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【J2:第7節 甲府 vs 富山】レポート:最大の収穫は「希望」。怖いカウンターを持つ富山に勝利して2010年型の希望を手に入れた甲府(10.04.19)

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4月18日(日) 2010 J2リーグ戦 第7節
甲府 5 - 0 富山 (16:03/小瀬/10,316人)
得点者:19' 内山俊彦(甲府)、56' 秋本倫孝(甲府)、60' マラニョン(甲府)、90'+2 片桐淳至(甲府)、90'+4 ハーフナーマイク(甲府)
スカパー!再放送 Ch183 4/20(火)13:30〜(解説:外池大亮、実況:酒井康宜、リポーター:石河茉美、プレーヤー解説:林健太郎)
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小瀬のピッチとスタンドに自信が戻ってきた。浦和や清水よりも強いとは思わないけれど、totoが4試合しか当たらなくても、何時も寄るラーメン屋が臨時休業していても笑顔で受け止めることが出来る。酸いも甘いも経験済みのベテラン甲府サポーターは、チームがこのまま10連勝するというような甘い幻想は抱かないだろうが、求めていた今年の甲府らしさを見ることが出来、2010年型の希望をようやく手にしたはず。勝てないことよりも希望を持てないことの方が辛いのだが、ついに念願の希望が手に入ったと言える重要な勝利だった。シーズンチケットの売り上げも伸びそうだし、フロントスタッフの営業もやりやすくなる。そう、甲府が勝てば山梨は大抵のことが上手く回る。

試合後、スタンドの記者席から記者会見室に移動するときに「おう、よかったな」と迫力のある声が階段の上から降ってきた。埼玉スタジアムの貴賓室よりもかなり質素な貴賓室がある3階から海野一幸社長が機嫌よく降りてきた。0−2で敗れた鳥栖戦後(第5節)は海野社長に出会った人は無理やり用事を思い出してそそくさとその場を離れて行きたくなるほど怖かったが、今日は寿司でも焼肉でも奢ってくれそうな雰囲気。「あれっ、無い」と言って階段に落としたマフラーを取りに行くときに、階段を一つ飛ばしで軽々と上がっていく海野社長の後姿を見て、勝てば膝や腰の調子も良くなるんだと思った。「口内炎も蕁麻疹も治るよ」なんて笑っていた。

スタンドで観戦していた大木武前監督(日本代表コーチ)がどう感じたかは判らないが、甲府は前半から主導権を取って決定機の一歩手前の場面を多く作っていて最初からよかった。その先は天下の日本代表でも苦戦するのだから今の甲府にとって最大の問題ではない。同時に、富山も前半はよかった。特にボランチの舩津徹也はカウンターで大きな脅威になっていた。甲府の何人かの選手からは「カウンターで危ない場面は殆ど無かった」なんてコメントが出ていたが、確実に危ない場面は何回かあった。ラストパスの精度と決定力に問題があっただけ。富山はそういう場面を作ることがまずは重要だし、甲府が強いチームになりたいのならそれを作られたことが問題。キャプテンの山本英臣が「守備ではラッキーがあった。最後のパスの精度が高ければやられていたところがある。それに助けられるのではなく自分たちでケアしていけばもっと良くなる」と言ったように、富山は流れを変えるチャンスはあったし、甲府の修正課題も小さくはない。ただ、今はよくなった部分を認めて喜びたい。

舩津が、「ボールを奪いに行っても甲府は慌てなかった。奪えないからズルズル下がってしまった」という趣旨のコメントを残したが、この日の甲府はパスを出せば動き直してパスコースを作り、誰かがスペースを作ればそれを使うということをほぼ90分間やり通した。逃げのポゼッションは少なかった。
そのご褒美なのか、19分のFKのチャンスにボールが上手く跳ね返り、内山俊彦が決めると勢いのシーソーは大きく甲府に傾いた。2点目が入る前に富山のカウンターが決まっていればどうなったかは判らないが、56分に途中出場の片桐淳至の対戦車ロケットのようなシュートのこぼれを秋本倫孝が詰めて2点目を奪った。2−0になって暫くは安心感からなのか甲府の運動量が少し減ったようにも感じたが、そこで活力を注入したのは養父雄仁。「今は本当にサッカーが楽しい。信頼してくれていることを感じる。その中で結果を出そうとしてみんな頑張るし、チームには(昇格という)目標がある。ノッて行ける」と嬉しそうに話した。ここ数試合で彼の存在感は物凄く高まっている。3点目(マラニョン)は養父とマラニョンのパス交換が生み出したゴール。生真面目なブラジル人・マラニョンにとっても意味あるゴールだった。4分後に朝日大輔にフリーでヘディングシュートを打たれたが、このシュートが富山の実質的に最後の反撃になった。その後の富山は守備を犠牲にして前に出るしかなく、ロスタイムに片桐(4点目)とマイク・ハーフナー(5点目)に決められて甲府の得失点差を大きくプラスにするサービスをしてしまった。

選手がバスに乗り終えた頃のミックスゾーンは甲府の関係者やスタッフと富山の安間貴義ヘッドコーチの握手会・会場みたいになっていた。甲府が勝ったからでも、彼が富山から煎餅のお土産を持ってきたからでもなく、安間ヘッドコーチの人徳。その後、甲府担当の記者に囲まれると「懐かしさを感じる余裕なんてなかったですよ。甲府、一番いいじゃないですか。(それまでの試合では)こんなにグイグイ来てなかったのに」なんてフランクに話をしてくれた。ゴールドウイン(本店・富山)のウェアにはまだ違和感があるが、安間コーチの手腕は楚輪(博)・富山に絶対に貢献すると思う。時間は必要だろうが、舩津や金明輝らのプレーに質の高さを感じるからそう思う。そして、今日の勝利で去年までの甲府に対する未練も吹っ切れた。失恋の痛手があるとき、急になくなるのと同じ。

序盤はラストパスへの反応の遅さや3人目の動きが無かったから決定機が作れなかったが、これ以前の問題についてはある程度目処がついたような気がする。「19分のゴールが決まっていなかったら…」なんてことも考えられるが、マラニョン、片桐、ハーフナーがゴールを決めたことがよかった。「FWは得点を取って結果を出してみんなに認めさせるポジション」と内田一夫監督が言ったように、3人のFWがこのゴールで手にした活力は今後に繋がると思う。パウリーニョを機能させるにはもう少し時間が必要だが、ロスタイムを含めた20分弱のプレー時間の中で「これがパウリーニョの活かし方」という場面は何回かあった。ゴールが無かった金信泳は「最後は決めたかった。少し寂しい(笑)」と言っていたが、金もストロングポイントは発揮した。そして、大西容平は「次が大事だから」と言う。決めたFWの活力と決められなかったFWの渇望が上手く噛み合いそうな雰囲気。ただ、記者のぶら下がり取材を終えてバスに乗り込むときに、甲府の内田監督と内山が富山のバスに乗りそうになり、富山の安間ヘッドコーチが甲府のバスに乗りそうになったのには笑った。やっぱり、勝った喜びと負けたショックは大きいのかもしれない。でも、シーズンはまだ序盤。「勝っても負けても次が大事」という、日本のモーリニョ・大木武の名言を思い出して次節に臨んで欲しい。サポーターは飲むけどね。

以上

2010.04.19 Reported by 松尾潤
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