリートして守備的にゲームを進めたことによって、柏攻撃陣はスペースを得られず、バイタルエリアでは窮屈な密集地帯が生じる。攻撃が手詰まりの柏に対し、鳥栖はそこでボールを奪い、広大なスペースの広がる敵陣へスピーディーなカウンターを仕掛けてリズムを作った。「守備をしっかりして、守った中から攻撃ということで入ったわけで、前半は良かった」と言う松本育夫監督のコメントからも、前半の鳥栖はほぼゲームプランどおりに進めることができたと見てよい。しかも柏は全体的に集中を欠いていたのか、39分にはノープレッシャーの状態ながら最終ラインのパク・ドンヒョクが横パスを鳥栖FW豊田陽平に奪われピンチを招くという、通常ではあまり考えられないようなミスも目立った。
だが、ネルシーニョ監督が後半開始とともに打った一手が、そんな悪い流れを一変させてしまう。「クリアボールに対する素早い対応、裏への抜けだし、あとは前線でキープすることを監督から言われました」と、澤昌克に代えて田中順也をピッチへ送り、背後のスペースを狙わせた。さらにボックス型の中盤ではなく、レアンドロ・ドミンゲスと大津祐樹をサイドに開かせた。縦と横へのベクトルを加えることでバイタルエリアの密集状態解消を狙った。
「どういうプレーをしたらいいのか、時間の流れ、局面における判断ができていなかった」と松本監督が言えば、「相手の守備がすごく良く、そこで何か変化をつけてどういうふうにスペースを空けるのか、選手たちはしっかり表現してくれた」とはネルシーニョ監督の弁。両指揮官のコメントが、この試合のポイントを物語っている。鳥栖の組織された守備を前半とは異なる動きで応戦した柏に対し、鳥栖は戦い方を変えた柏の動きに対応しきれなかった。冒頭の先制ゴールの場面は、鳥栖の守備への切り替えも早く、すぐさま5、6人が戻って陣形を固めようとしたが、ゴール前に人数はいるが外のスペースを使う大津とレアンドロ・ドミンゲスをケアできていなかった。82分の柏の追加点もまた、DFラインの裏へ抜け出した工藤壮人の動きに対応しきれなかったものだった。
もちろん鳥栖にも得点のチャンスはあった。前半終了間際の豊田のチャンスの他、55分、右サイドを突破した池田の突破から藤田直之のワントラップボレー、70分には萬代宏樹が柏守備陣のオフサイドトラップのタイミングを外してシュートまで持ち込み、後半ロスタイムにも丹羽竜平のアーリークロスに萬代が飛び込む場面もあった。そこは松本監督が前節の水戸戦でも指摘した「決めるべきところで決めきれない」部分であり、もし決めていたならばゲームの行方がどう転がったか定かではない。試合後、松本監督は何度も「勉強させられた試合だった」と言葉を発したが、いくつか浮き彫りになった問題点を修正し、次節福岡とのダービーマッチに生かしたい。
柏は、前半は不安定な内容も終わってみれば完勝で首位をがっちりキープした。ただし、無敗の首位とはいえ「中盤を消された時にどこにポイントを置くかがまだまだだと思う。トレーニングから質を上げていきたい」と大谷秀和は勝利の喜びよりも課題を真摯に受け止める。次節、3位の熊本を相手に柏もまたどこまで修正点をクリアできるか。
以上
2010.04.19 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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