4月18日(日) 2010 J1リーグ戦 第7節
鹿島 0 - 0 広島 (15:07/カシマ/17,983人)
スカパー!再放送 Ch181 4/20(火)21:00〜(解説:小倉隆史、実況:佐藤文康、リポーター:新井麻希)
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試合後の記者会見で、ペトロヴィッチ監督が「高いレベルのすばらしいゲームが見られたのではないかと思います」と言えば、オリヴェイラ監督も「別に何の問題もありません」と応じる。しかし、実際のピッチで繰り広げられたサッカーは、互いに決定打を欠く煮え切らない内容に終始してしまった。
試合前から両チームには多くのエクスキューズが存在する試合だった。
まず両チームに共通するのがACLとリーグ戦を併行して戦っているということが挙げられる。週の半ばには、鹿島が長春、広島が山東と、ともに中国でアウェイの試合を戦ってきたばかり。疲労が蓄積するほどの連戦とまではいかないが、コンディションに少なからず影響を与えていることは確かだった。
さらに、この試合に出場できない主力選手が両チームに存在していた。鹿島はマルキーニョスが出場停止。広島に至ってはストヤノフ、ミキッチ、森崎和幸、青山敏弘、高萩洋次郎と、本来であれば先発する力を持つ選手のうち、実に5人もの選手が離脱している。チームが持つポテンシャルを存分に発揮するには厳しい条件が揃っていた。だからこそ、代わりに出場し他選手たちの活躍が期待されたが、彼らが輝きを見せる場面は少なかった。
試合開始直後からミスが目立ち、どこかしら“まったり”とした雰囲気に支配されてしまったことが、最後の場面での集中力の欠如に影響したのかもしれない。前半、鹿島のシュート数は9本であるのに対して広島は2本と差が付いたわけだが、数字が示すほど鹿島がゲームを支配していたのかと言えばそんなことはない。7分の新井場のシュートを皮切りに攻撃回数は広島より多かったが、いずれも単発。広島の守備が激しさを欠いていたため、なんとなくボールを持てていたが、中盤から前の連動性は少なく、守備を混乱させるような場面はほとんどなかった。特に、マルキーニョス欠場を受けて出場した大迫勇也だが、放ったシュートはわずかに1本。36分に遠藤康が左サイドに展開し興梠慎三からふわりとしたクロスがゴール前に送られた場面で、DFの前にうまく体を投げ出し、飛び出した西川周作よりはやくボールに触ったものの、シュートは枠を外れてしまった。
対する広島は佐藤寿人にボールを集めたがフォローに入る選手のスピードが上がらない。山崎雅人が左サイドから良い形で絡んでシュートを放った場面以外ではチャンスをつくれず、高柳一誠は守備の貢献度ほど、攻撃でのインパクトを残せなかった。
ハーフタイムを挟み、後半が始まると両チームが決定的な場面を迎える。まず鹿島が右CKから岩政大樹がフリーになりヘディングシュートを放つもバーに跳ね返されてしまう。すぐさま広島も反撃。スルーパスに抜け出した佐藤がシュートを放つも右ポストに弾かれゴール左へ。それに反応した山崎がダイレクトでゴールに流し込もうとするが岩政がこれを間一髪でブロック。互いに絶好機を逸した。
直後から互いにチャンスをつくれなくなり、交代策で状況を打開しようと計ったが奏功せず。終盤に、鹿島がリスクを冒して攻勢を強めたが、西川周作を中心に広島の守備陣が踏みとどまり、最後までゴールを許さなかった。
これで両チームともにリーグ戦では3試合未勝利。両チームのサポーターにとってはもどかしい日々が続くこととなった。とはいえ問題点を抱えながら、攻守が表裏一体のサッカーにおいて勝点を拾えなければ優勝戦線から置いていかれてしまう。ハーフタイムにペトロヴィッチ監督から出た「後半は我慢比べ。どちらが走り続けることができるかだ」という指示は、この試合だけではなく、しばらくの間、両チームのテーマとなることだろう。
以上
2010.04.19 Reported by 田中滋
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